項目についての説明はラテシンwiki!
てろりずむ。(問題ページ)
壁を破壊した少年と少女。
壁の向こうは、
少女の目には荒れ果てた場所に。
少年の目には理想郷に映った。
泣き出した少年を、少女は慰めた。
状況を補完してください。
☆挿絵提供…さるぼぼさん
ありがとうございました!
壁の向こうは、
少女の目には荒れ果てた場所に。
少年の目には理想郷に映った。
泣き出した少年を、少女は慰めた。
状況を補完してください。
☆挿絵提供…さるぼぼさん
ありがとうございました!
15年02月24日 21:00
【ウミガメのスープ】 [えねこー☆]
【ウミガメのスープ】 [えねこー☆]
解説を見る
壁。
ずっと昔からあった壁。
それはあまりにも身勝手な壁。
この壁を
この壁をうち壊す。
それが僕等のてろりずむだ。
----------------------------------------------------------------------------------
西暦2386年、地球には再び氷河期が訪れた。
それにより、人間がすめる範囲は極端に狭まり、赤道付近の国々に人々が大移動した。
世界人口は105億人。化学力を結集させた最新鋭の食品供給システムによって、まだ大きな食糧難は起こっていない。しかし、いつ破綻してもおかしくない状況だった。
生き残るため、人々の間には激しい貧富の差が生まれ、やがて、富裕層は都市部に。貧乏人は郊外に住んで出稼ぎをするのが定着してきた。
ある日事件は起こった。
郊外で極めて致死率の高い感染病が蔓延したのだ。
そして政府のとった行動。それは
都市部と郊外の間に壁を建てることだった。
出稼ぎに来ていた貧乏人たちは菌を持っているかもしれないと都市部からつまみ出され、
一日もかからず、都市部と郊外の間にそれはそれは大きくて頑丈な壁ができた。
人々の間に生まれた【目に見える壁】
これは、その壁が出来てから300年後の話である。
----------------------------------------------------------------------------------
「ねえお母さん、あの壁の向こうには何があるの?」
「壁の外にはね、何もないのよ。地面もなんにも。だから、誰かが落ちちゃわないように壁があるの。」
「ふーん…」
なんだってできる生活。何一つ不自由ない生活。お金も、楽しいことも、私のまわりにはいっぱいあった。
でもなんで…「つまらないなぁ…」…なんて気持ちばかりがあふれでてくるんだろう…
なんだってできるはずなのに。何一つ不自由ないはずなのに。
TVをつければ『光化学スモッグ…加害者…被害者…凶器…テロル…』そんな言葉ばかりが聞こえてくる。
ニュースキャスターは暗いニュースをつらつらと読んだあと笑顔でアホみたいなニュースを読み始める。慈しみなのか物笑いかも分からない笑顔で。
学校へ行けば『不登校…流行…不合格…いじめ…学歴…』気が狂いそうだ。
リストカットを冷やかされていた彼は、ある日本当に飛び降りた。
でも皆そんなことも気にせず手元の携帯に夢中だ。それが普通だ。
おかしい。
おかしいよ。
何故か皆が皆、変わり映えもなく何でも持っているのが当たり前のこの社会は。何故か皆が皆、幸福を装っているのか、分からないよ。
壁の向こうに真実があるのなら、私はそれを見てから死にたい。
私は何もないことを知りたいんだ。
私の違和感が何なのか知りたいんだ。
優しい人になりたいんだ。
----------------------------------------------------------------------------------
「ねえママ、あの壁の向こうには何があるの?」
「何もないよ。地球に穴が空いたようになっているだけさ…」
「そうなんだ…」
今日を生き抜かなければならない生活。自由なんてない生活。
昔流行った感染病のせいで人も少なく、町はいつも薄暗い。
子供から大人まで、近くの人皆で畑で汗水流して働いて、僅かな米や麦を貰ってその日の糧にする。
こんなことを言ってはいけないのだろうけど、俺は自分が大嫌いだ。
これを毎日毎日文句も言わず続けてるやつらも大嫌いだ。
誰もが悲しみの波に溺れなければならないこの町が大嫌いだ。
手足二つづつ生えている程度じゃこれくらいしかできないのか。
何も変えられないのか。
どうして皆が貧しいんだ苦しいのか。
何故変えようとしないのか。
ああ、悔しい虚しい歯がゆい!!
