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ウミガメのスープ 本家『ラテシン』 
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項目についての説明はラテシンwiki

Can't Buy Me …(問題ページ

端で見つけた古ぼけた小瓶。それを何気なく手に取ったカメオの前に魔人と名乗る者が現れた。
どうやらこの魔人は500年に一度目覚め、人間の手によって小瓶による封印から解放されるらしい。

魔人「人間にとっての喜びといえば財産が増えることらしいからな。これまでに我が輩を解放してきた者にはその礼として馬200頭や小判500枚を与えてやった。貴様もそれでいいか?」

カメオ「牛や小判はかさばる。現金をもらえるか?」
魔人「yes 小切手でも口座への振込みでもいいぞ。金や土地といった資産に振り替えることもできる」
カメオ「魔人の癖に人間界詳しいな。で、代わりに俺の命をよこせなんて言うのか?」
魔人「no 我が輩を解放した礼だ。代償をもらっては意味がない」

その後いくつか質問をしたカメオはお礼を受け取らずに魔人と別れた。なぜ?
17年10月19日 00:44
【ウミガメのスープ】【批評OK】 [柳原うめこ]



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ざっくりとした解説】
魔人の能力は財産を二倍にするというもの。何の資産も持たないカメオはもう少し財産を増やしてから二倍にしてもらおうと考えた。


【そんなカメオのながーいお話】

カメオ「欲しいだけ金をくれるって言うのかい?」
魔人「no そうではない。我が輩の力はその人間の財産を二倍にする、それだけのものだ」
カメオ「なるほどな。馬が財産ってところもあるし、昔は小判が使われていただろうからな。でも今の俺は…」

魔人と出会ったときのカメオ(34歳)は職を失い、妻とも別れ、やけ酒をあおって駅前で夜を明かすホームレス。
現在の手持ちは132円。倍になったところでどうというものではない。

カメオ「あんちゃん」
魔人「no 魔人だ」
カメオ「どっちでもいいや。俺が欲しいと思ったそのときに礼をくれるってのはアリかい?」
魔人「yes もちろんだ。貴様が握っているその小瓶に呼びかければいつでも駆けつける。ただし我が輩は100年後には再び眠りにつく。そうなっては礼のしようもないがな」
カメオ「へへっ、そんなには待たせねーよ。てか、俺が死んでらぁ。んじゃ、礼が欲しくなったら呼ぶことにするよ」
魔人「yes 好きにするがよい」

そしてカメオは小瓶を手に入れ、魔人と別れた。

カメオ「もう少し稼いでから二倍にしてもらわねーとな」
それからカメオは酒を断ち、仕事に打ち込んだ。
ホームレスでも可能な仕事をこなし、今日は500円、翌日は550円と少しずつ金を残していく。

カメオ「やっと五千円か。まだまだだな」
清掃員、荷物の積み下ろし、皿洗い…そうして飲食業界に興味を持ち、とあるレストランでバイトを始める。

カメオ「今日は給料日。月給10万5千円っと。…まだまだだな」

そして18年後。接客を覚え、調理師免許を取り、年老いたオーナーシェフの右腕として働くカメオ(52歳)。
自宅のリビングに置いてある小瓶を見つめて彼はつぶやく。
カメオ「貯金もできた。小さいながらも一軒家を手に入れた。でも…まだまだだな」

その後亡くなったオーナーの後を継ぎ、自分で作り上げたウミガメのスープでシェフとして磐石の地位を築いたカメオ。
店で出会った女性と再婚し、子供もでき、もうすぐ孫が生まれるらしい。
肉体的な衰えを感じて店は長男に任せた。でも…まだまだ……だ。

妻「あなた、夕飯が…」
ロッキングチェアに腰かけ、眠るように旅立っていったカメオ(享年93歳)。その右手には古ぼけた小瓶が握られていた。


魔人「やれやれ。時折こいつの様子を見てきたがまさか礼をもらわずに死んでしまうとはな。程よいところで礼をもらえばいいものの、欲張りすぎて機会を逃した愚か者か……いや、あそこで礼をもらってしまえばこいつの人生はここまで幸せにはならなかったのか…?yesno なんとも人間とは不思議な生き物よ」
総合点:4票  チャーム:1票  伏線・洗練さ:1票  物語:2票  


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チャーム部門からす山
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「YESNOで答える魔人の姿がなんとも新しい表現で、謎とは関係なくそこに目を引かれてしまいます。謎もそうですが、それ以上にそこに至るまでの問題文の経緯が興味深く、その部分のチャームが高いです。」
2017年10月19日21時
伏線・洗練さ部門イナーシャ
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「「魔人の能力」の設定が巧みです。嘘はなく本当の事しか書いていないのに、見事に騙されました。」
2017年10月19日01時
物語部門からす山
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「解説の魔人に完全同意です。人間って、本当に不思議な生き物。いくら考えても考えても分からず、答えの出ない問いばかりが生み出されます。これもそんな物語の一つです。あと、カメオ、頑張りましたね。お疲れ様。」
2017年10月19日21時
物語部門イナーシャ
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「男の人生が詰まっています。ラストの「YesNo」がたまらないですね。」
2017年10月19日01時

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