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ウミガメのスープ 本家『ラテシン』 
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異邦の旅人(問題ページ


(私は夢を見ているのだろうか?ここはまるで中世ファンタジー世界のようだ...)


放浪中で宿無しの私に一夜の宿を提供してくれたのは貧しい身なりの少年だった、15歳くらいだろうか?
質素ではあるが心のこもった食事を用意してくれたので、夕食は楽しいひと時となり、お互いの身の上話が弾んだ。
彼は幼い頃に両親を亡くし、ずっとこの村で細々と生活しているが、不満もなくこの地の神に感謝しているという。

翌朝気持ちの良い目覚めを迎え、私は旅立つ前にご両親のお墓に手を合わせたいと願い出た。彼は喜んでくれた。
お墓は石を積み重ねだだけの簡素なものであったが、この地の貧しい者達にとってはこれが普通なのだと言う。
とは言え、二つ並んでそれぞれに花と水が供えてあり、花は大きくなかなか見事なものだ、少年の優しさが感じられる。
失礼ながら生活の割には随分と立派な花だと思ったが、聞けばこの地は植物の育成に適しているらしい。
彼も生業の一部としており、街の市場に花を売りに行く事も有るのだと言う。

そして少年のご両親のお墓に手を合わる。しかし、そこで私は小さな疑問を感じた。
二つの墓それぞれに花と水が供えてあるのだが、一方の墓だけが花で隠れんばかりなのだ。


いったいどういう事だろう?
17年05月23日 23:47
【ウミガメのスープ】【批評OK】 [立派なうさぎ]



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は尋ねた。
彼は少し照れ、少し悲しそうに、そして少し誇らしげに答える。

「左の小さなお墓は父さん、花でだいぶ隠れちゃってるけど。
 僕が4つの時に亡くなったんだけど、その時もう母さんは身体が弱っていて殆ど起きる事ができなくて。
 泣きながら僕一人で石を積んだんだ、他に身内もいなかったからね。
 右の大きなお墓は母さん、結局そのまま回復せず僕が8つの時に遂に逝ってしまって。

 今なら二人のお墓をもう少し立派にする事もできるけど・・・
 僕が4歳の時の最後の父さん、僕が8歳の時の最後の母さんを忘れたくないから。
 これでもあの時の僕が精一杯、僕なりに作る事の出来た最高のお墓なんだよ。
 手を合わせてくれてありがとう。」


(そんな彼の言葉を薄れる意識の中で朧気に聞きながら私は旅立った、元の世界へと...)






FA条件&要約
(①この地の貧しい者達は、身内の者が石を積んでお墓を作る。)
②花の大きさは同じで、お墓の大きさの大小が違う。
「一方の墓だけが花で隠れんばかりなのだ(花で隠れんばかりに小さいのだ)」
③亡くなった年齢当時に運べる石の重さの違いがお墓の大きさの差異に。

①については、②③回答時点で既に前提となっていれば特には不要
総合点:1票  伏線・洗練さ:1票  


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伏線・洗練さ部門なさ
投票一覧
「問題文は比較的長めですが、クルーの質と量、そして雰囲気づくりのためのいわゆるノイズのバランスが絶妙です。 程よい難易度の叙述トリックを見破れば、あとは散りばめられたピースを上手く繋ぐと真相が見えてくる構成になっています。 雰囲気の良さも相まって、非常に美しい問題だと思います。」
2017年05月25日02時

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