ある男が、趣味を活かして仕事を始めた。
最初はうまくいかなかったが、次第に客が付いてきて今ではかなり儲けている。
それを聞いて、ある女も趣味を活かして仕事を始めたのだが、これが中々うまくいかなかった。
その結果、次第に生活は困窮してきたので、これを男に相談をした。
「いったいどうすればいい?」
「あきらめるな、失敗は成功の母さ」
女はそのアドバイスに従ったところ、見事に生活の向上に成功した。
しかし、女は男に全く感謝していないという。
一体どういうことだろう?
15年08月30日 17:20
【ウミガメのスープ】
[白紙]
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一行解説:博打好きの女は銀行強盗という賭けに手を出し、刑務所に入ることになったから。
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男の趣味はギターで、女の趣味は博打だった。
あるときギターを聴いた人に見込まれ、
男は音楽業界に入らないかと誘われた。
そして、色々と悩みもしたが人に相談した結果、
音楽で生計を立てていくことを決意。
男は才能が開花し、最終的には成功を収めた。
一方、女に賭け事の才能は全くなく、いつも生活が苦しい。
あるときから女は『盗みという一か八かの賭け』に手を出した。
どれも成功すれば一攫千金の大仕事だ。
狙う獲物、忍び込むルート、金庫のナンバー……博打で鍛えた勘がうなる!!
が、才能のない女が賭けに勝てるはずもなく、
失敗、失敗、失敗、失敗……逃走。
これに懲りた女はしばらく身を潜めていたが、やはり生活が厳しい。
そんな中で、色々ぼかして男に金の相談に行ったのだが、
そこで的外れなアドバイスをもらった女はヤケになった。
『盗み』も繰り返しゃ成功するのかよ!と
無謀にも成功率ほぼ0%の銀行強盗に手を出し結局お縄となってしまった。
『檻の中』では衣食住揃っており、逃亡中の生活より余程いい。
しかし、受刑者というレッテルを貼られた今、
ここから出れば今まで以上に生活は厳しくなるだろう。
お先は真っ暗である。
八つ当たりとはいえ、男に感謝したくなるはずもないのだった。
-----8<-----キリトリ-----8<-----
余談ではあるが、出獄後に女は男と結婚したそうだ。
「お互い不幸になるから」と女は(怒りとともに)固辞したのだが、なぜか男が強引に取り纏めたらしい。
ちなみに、男が音楽で食っていこうと決めた切っ掛けは――
「賭けてもいいけど、絶対売れないから止めた方がいいよ」
総合点:2票 納得感:1票 トリック:1票
納得感部門フィーカス【
投票一覧】
「「生活の向上」という言葉がこんな使われ方をするとは。こういう視点を持つことが、良問を作る第一歩だと思いました。」
2015年09月09日15時
トリック部門春雨【
投票一覧】
「ある先入観を用いた言葉の言い回しが上手です」
2015年08月30日20時