白
雪姫の美しさを妬む王妃。
毒リンゴで邪魔な白雪姫殺害を決意した王妃だが、実行の後に王妃は白雪姫と抱き合いながら和解した。
いったいなぜ?
15年08月31日 18:30
【ウミガメのスープ】
[ツォン]
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大嫌いだと言っていた王妃が、白雪の好物がリンゴだと知っていたから。
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原典どおり、王妃は狩人による暗殺に失敗し、業を煮やして直接手を下す事にした。
ご存知の通り、毒殺。
彼女の好物であるリンゴに、毒を盛っての殺害を計画した。
そして、毒リンゴを食し、通りすがりの隣国の王子のキスにより蘇った。
これはその後のお話です。
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「お義母様」
「しっ、白雪?!生きていたのですか?」
「ええ。この王子様に助けていただきました。」
「くっ。…ここまでね。さあ、煮るなり焼くなり好きにするがいいわ。」
「…何もしません。」
「え?」
「だって、お義母様、私のことが嫌いだって、興味ないって仰っていたのに、知っていたのでしょう?私の大好物がリンゴだって。」
「…え?」
「私が絶対に食べるって、信じていたからリンゴを選んだんでしょう?私のこと、知ってくださっているじゃないですか。」
「っ!」
「お母様は、私のことを知ってくださっていた。でも私は、お母様の気持ちをわかっていなかった。…これからでも遅くない。お互いを知り合っていきませんか?」
一瞬、誰も声を発せずしんとする。
王子が続ける。
「僭越ながら、私も協力しましょう。まあ、私もお二人をもっと知りたいですし、この国のことももっと知らねばならない。」
「…良いのですか?私は、あなたを殺そうとしたのですよ?」
「何を言っているのですか?私は、勝手にリンゴを喉に詰まらせて死にそうになった、只のドジ娘ですよ。」
「白…雪…」
「お母様!」
涙を流しながら抱き合う二人。
ふと王子が言う。
「…美しさと言う主観的なものを、鏡ごときに判定させるなんて意味がないと思うのです。こんなものがあるから、お二人は争う事になったのですから、破壊させていただきますね」
「それもそうね。私は美しい、この子も美しい。私の中では私が一番であればいいのよね。」
「ソイヤァ!」
がしゃーん!
鏡は破壊され、何も映さなくなった。
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<世界で一番美しいのは、白雪姫とグリムヒルデ女王のと愛です…>
総合点:2票 物語:2票
物語部門az【
投票一覧】
「誰もが知っている物語。そこから大きく外れることなく、新たな解釈を見出だす着眼点が見事です。」
2016年11月24日01時
物語部門とかげ【
投票一覧】
「白雪姫を毒リンゴで殺そうとした王妃が、なぜか計画実行後に白雪姫と和解する。童話に新たな可能性を与える、温かな解釈でした。鏡どんまい。」
2015年11月15日22時