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ウミガメのスープ 本家『ラテシン』 
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シロとクロの境目(問題ページ

は準備を始めた。
綿密な下調べ、度重なるシミュレーション、完璧なアリバイ工作。
計画を確認するたびに、露見するはずがないという自信が深まった。

男は最後に一枚の絵を用意した。
己の感情を叩きつけたような漆黒の色彩。
自分の作品なのに、男は寒気をもよおした

世の中には、己の不運を呪い環境を言いわけにして行動を起こさない無能もいる。
しかし、自分は違う。
やるべきことはやる。
後悔するのは、その後からでも充分だった。

最後まで、男の真意に気づくものはいなかった。
いや、ただ一人だけ。
とある女が、男の絵を眺めながら震えていた。

どういうことか。
16年01月04日 23:43
【ウミガメのスープ】 [ちくわさん]



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解説>
男は小学生で、夏休みの宿題である絵日記に嘘の内容を書いた。
母親である女は、自分が忙しくてそうなってしまったことに気づき、自責の念で震えた。


以下、駄文蛇足。

「ごめんなさい」

カメコはいきなり息子のカメオから謝られた。
何の説明もなかったので少し戸惑ったが、一冊のノートを手渡されて納得した。

それは、夏休みの宿題である絵日記帳だった。
開かれたページでは、カメコとカメオが動物園に行ったとになっている。
しかし、その日カメコとカメオは動物園に行っていない。
カメコ宅は母子家庭で、その日カメコは一日中労働していた。

文面に目を通してみると、交通費の金額や青空の下で食べた弁当の内容、動物園で行われていたイベントのことが事細かく書かれていた。
交通費は実際にかかる金額を調べ、イベントも当日実際に行われていたことが書かれているらしい。

そして、黒えんぴつのみで描かれた虎の絵。
どうしてカメオはこのような絵を描いたのか。
それは、カメコがカメオに色えんぴつを買い与えていなかったからだろう。
写実的に描かれた虎はとてもリアルだったが、黒色だけだと何だか貧相で不気味に見えた。
カメオは当初、絵日記のことをカメコに伝えるつもりはなかったらしい。
忙しいカメコに迷惑をかけることなく宿題を片づけることが目的だったそうだ。
しかし、この絵が校内で評判になり大々的にとりあげられてしまったので、人づてにカメコの耳まで届いてしまったのだ。

「ごめんなさい」

カメオのか細い発声は、大気に波紋を起こし空気を震わせてカメコの鼓膜を叩いた。

「嘘をついてごめんなさい。お母さん」

どうやら、絵日記に嘘をかいてしまったことを謝罪しているらしい。

教師はカメオの家庭環境を把握している。
もし、カメオが書くことがないと訴えれば、代わりの課題を用意してくれたかもしれない。
自分がカメオだったらそうするだろう。

けれど、カメオはそんな状況へこたれず、自分でも出来ることを考えて実行したのだ。
日記の内容はたしかに真実ではない。
だからと言って、これでは怒れない。

むしろ、悪いのはカメオをこんな状況にまで追い込んでしまった自分の方ではないだろうか。

カメコは、自分の至らなさに震えた。

「今度の休み、動物園いこうか」

「うん!」

カメコの提案を聞いて、カメオは満面の笑みを浮かべた。
総合点:4票  伏線・洗練さ:1票  物語:3票  


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伏線・洗練さ部門フィーカス
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「一見長すぎる、もっと簡潔にまとめられそうな問題文だが、それぞれの言葉には解説に込められた意味や思いが込められている。解説を読んで、「問題文のあれはこのことだったのか!」と思わせる、まさに文字通りの「伏線」がちりばめられている。きっとFAが出たあとも、ここまで出題者が考えているとは思っていなかっただろう。このような問題はラテシンではあまり見られず、貴重な問題だといえる。」
2016年01月05日02時
物語部門黒井由紀
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ネタバレコメントを見る
「しっかりと叙述を効かせた問題文から現れた真相は、思い遣りから生まれた、それはそれは見事な嘘でした。少年の優しさと賢さ、逞しさに感動しました。」
2016年06月07日19時
物語部門フィーカス
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「簡潔な解説で済ませられるところを、奥深い物語を作ることによってより高度な情景を描ける。この解説を読んでしまうと、物語無しでは成立しないのではないかと思えてしまう。多分、同じ題材を扱うにしても、ここまでの物語を描くことは難しいだろう。」
2016年01月05日02時
物語部門エリム
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「問題文の描写が非常に意味深。この時点で素晴らしい筆力です。そして、真相は全く別方向に深い。1ページで2度おいしい気分になります。」
2016年01月05日01時

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