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【猛者のスープ】クレヨンを持つ少女(問題ページ)
夏子は保育園の先生に絵を褒められたことがきっかけで、祖母から虐待を受けるようになったという。
一体どういうことだろう?
一体どういうことだろう?
17年08月21日 21:00
【ウミガメのスープ】【批評OK】 [ポトフ]
【ウミガメのスープ】【批評OK】 [ポトフ]
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【簡易解説】
夏子の絵を見た先生(葵)が、頭を撫でて褒めようとしたところ夏子は手で頭をかばった。夏子が親から虐待を受けているのではないかと疑った葵は、強い責任感に駆られ夏子の自宅を訪問。夏子が母親(海子)から虐待を受けていることを明らかにする。夏子は祖母(亜希子)に引き取られることになったが、今度は亜希子が、娘が逮捕された腹いせに夏子を虐待するようになった。
―――
「ひまわりの絵を描いてみましょう」
夏子が園庭に咲くひまわりを見ながら絵を描いていると、葵が近寄ってきた。
「うわー、夏子ちゃん上手な絵だねー」
葵が夏子の頭を撫でて褒めようとすると、夏子は咄嗟に手で頭をかばった。
(この反射的な動作……もしかして、虐待を受けてる?)
その日の夕方、次々と子供を迎えに親が来る中、夏子の親はなかなか来ず、迎えに来たのは最後。
ようやく親が来てくれたというのに、夏子はどこか悲しげだった。
(そういえば、夏子ちゃんがお母さんと楽しそうに喋っているところってあんまり……)
疑念を疑念のままで放っておいて後悔したくないと思った葵は、帰りに夏子の自宅を訪れることにした。
保育園から歩くこと約15分。
商店街を抜けた先にある古びたアパートの3階に夏子の自宅はあった。
葵はあらかじめ取っておいた夏子の黄色のクレヨンをバッグから取り出し、インターフォンを押した。
「あの、水平保育園の山崎葵ですけど、夏子ちゃんが忘れ物をしていたので届けに来ました」
「えっ……はい、今行きます」
2分ほど経ってようやくドアが開き、夏子の母親である海子が現れた。
「こんばんは。これ、夏子ちゃんが忘れていたので……」
「何でわざわざ……明日渡してくれたら良くないですか?」
「帰り道なので、ついでにと思いまして……。あっ、夏子ちゃん居ます?」
「何か夏子に用があるんですか?」
「いや……」
「夏子はもう寝ました。じゃあ、先生ありがとうございました。さようなら」
「あっ、さよう……」
葵が「さようなら」と言い切らない内に、海子はドアを閉めてしまった。
何だか家に来てほしくなかったかのような対応だ。
疑念はさらに深まる一方……。
でも証拠がない以上これが精一杯だった。
葵は家路につくことにした。
とその時、
「あんた、クレヨン保育園に忘れたでしょ!なんでちゃんと持って帰ってこれないの!」
「ママ、ウウッ、ゴメンなさい……。ヒクッ、ゴメンなさい……」
泣きながら謝る少女の声が聞こえる。
夏子だ。
「夏子ちゃん大丈夫!?」
葵は必死にドアを叩いた。
「あっ……先生、な、何ですか?」
怯えた様子の海子がドアから顔を覗かせた。
