僕は家族の末っ子だった。
お父さんはいなかったけれど、お母さん、お姉ちゃんがいて、二人とも僕のことを大切にしてくれた。
だけどある時・・・僕の家族はいなくなってしまった。
僕はそれを知って、嬉しかったんだ。
するとある時、お母さんが戻ってきた。
僕はその時、とても悲しくなった。
そして、僕たちはまた家族になった。
状況を説明してください。
13年05月03日 11:15
【ウミガメのスープ】【批評OK】
[ノックスR]
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僕が物心ついたときは、そこは孤児院だった。
僕は駅のロッカーに捨てられていたところを保護されたらしい。
そのまま孤児院で育って6歳になったけど、僕はやっぱり家族が欲しかった。
するとある時、孤児院で一番年上のお姉ちゃんが、
「じゃあ、私がお母さんになってあげる」
と言って、次に二番目に年上のお姉ちゃんが、
「じゃあ、私はお姉ちゃんになってあげる!」
と言ってくれた。
聞くと、二人も僕と同じように家族が欲しかったんだって。
その日から、僕たちは家族になった。
周りから見たら、子供のままごとみたいに見えるかもしれない。
それでも、僕たちは家族だった。
するとある時、お母さんとお姉ちゃんが突然いなくなった。
先生が、「二人は、里親が来て養子になったのよ」
と言ってきた。
僕はそれを聞いて、とても嬉しくなった。
だって、二人とも、本当の家族ができたんだもの。
その嬉しさに比べたら、この胸にある寂しさなんてどうでもよかった。
それから少しして。
あの時の僕と同じような子達がやって来た。
僕はあの時のお母さんたちがやったように、家族になった。
僕はお父さんと呼ばれるようになった。
そう呼ばれてから数年後。
───あの時引き取られていった、お母さんがやって来た。
すっかり綺麗な、大人の女性になっていた。
そしてあの時突然離れてしまった僕のことがどうしても気がかりで、お姉ちゃんと相談して僕を養子として引き取ることを決めたらしい。
だけど、それを聞いたとき、僕は他の子供たちの顔が思い浮かんだ。
僕がいなくなったら、それこそあの時の僕と同じように、寂しい思いをするんじゃないか・・・?
そう思うと、とても悲しくなった。
だけど同時に、あの時の僕の気持ちも思い出した。
僕は、あの時嬉しかったんだ・・・
僕は、養子になる事になった。
孤児院を出るとき───。
僕ももう一度、ここへ来ようと思った。
今度は、あの子達を引き取れるように・・・
総合点:1票 物語:1票
物語部門春雨【
投票一覧】
「素晴らしい感情のドラマ」
2015年09月09日00時