あんな壁に囲まれたところには本当に何もないのか。
大人たちは何かを隠しているんじゃないか。
もう嫌なんだ。生きるために大事なものを捨てすぎる生活は。
----------------------------------------------------------------------------------
壁を壊したい。
私が子どもの頃から思っていたこと。
なりたくない自分になりたくないから。
六畳に立て篭り続けてやっと作ったこの爆弾。これがあれば壁なんて木端微塵にできるはずだ。
ただ、こちら側で爆発させても貫通する保証はない。それどころか街が滅茶苦茶になってしまうだろう。
壁の中に埋め込んで起爆しなければ…
----------------------------------------------------------------------------------
壁を壊したい。
子どもの頃からずっと思っていたこと。
心ひとつない群衆の声にも負けず、あの日からずっと壁を砕いてきた。恥ずかしげも後ろめたさもなくただ必死にやった。
今日で、やっと、小さいが穴があくはずだ。まだ通ることはできないが。
いつか、壁を全て取り去ってやる。
----------------------------------------------------------------------------------
壁に、昨日までは無かった、小さな穴が開いていた。
こんな穴、一体誰が!?
恐る恐る穴を覗いた先には、
知らない少年がいた。
----------------------------------------------------------------------------------
やっとのことで開けた穴を覗くと、そこには、一人の少女がいた。
「誰だ!?」
「あなたが…穴を開けてくれたの…ありがとう…」
「俺は壁を壊したい。そっちから何か出来ないか!?」
「壁を壊せる爆弾を持っているわ。…っ!ついにこの日が来たのね…!?」
「さあ、壁から離れて。」
----------------------------------------------------------------------------------
ボロボロになってでも奪い返せ
君のココロは君だけのもの
命は、輝いてこそ命だ。
さあ、
自由に腐ったココロを
不自由に殺されたココロを
その鎖を。その壁を。
ぶち壊せ!!
これが、僕等の、想いのてろりずむだ。
----------------------------------------------------------------------------------
少年の目の前に広がった光景は、理想郷だった。
立ち並ぶ立派な建築物。
色とりどりに輝く町並み。
そして、聞いたこともないような笑い声。
少年は、もう言葉が出なかった。
状況が理解できないまま、ただ、そこにある格差に、絶望した。
目から涙が止まらなかった。
----------------------------------------------------------------------------------
少女の目の前に広がった光景は、荒れ果てた土地だった。
あるのはボロボロのテントのようなものと、畑だけ。
人の声も、活力もない場所だ。
少女は悟った。
なぜ大人たちが壁の向こうのことを隠していたのかを。
なぜもとの世界が、そしてこちらの世界がこの有り様なのかを。
少女は悟った。
名も知らない、ただ、必死に何かを変えようとした少年のことを。
少女は少年に寄り添い、号哭する少年をただ抱き止めた。
----------------------------------------------------------------------------------
「…ありがとう。」
「うん」
深呼吸をして、立ち上がった。
「狂った世界はもうないよ。」
だって、ココロの壁は
二人の優しいてろりずむで
とりはらわれたのだから。
☆要約解説☆
ここは、遥か昔、富裕層と貧乏人が壁によって仕切られた国。
壁の向こう側のことを名にも知らない、貧乏な少年と豊かな少女。
それぞれがそれぞれの側から、壁を破壊した。
少年の目の前には豊かな国が。
少女の目の前には荒れ果てた場所が。
真実を知って格差に絶望する少年に、少女は寄り添った。
ずっと昔からあった壁。
それはあまりにも身勝手な壁。
この壁を
この壁をうち壊す。
それが僕等のてろりずむだ。
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西暦2386年、地球には再び氷河期が訪れた。
それにより、人間がすめる範囲は極端に狭まり、赤道付近の国々に人々が大移動した。
世界人口は105億人。化学力を結集させた最新鋭の食品供給システムによって、まだ大きな食糧難は起こっていない。しかし、いつ破綻してもおかしくない状況だった。
生き残るため、人々の間には激しい貧富の差が生まれ、やがて、富裕層は都市部に。貧乏人は郊外に住んで出稼ぎをするのが定着してきた。
ある日事件は起こった。
郊外で極めて致死率の高い感染病が蔓延したのだ。
そして政府のとった行動。それは
都市部と郊外の間に壁を建てることだった。
出稼ぎに来ていた貧乏人たちは菌を持っているかもしれないと都市部からつまみ出され、
一日もかからず、都市部と郊外の間にそれはそれは大きくて頑丈な壁ができた。
人々の間に生まれた【目に見える壁】
これは、その壁が出来てから300年後の話である。
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「ねえお母さん、あの壁の向こうには何があるの?」
「壁の外にはね、何もないのよ。地面もなんにも。だから、誰かが落ちちゃわないように壁があるの。」
「ふーん…」
なんだってできる生活。何一つ不自由ない生活。お金も、楽しいことも、私のまわりにはいっぱいあった。
