男が住んでいる小さな村『海亀村』
彼が村を歩いていると村人たちは皆口々に彼を罵倒する
だが男はそれを喜び、罵倒されることを誇りにすら感じていた
状況を補足してください
13年03月21日 22:21
【ウミガメのスープ】【批評OK】
[真央]
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この村には困った宗教があった
『ウミガメ教』
この小さな村で古くから神様として祀られているウミガメ様の宗教だ
この宗教の困った教えに村人たちは長いあいだ苦しめられていた
・刃物や針で人や自ら傷つけてはいけない
・家族以外の血を自分たちの家に入れることはいけない
・食べ物以外のモノを口にしてはいけない
などといった教えだ
この村では手術も輸血も、経口薬ですら使用してはいけないのだ
この教えを破れば神様の下へ行くことができないとされている
多くの村人が病にかかれば治療されずに苦しみながら亡くなった
そんなある日この村に引っ越してきたのが件の男であった
男は土地や物価が安いのを理由に村に小さな診療所を建てた
病にかかった人がいればすぐに駆け付け治療をした
最初は戸惑い宗教上の理由から治療を断ろうとした家族もいたが
医者は村人たちにこう宣言した
「苦しんでいる人は皆私の患者だ、嫌がっても勝手に治療させてもらう
だが心配はいらない、私は異教徒の医者だから神様に罰せられるのは
私一人で済むだろう、あなたたちはただ治療する私を罵倒すればいい」
医者は生涯ずっとその村で村人たちの医者で有り続けた
村人たちはというと表立って感謝の言葉を口にできないので毎日罵倒し続けた
だがその罵倒の言葉は、全て村人たちからの感謝の言葉の裏返しであった
総合点:4票 納得感:1票 物語:3票
納得感部門からす山【
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「真性のドMとかかな……とか思いながら解説に行くと、この解説。問題文がこれだからこそ、この特殊だけどドラマティックな状況に納得せざるを得ません。」
2017年10月08日11時
物語部門からす山【
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「男の勇ましさ・優しさ・覚悟、村人たちの悲壮をはらんだ罵倒に、とても強い思いを込めてこの物語が描かれたのを感じます。」
2017年10月08日11時
物語部門とかげ【
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「村人達に罵倒されると、男は喜び、それを誇りにすら感じる。罵倒の裏には、意外なストーリーが隠されていました。問題文自体に物珍しさはないかもしれませんが、この真相にはグッときます。」
2015年12月06日19時
物語部門春雨【
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「言葉というのは込められた思いが重要なのです。表面的な意味でなく。」
2015年08月22日16時