冷たい、感情の欠落した彼のために、少女はそれを持ってきた。
それは間違いだったのだが、彼は胸が暖かくなるのを感じた。
状況を補完してください!
12年01月19日 22:57
【ウミガメのスープ】
[yan]
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「お嬢様、お茶が入りましたよ」
「ありがと、バト」
「えへへ、ねぇ、バト?」
「なんですか? お嬢様」
「あたし、バトだーい好き! バトは、あたしのこと好き?」
「…私は、主人に対して、特別な感情は持っていませんので」
「えー?なんか冷たーい!執事たるもの、主人を愛すべきじゃない?」
「…確かに、執事やメイド等、介護・世話をするタイプのアンドロイドは感情を持っていますが…
私には、その回路がないのです」
「…なーんだ!それならあるよ!もってきてあげる!」
そういって少女は、奥の部屋から小さな袋を持ってきた。
少女はそれを軽く握ると、バトの胸の辺りに軽く当てる。
「ほら!カイロ。これで暖かい感情を持てるようになるの?」
「…」
バトと呼ばれるそのアンドロイドは、返答に困っていた。
ジョーク等の苦手な彼が、少女が「回路」と「懐炉」を間違っていることに気づくのに、1分以上の時間を要した。
間違いを訂正するタイミングを逸した彼が逡巡している間、彼の温度センサーはヤンワリとした温かさを伝えてくる。
不思議な感じだった。
彼女の可愛らしい間違い、一生懸命さ、なにもかもが…
なんというか、好ましく感じられた。
「…ごめんね、バト。これ、半日くらいしか保たないの…」
「…いえ。ありがとう、お嬢様。おかげで、暖かくなりましたよ」
冷たかった鉄の体に、温もりが生まれたような気がした。
総合点:2票 物語:1票 言葉遊び:1票
物語部門春雨【
投票一覧】
「言葉遊び×物語の極致!」
2015年10月11日00時
言葉遊び部門春雨【
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