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ウミガメのスープ 本家『ラテシン』 
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脱出ギャンブル(問題ページ

おや、目を覚ましましたか?」
目深にフードをかぶった男が話しかけてきた。

あたりを見回してみるとコンクリ打ちっぱなしの壁に囲まれた部屋
特に目立った家具はなく、出口と思しきドアが一つ・・
俺の首にはなにやら金属製の首輪がつけられているようで、鎖で壁につながれていた。
隣には同じく首輪でつながれ不安そうな顔をした女が一人・・
頭に何やらカードのようなものをつけている・・?

「さて、今回は単純です。お二人にインディアンポーカーをやってもらおうと思いまして」

そう言われ自分の額のあたりを確認してみると確かに1枚カードがひっつけられているようだ・・

「あぁお気をつけ下さい。もしカードが外れてしまうとその首輪・・締まるようにできていますから」

・・なん・・だと・・?

「さて、ルールは簡単です。インディアンポーカーはご存じですか?
お互いトランプを1枚、自分の手札として
自分では見えないよう額に付け、その札の強弱を予想して勝負する遊びです。

今回は少しルールをいじっておりまして・・えぇ
自分の手札の数字が相手の物以上であるか、相手のものより小さいか
それを予想して勝負してください。

細かいルールですが・・
1.予想を宣言できるのは1名だけ、早い者勝ちです。
2.正解の場合は自分の首輪がはずれ、相手の首輪が締まります・
3.不正解の場合はその逆ですね。

制限時間はありません。ドアは鍵を開けておきますので首輪が外れましたらどこへでもご自由に。

ん?そういえば、お二人は恋人同士でしたねぇ?
あぁ~困りましたねぇこのルールでは必ずどちらかが愛しい恋人を失うことになってしまいますか・・

では、特別にルールを追加いたしましょう。

4.宣言する際に「同数」を宣言することも可能とします。
  コレがあたっていた場合は、どちらの首輪もお外しいたしましょう。
  代わりに、外れていた場合はどちらの首輪も締まります。


さて、ルールは以上です。

まあ、お二人は恋人同士。
お互いが何を考えているかなんて手に取るようにわかってゲームにはならないかもしれませんが・・
それでは、はじめましょうか」

そういい残すとフードの男は俺が状況を問い詰める声を一切無視してドアを開けて出て行ってしまった。

・・・・

こうして俺は後悔しながら死ぬこととなった。



どうして俺が死ぬこととなったのか?
経緯まで明かしてくれることを望む。


※文末がちょっと変わっていますが、ウミガメですので回答者は全て知っている視点を回答いたします。
15年02月03日 23:16
【ウミガメのスープ】【批評OK】 [Ratter]



解説を見る
はじめましょうか」

そういってフードの男は出て行ってしまった。

仕方なく俺たちは互いの顔を見つめることになった。
否が応でも相手の手札が目に入る。

彼女の手札はK(13)・・悪くない数字だ 
【自分の手札は相手より小さい】
そう宣言すれば・・12/13の確率で勝てる・・

ん?彼女を殺してしまうことにためらいがないのかと??
ふん、そんなものあるわけがない、彼女といったところで何人もいる中の一人だ
ソレに、相手のほうがいつ宣言してくるかわからないこの状況なら
自分が助かるために行動したってバチは当たるまい。


だが・・フードの男が最後に追加したルールが気になる。
「同数」を宣言することができると・・
もしかするとフードの男は「両者が助かる」というケースを用意した上で、オレが確率論に走り自滅することを期待しているのではないだろうか?

そう考えるとうかつに宣言することも出来なかった。

・・これがもし 彼女の手札がA(1)であったなら何も考えることなく「自分の手札は相手以上」そうすぐ宣言できたというのに・・・

ん?そういえば、彼女もすぐには宣言してこなかった・・・
ということは少なくともオレの手札は「1」ではないはず・・

そう考えた俺は彼女に話しかけた。

「・・・君を殺すなんてことは出来ない。君の数字は1だ。だから心置きなく【相手より小さい】そう宣言してくれ」

******彼女サイド

「でははじめましょうか」

そういってフードの男は出て行ってしまった。

彼の方を向いてみると彼の額についているカードはA(1)。

ああ・よかった・・


これで、【相手より小さい】そう宣言さえすれば少なくとも彼を殺してしまうことはない・・

最後の手段を手に入れた私は少しホッとしていました。

後はただひとつ・・私の額にあるカードが「1なのかソレ以外なのか」

彼さえ死ななければそれでいい。
とはいえ、フードの男の人の追加した最後のルール。
もしかしてフードの男は「両者が助かる」というケースを用意した上で、私が短慮から自殺を選ぶさまを期待しているのではないでしょうか?

私だって進んで死にたいわけではない・・
でも・・彼が助かるなら・・

そう考えていた時、急に彼が話しかけてきた。

男「・・・君を殺すなんてことは出来ない。君の数字は1だ。だから心置きなく【相手より小さい】そう宣言してくれ」
女「え・・!?そんな!数字を教えるなんてルール違反したら・・!?」
男「大丈夫だ。奴は、カードを外して自分の数字を確認するような行為は禁止いていたが、相手に数字を教えていけないとはひとことも言わなかった」
女「と・・いうことは・・?」
男「ああ。安心して宣言してくれ!」



女「私の数字は彼のものと【同数】です!」

*******再び男サイド

女「私の数字は彼のものと【同数】です!」

な!?少なくともオレの手札は「1」のはずは・・!?

俺は、ゆっくりと締まってくる首輪に恐怖しながら、なぜ確率論にかけなかったのかと後悔しながら死ぬことになった。



*********

フードの男が部屋に戻ってきた。
「ああ・・御二方ともお亡くなりになってしまいましたか。

【生き残りたい&生き残らせたい】

願いは共通だったはずですのに。恋人同士とはいえ意外と分かり合えないものなのですね?

さて、次は何をして遊びましょうかね」
総合点:1票  物語:1票  


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物語部門牛削り
投票一覧
「この手の問題にありがちな別解を雑談欄に書き込ませていただいたのですが、それに対するRatterさんのコメントを見て、この物語のユニークな価値を知りました。論理パズルに見せかけて、人間の深奥を抉る鋭い物語です。」
2015年06月03日21時

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