【ラテクエ61リサイクル】 私とチョコと、ついでに爆弾。(問題ページ)
朝、目が覚めたら爆弾が付けられていた。
私は極限のパニック状態になりながらもいともたやすく爆弾を解除した。
しかしチョコレートを受け取った彼に告白されると私は自ら起爆装置を押した。
一体なぜ?
ラテクエ61、天童 魔子さんの問題文です。
本戦は2月27日(土)、28日(日)開催です。
今回のラテクエについてはこちら↓
http://sui-hei.net/mondai/show/21328
16年02月16日 21:38
【ウミガメのスープ】【批評OK】
[相須 楽斗]
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二月初頭、謎の連続爆発事件が世間を賑わせていた。
突然のことだった。都心を中心に何十件と大爆発が起こり、死傷者は三桁超え。マスコミと警察が躍起になって犯人を追いかけたが、未だそのしっぽすらつかめていない。
朝起きたら私の頭に爆弾が取り付けられていたのは、ちょうどその頃。
何が起きたか。そんなことはうすうす気が付いた。私はパニックに陥りながらも慣れた手つきで爆弾を取り外した。
こんな大事な日に死んでなんかいられるか。カレンダーを確認してから、急いで支度をして家を飛び出す。鞄にはチョコレートが入っている。2月14日、うん、今日は大事な日だ。
駈け出していくと、彼が待ち合わせ場所にいた。進学で別れたっきりの幼馴染。息を切らしているのを隠して、彼に近づく。何故分かったかって?彼は変わっていなかったから。仕草も容姿も、とにかくすべてが。
おはようの挨拶をしかけた彼を無視して、私は即座に鞄からチョコレートを抜き取って彼に押し付ける。恥ずかしさから、私は何も言わずに走り去ろうとしたが、彼に肩を掴まれた。
「おい、お前、これって…」
目と目があった。
彼は顔つきを変えて言った。殺気立った顔だ。
「さっきのチョコ、中に爆弾入ってただろ。チョコの重さじゃねぇ」
一度息を吸った。
「お前、何しに来た」
「あなたも爆弾魔じゃないか確かめに来た」
しばらくの間、静寂が二人を包んだ。彼は頭に「そうか」と置いてから言う。
「当たり!俺もさ、お前もやってんじゃないかって思ってたんだよね。だから爆弾つけさせてもらったよ。どう、ビビった?」
外せなかったら死んでもらったけどねー、と彼は溢してみせた。
「うん!すごくよかったよ!またやって!」
その瞬間、彼は私が渡したチョコレートを投げ捨てた。
嬉しい告白だった。口角が上がった私は袖に隠していた爆弾のスイッチを押した。後方でチョコレートと、それから別の何かが吹っ飛んだ。ナイスコンビネーション!
彼は変わっていなかったから。仕草も容姿も、とにかくすべてが。ひん曲がった性格も、爆弾への愛情も。
要約:彼と私は爆弾魔であり、自分の認知していないところでも起こる爆発に対して疑念を持って互いを試し、それが分かると即座に協力する形となり街への攻撃を行った。
総合点:1票 物語:1票
物語部門エリム【
投票一覧】
「とんでもなく斜めな考えの登場人物ですが、水平思考溢れる物語と考えれば楽しいです。」
2016年03月02日22時