「今、夏子ちゃんが泣いているのが聞こえましたけど……。実は今日、保育園で夏子ちゃんを撫でようとしたら、夏子ちゃんは頭を庇おうとして……。もしかして……」
「……」
「ちょっと失礼します」
「えっ……」
海子を強引に押しのけ、家の中へ入っていくと、リビングに体育座りをして泣いている夏子の姿があった。
着ている服は所々穴が空き、薄汚れている。
葵は夏子に駆け寄り、ギュッと抱きしめると、そっと服をめくり上げて背中を見た。
きっと海子に虐待をされたのだろう、そこにはいくつもの痣があった。
「これ、お母さんがやったんですよね?」
「これは……」
「ママは悪くない!私が良い子じゃないから……良い子じゃないのがいけないの……」
「夏子ちゃん、叩かれたりして痛かったでしょ?別に我慢しなくていいんだよ」
「虐待なんかしてません。この前、夏子がお風呂ではしゃいで転んで背中をぶつけたんです。ねぇ、夏子?」
「うん……」
「痣は古いものから新しいものまでありますよ。何度も転んだって言うんですか?……これからもこんな生活を続けていくんですか?」
「……これが私のしつけ方なんです!夏子もそれを理解してくれてるはずです!先生にとやかく言われたくありません!」
「本当に夏子ちゃんのためになると思ってるんですか?あなたのやっていることはただの犯罪ですよ!このまま帰るわけには行きませんし、警察を呼ぶことにします」
「ちょっと待って先生!」
葵の腕を掴み必死に抵抗する海子を払いのけ、葵は警察に電話をかけた。
数分後、警察官はやって来た。
泣きじゃくる夏子と海子、そして葵を乗せたパトカーが
暗闇へと消えていった――。
―――
その後、祖母亜希子の家で生活することになった夏子。
ようやく平穏な日々が送れるかと思われたのだが……。
「あんたのせいで海子は逮捕されたのよ!あんたが良い子にしてないから!」
「あら、夏子の分の晩御飯作るの忘れちゃったわー」
「2日間旅行に行って来るからじっと家にいなさいね」
もはや亜希子は夏子が知っている優しいおばあちゃんではなく、溺愛する娘が逮捕された憎しみから復讐の鬼と化していた。
暴力こそ振るわれないものの、ネグレクトを受ける日々。
でも夏子は以前とは違った。
「せんせー、たすけて。おばあちゃんが変わっちゃった。わたし、あんなおばあちゃん嫌だ……」
夏子は、たった一人、信頼できる葵にそう打ち明けた。
―――
夏子の人生を変えたひまわりの絵。
それは今も押入れで誇らしげに咲いている。
夏子の絵を見た先生(葵)が、頭を撫でて褒めようとしたところ夏子は手で頭をかばった。夏子が親から虐待を受けているのではないかと疑った葵は、強い責任感に駆られ夏子の自宅を訪問。夏子が母親(海子)から虐待を受けていることを明らかにする。夏子は祖母(亜希子)に引き取られることになったが、今度は亜希子が、娘が逮捕された腹いせに夏子を虐待するようになった。
―――
「ひまわりの絵を描いてみましょう」
夏子が園庭に咲くひまわりを見ながら絵を描いていると、葵が近寄ってきた。
「うわー、夏子ちゃん上手な絵だねー」
葵が夏子の頭を撫でて褒めようとすると、夏子は咄嗟に手で頭をかばった。
(この反射的な動作……もしかして、虐待を受けてる?)
