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ウミガメのスープ 本家『ラテシン』 
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【世界田中奇行】イジリー田中(問題ページ

族への手紙を書き終えた田中は、特に伝えたい文章を舌で舐めた。
いったい何故?
17年04月10日 18:27
【ウミガメのスープ】【批評OK】 [letitia]



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中家に、長男の正一から手紙が届いた。
いつもと同じく、「お父様、お母様、正二、お元気ですか」から始まり、当たり障りのない近況を述べ、家族の健康を祈願して終わる手紙だった。正一は今フィリピンにいるらしい。故郷の涼しい夏を思い出すと書いてある。
何も変わったところのない、いつも通りの手紙だった。

兄弟は二人そろって切手収集が趣味だった。しかし戦時下ではそれもご無沙汰だ。兄からの手紙はいつもは切手のいらない軍事郵便で、大きく検閲済みの印が押してあった。
その日届いた手紙には、珍しく美しい図柄の切手が3枚も貼ってあった。遠隔地だからだろうか。正二は、水を器用に使って丁寧に切手を剥がした。
切手の裏には小さな文字がびっしりと書かれていた。

“食糧も足りぬ、弾も足りぬ、日々人が死ぬ。地獄以上にひどい有様だ。日本は負けるだろう。”

“弟よ、お前はけして戦地に来てはならぬ。俺は生きて帰れぬ。老いたる父母を頼む。”

“雨土にまみれ南で果つるとも くにの小川の水となりたし”

【要約解説】
戦時下の日本兵である田中は、検閲を避けて本音を伝えるために、特に伝えたい文章を切手の裏に書き、舐めて貼った。葉書に直接書いて上から貼るのでは、切手の大きさに合わせてはみ出さないように書くのが難しい。切手の裏に書いてそれを貼れば、はみ出すことがない。田中は、自分と同じく切手収集が趣味の弟が、切手を剥がして気づくことを信じた。
総合点:2票  チャーム:1票  伏線・洗練さ:1票  


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チャーム部門オットセイ三世
投票一覧
「パッと見、数ある田中の奇行の中でもに特にギョッとするのですが、納得の理由があったのです。真相を知りたくなるチャーム抜群です。」
2017年10月29日10時
伏線・洗練さ部門az
投票一覧
「この問題文から「あるキーワード」を連想すること自体は難しくない。しかし、その先、「いったい何故」の問い掛けに完全解答するのは、一筋縄ではいかない。何故そんな奇妙な行動を取る必要があったのか、ベールを丁寧に剥がしていった先にこそ、その真相はある。ひとつの事象から思いがけない背景が導き出される、シチュエーションパズルとしての傑作。」
2017年04月10日22時

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