A社が開発した殺虫剤は、他社のどんな殺虫剤よりも多くの虫を殺せるらしい。
ところが、その殺虫剤がきっかけでA社は倒産してしまう。
その後、A社の技術を買い取ったウミガメ社がこの殺虫剤を再販したところ大ヒットとなった。
殺虫剤の成分は変わらないのに、どうしてだろう?
SP:ディダムズさん
17年08月21日 21:53
【ウミガメのスープ】【批評OK】
[蛇目]
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「殺したいですか?にっくき虫たちを。そんなときにはこれ!どんな殺虫剤よりたくさんの虫殺しの日々」
そんなキャッチコピーで売っていたA社製殺虫剤。
たくさん殺せるならと乗り換えた人も多かった。
しかしこの殺虫剤、殺虫力は他社製品とそう変わらない。
なのになぜ「たくさんの虫殺し」を謳ったか?
というのも、これにはこっそり虫をおびき寄せる効果のある薬品が混ぜられていた。
これにより、殺虫剤消費の拡大を狙ったのである。
A社殺虫剤消費が増えれば、A社の殺虫剤が殺した虫の数も増えることになり、結果的に他社のどんな殺虫剤よりも多く虫を殺すことになる。
例えばある被害者の話では、使い始めて最初の頃は普通のものと変わらないと感じていたが、徐々に噴射するたびに落ちて来る羽虫の量が増え始め、すぐ使い切るようになった。
効果を感じてまたA社製を買った。
虫が寄ってくるため、噴射する。それが虫を集め、また殺す、虫が集まり、殺し、また使い切って…。
いくつかの家が虫の巣窟になって判明した虫寄せ効果。
アリ、ハエ、蛾、蝶、カブト、この辺りはまだいい。Gにカメムシ、果てにシロアリなどという手に負えない虫たちが、殺虫剤に引き寄せられていた。
当然、消費者の怒りがA社に押し寄せた。
家の掃除費、補修費、ダニのアレルギーが出たからその治療費、などなど。多額の賠償がA社にのしかかり、さらには消費者からの信頼を失ったことで商品は売れず、結局倒産してしまった。
さて、この虫寄せ殺虫剤に目を付けたのがウミガメ社である。
A社から技術を買い取ったウミガメ社は、内容物を何も変えず、キャッチコピーと使用説明だけを変えてこれを売り出した。
「いつもこの場所、一網打尽!」
例えば、絨毯の上に出てきてほしくない。例えば、いつも見えないけれど奴がいるような気がする。
そんな決闘の場所や隠れGに悩んでいた人をターゲットに売り出し、それは見事成功を収める。
さて、そんなウミガメ社の殺虫剤に大きく書かれている注意事項。必ずお守りくださいますようお願い申し上げます。
「窓の近くでは使用しないでください!」
総合点:2票 納得感:1票 伏線・洗練さ:1票
納得感部門甘木【
投票一覧】
「現実的で非常に説得力のある良問題!」
2017年08月22日20時
伏線・洗練さ部門エリム【
投票一覧】
「実際に商売をする時に抑えるべきことを考えさせられる1問です。物を生かすかどうかは自分次第。それは問題を作る時もそうかもしれません。思考のスタンスの基本とも言える問題です。」
2017年08月25日01時