その日の夕方、次々と子供を迎えに親が来る中、夏子の親はなかなか来ず、迎えに来たのは最後。
ようやく親が来てくれたというのに、夏子はどこか悲しげだった。
(そういえば、夏子ちゃんがお母さんと楽しそうに喋っているところってあんまり……)
疑念を疑念のままで放っておいて後悔したくないと思った葵は、帰りに夏子の自宅を訪れることにした。
保育園から歩くこと約15分。
商店街を抜けた先にある古びたアパートの3階に夏子の自宅はあった。
葵はあらかじめ取っておいた夏子の黄色のクレヨンをバッグから取り出し、インターフォンを押した。
「あの、水平保育園の山崎葵ですけど、夏子ちゃんが忘れ物をしていたので届けに来ました」
「えっ……はい、今行きます」
2分ほど経ってようやくドアが開き、夏子の母親である海子が現れた。
「こんばんは。これ、夏子ちゃんが忘れていたので……」
「何でわざわざ……明日渡してくれたら良くないですか?」
「帰り道なので、ついでにと思いまして……。あっ、夏子ちゃん居ます?」
「何か夏子に用があるんですか?」
「いや……」
「夏子はもう寝ました。じゃあ、先生ありがとうございました。さようなら」
「あっ、さよう……」
葵が「さようなら」と言い切らない内に、海子はドアを閉めてしまった。
何だか家に来てほしくなかったかのような対応だ。
疑念はさらに深まる一方……。
でも証拠がない以上これが精一杯だった。
葵は家路につくことにした。
とその時、
「あんた、クレヨン保育園に忘れたでしょ!なんでちゃんと持って帰ってこれないの!」
「ママ、ウウッ、ゴメンなさい……。ヒクッ、ゴメンなさい……」
泣きながら謝る少女の声が聞こえる。
夏子だ。
「夏子ちゃん大丈夫!?」
葵は必死にドアを叩いた。
「あっ……先生、な、何ですか?」
怯えた様子の海子がドアから顔を覗かせた。
「今、夏子ちゃんが泣いているのが聞こえましたけど……。実は今日、保育園で夏子ちゃんを撫でようとしたら、夏子ちゃんは頭を庇おうとして……。もしかして……」
「……」
「ちょっと失礼します」
「えっ……」
海子を強引に押しのけ、家の中へ入っていくと、リビングに体育座りをして泣いている夏子の姿があった。
着ている服は所々穴が空き、薄汚れている。
葵は夏子に駆け寄り、ギュッと抱きしめると、そっと服をめくり上げて背中を見た。
きっと海子に虐待をされたのだろう、そこにはいくつもの痣があった。
「これ、お母さんがやったんですよね?」
「これは……」
「ママは悪くない!私が良い子じゃないから……良い子じゃないのがいけないの……」
「夏子ちゃん、叩かれたりして痛かったでしょ?別に我慢しなくていいんだよ」
「虐待なんかしてません。この前、夏子がお風呂ではしゃいで転んで背中をぶつけたんです。ねぇ、夏子?」
「うん……」
「痣は古いものから新しいものまでありますよ。何度も転んだって言うんですか?……これからもこんな生活を続けていくんですか?」
「……これが私のしつけ方なんです!夏子もそれを理解してくれてるはずです!先生にとやかく言われたくありません!」
「本当に夏子ちゃんのためになると思ってるんですか?あなたのやっていることはただの犯罪ですよ!このまま帰るわけには行きませんし、警察を呼ぶことにします」
「ちょっと待って先生!」
葵の腕を掴み必死に抵抗する海子を払いのけ、葵は警察に電話をかけた。
数分後、警察官はやって来た。
泣きじゃくる夏子と海子、そして葵を乗せたパトカーが
暗闇へと消えていった――。
―――
その後、祖母亜希子の家で生活することになった夏子。
ようやく平穏な日々が送れるかと思われたのだが……。
「あんたのせいで海子は逮捕されたのよ!あんたが良い子にしてないから!」
「あら、夏子の分の晩御飯作るの忘れちゃったわー」
「2日間旅行に行って来るからじっと家にいなさいね」
もはや亜希子は夏子が知っている優しいおばあちゃんではなく、溺愛する娘が逮捕された憎しみから復讐の鬼と化していた。
暴力こそ振るわれないものの、ネグレクトを受ける日々。
でも夏子は以前とは違った。
「せんせー、たすけて。おばあちゃんが変わっちゃった。わたし、あんなおばあちゃん嫌だ……」
夏子は、たった一人、信頼できる葵にそう打ち明けた。
―――
夏子の人生を変えたひまわりの絵。
それは今も押入れで誇らしげに咲いている。
総合点:2票 チャーム:1票 斬新さ:1票
最初最後
チャーム部門しゃっくり2
【投票一覧】2017年09月02日16時
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「※解説を読んだ後にこの文章をお読みください。この問題では「褒められた」という事が「撫でられる」という行動に繋がる事がポイントです。そしてこの「撫でられる」という行為を夏子が嫌がった理由が「虐待」という事実に繋がった所に魅力を感じました。」
最初最後