カリスマいんちき占い師（問題ページ）

部屋に鳴り響く目覚ましの音。

『う〜ん…』

男は大きく伸びをしてから起き上がり、着替えを行おうとしている。

『(Tバック…)』

男はタンスの底にあるTバックに一度だけ視線をおくり、ボクサータイプの下着を身につけた。

＿＿＿＿＿＿


間も無く、時刻は19時を迎えようとしている。
男はドアの前で下着を確認する。

『(ボクサーのままだ…)』

男は小さく咳払いをして、ドアをノックし静かに部屋に入った。

『こんばんは』

「やはり来ましたね、ふふっ」

『…？』

「何か？」

『その方は…？』

男はスーツ姿の弁護士風の男性を指差した。

「ああ、取引の見届け人ですよ
大金が移動しますからね、ひひっ」

…気味の悪い女だ。
まぁいい。本題に入ろう。

『手短かに終わらせようではないか』

「ええ、もちろんですよ
…では、ズボンを下ろして一周回って頂けますか？後ろも確認、しないとね。ひひ」

その言葉を聞いた男は決心すると、ズボンに手をかけ勢いよく下に下ろした。

無論、男がはいている下着はボクサーパンツである。男は勝ち誇った顔をしながら下着姿でくるっと一周回る。
部屋には笑い声が響いた。


気味の悪いあの、占い師の笑い声が。

「はははははははは！
傑作だよ！私の負けだ！あははははは」

不審に思う男。

『…なんだよ、どうして…』



「「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ！」」


その時、部屋に反響する男性の叫び声。
どうやら弁護士風の男のものらしい。

『な、何だ？何が起きたんだ？』

「ふふっ、あんたの勝ちだよ
賭けはあたしの負けだ」

『…その方は？』

うずくまって床を叩きつけている弁護士風の男を指差した。

「なに、気にすることはない！
その男は［"株式会社xxxの社長"が私の目の前でズボンを下ろしてアホみたいに一周回る］ことに1000万賭けただけだからなぁ！
あはははははははははははは！
君の勝ち、だよ
社長さんよぉ！」

部屋には占い師の笑い声がいつまでも鳴り響いた。

【簡易解説】
賭けはもちろん男の勝利。しかし、占い師は別の人物と"有名企業の社長である男が下着姿を晒すか否か"についての賭けを行っていたので、結果的に最も儲けたのは占い師であった。
言うなれば、占い師にとって男との賭けは必要経費であったのだ。