でもなんで…「つまらないなぁ…」…なんて気持ちばかりがあふれでてくるんだろう…
なんだってできるはずなのに。何一つ不自由ないはずなのに。
TVをつければ『光化学スモッグ…加害者…被害者…凶器…テロル…』そんな言葉ばかりが聞こえてくる。
ニュースキャスターは暗いニュースをつらつらと読んだあと笑顔でアホみたいなニュースを読み始める。慈しみなのか物笑いかも分からない笑顔で。
学校へ行けば『不登校…流行…不合格…いじめ…学歴…』気が狂いそうだ。
リストカットを冷やかされていた彼は、ある日本当に飛び降りた。
でも皆そんなことも気にせず手元の携帯に夢中だ。それが普通だ。
おかしい。
おかしいよ。
何故か皆が皆、変わり映えもなく何でも持っているのが当たり前のこの社会は。何故か皆が皆、幸福を装っているのか、分からないよ。
壁の向こうに真実があるのなら、私はそれを見てから死にたい。
私は何もないことを知りたいんだ。
私の違和感が何なのか知りたいんだ。
優しい人になりたいんだ。
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「ねえママ、あの壁の向こうには何があるの?」
「何もないよ。地球に穴が空いたようになっているだけさ…」
「そうなんだ…」
今日を生き抜かなければならない生活。自由なんてない生活。
昔流行った感染病のせいで人も少なく、町はいつも薄暗い。
子供から大人まで、近くの人皆で畑で汗水流して働いて、僅かな米や麦を貰ってその日の糧にする。
こんなことを言ってはいけないのだろうけど、俺は自分が大嫌いだ。
これを毎日毎日文句も言わず続けてるやつらも大嫌いだ。
誰もが悲しみの波に溺れなければならないこの町が大嫌いだ。
手足二つづつ生えている程度じゃこれくらいしかできないのか。
何も変えられないのか。
どうして皆が貧しいんだ苦しいのか。
何故変えようとしないのか。
ああ、悔しい虚しい歯がゆい!!
あんな壁に囲まれたところには本当に何もないのか。
大人たちは何かを隠しているんじゃないか。
もう嫌なんだ。生きるために大事なものを捨てすぎる生活は。
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壁を壊したい。
私が子どもの頃から思っていたこと。
なりたくない自分になりたくないから。
六畳に立て篭り続けてやっと作ったこの爆弾。これがあれば壁なんて木端微塵にできるはずだ。
ただ、こちら側で爆発させても貫通する保証はない。それどころか街が滅茶苦茶になってしまうだろう。
壁の中に埋め込んで起爆しなければ…
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壁を壊したい。
子どもの頃からずっと思っていたこと。
心ひとつない群衆の声にも負けず、あの日からずっと壁を砕いてきた。恥ずかしげも後ろめたさもなくただ必死にやった。
今日で、やっと、小さいが穴があくはずだ。まだ通ることはできないが。
いつか、壁を全て取り去ってやる。
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壁に、昨日までは無かった、小さな穴が開いていた。
こんな穴、一体誰が!?
恐る恐る穴を覗いた先には、
知らない少年がいた。
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やっとのことで開けた穴を覗くと、そこには、一人の少女がいた。
「誰だ!?」
「あなたが…穴を開けてくれたの…ありがとう…」
「俺は壁を壊したい。そっちから何か出来ないか!?」
「壁を壊せる爆弾を持っているわ。…っ!ついにこの日が来たのね…!?」
「さあ、壁から離れて。」
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ボロボロになってでも奪い返せ
君のココロは君だけのもの
命は、輝いてこそ命だ。
さあ、
自由に腐ったココロを
不自由に殺されたココロを
その鎖を。その壁を。
ぶち壊せ!!
これが、僕等の、想いのてろりずむだ。
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少年の目の前に広がった光景は、理想郷だった。
立ち並ぶ立派な建築物。
色とりどりに輝く町並み。
そして、聞いたこともないような笑い声。
少年は、もう言葉が出なかった。
状況が理解できないまま、ただ、そこにある格差に、絶望した。
目から涙が止まらなかった。
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少女の目の前に広がった光景は、荒れ果てた土地だった。
あるのはボロボロのテントのようなものと、畑だけ。
人の声も、活力もない場所だ。
少女は悟った。
なぜ大人たちが壁の向こうのことを隠していたのかを。
なぜもとの世界が、そしてこちらの世界がこの有り様なのかを。
少女は悟った。
名も知らない、ただ、必死に何かを変えようとした少年のことを。
少女は少年に寄り添い、号哭する少年をただ抱き止めた。
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「…ありがとう。」
「うん」
深呼吸をして、立ち上がった。
「狂った世界はもうないよ。」
だって、ココロの壁は
二人の優しいてろりずむで
とりはらわれたのだから。
☆要約解説☆
ここは、遥か昔、富裕層と貧乏人が壁によって仕切られた国。
壁の向こう側のことを名にも知らない、貧乏な少年と豊かな少女。
それぞれがそれぞれの側から、壁を破壊した。
少年の目の前には豊かな国が。
少女の目の前には荒れ果てた場所が。
真実を知って格差に絶望する少年に、少女は寄り添った。
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最初最後
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