ある日オリオン家に来訪者を知らせるチャイムが鳴った。
家の中にいたオリオンはドアの向こうの来訪者に対して何者かと尋ねた。
来訪者がそれに返事をする。
すると返事を聞いた途端、オリオンは急に笑顔になった。
一体なぜ?
14年11月01日 23:41
【ウミガメのスープ】
[オリオン]
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~ピンポーン~
……なんだ?
日曜日の朝っぱらからどこのど誰だ?
無視無視。
こちとら寝不足でねみぃんだよ。
昨日も夜遅くまでラテシンで遊んでたんだから……。
~ピンポーン~
……ああもうっ!
しつこいなっ!
分かったよ!出ればいいんでしょ!
出れば!
オリオンは不機嫌になりながらも仕方なく起きあがった。
オリオン家のインターフォンはカメラ付き。画面をのぞき込んだオリオンは少しだけ驚いた。画面にはご近所の田中さん家のカメオくんが、妙に緊張した表情で映っている。
カメオくんの小さな手には回覧板がぎゅうっと握られており、周りに他の大人の姿はない。カメオくんはまだ幼稚園生の年長さんだ。普通なら誰かお家の人と一緒に訪ねてくるはずなのになんで一人なんだろう……?
オリオンはすぐに答えに思い至った。
ははあ、分かったぞ。
さては初めてのお使いってやつだな?
この時点でオリオンが感じていた怒りはほとんど吹き飛んだ。こんなに小さな、しかも一生懸命な来訪者を相手に腹を立てるなんて、大人げないにもほどがあるじゃないか。
オリオンはインターフォンの受話器を取ると、出来るだけ優しい声色でカメオくんに話しかけた。
「はい、どちら様ですか?」
Σ(;゚д゚)「えっ……!」
話しかけられたカメオくんは急にあわあわと何かを考え込んでしまった。一体急に何を悩んでいるんだろうと思っていると、やがて意を決したように、カメオくんはこう言ったのだ。
#big5# (*≧д≦)「か、カメオ様ですっ!」
「(*;゚;艸;゚;)ブハッ!?!?!?」
オリオンは吹き出してしまいそうになるのを必死に堪える。
『どちら“様”』って、そういう意味じゃないんですけど!?
しかしカメオくんは真剣だ。きっと『どちら様ですか?』と聞かれて、本気で考えた末の答えなのだろう。それ故にかえっておかしくてたまらない。
だがカメオくんが真剣であることを思うと、無闇に笑うわけには……っ!!
「……は~い、カメオ様ですね?今鍵を開けますから、少し待っててくださいね?」
(´∀`)ノ「はぁいっ!」
オリオンはなんとは冷静を装って受話器を置くと、それでもこみ上げてきてしまう笑みにニヤニヤと頬を緩ませながら玄関へと向かったのであった。
総合点:1票 物語:1票
物語部門牛削り【
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「辛いことがあった時、ストレスでイライラしている時、この解説を思い出してみてください。きっとあなたはまた立ち直れる。大丈夫。」
2015年04月29日03時