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ウミガメのスープ 本家『ラテシン』 
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項目についての説明はラテシンwiki

命題「愛の起源」は真か偽か(問題ページ

は死んだ。

人並み以上に豊かで恵まれた男だったが逝くときはあっけなく、しかし満足して死んだ。

そんな男の遺品を整理していた妻は書斎の引き出しから、男がいつも大切にしていたノートを見つけた。
ノートを開くと、使い込まれた紙とインクの匂いが香る。
そのノートには何気ないものから、男の人生を左右するような重大なものに至るまで
過去、男の身に訪れた様々な幸福がびっしりと記されていたが
その中に妻と男の馴れ初めや、大恋愛の末の結婚についての記述が一切無いことに気付いた妻は
自分と夫がまさに真実の愛で結ばれていたのだと理解してさめざめと涙をこぼしたという。

はてさて、これはいったいどういう事だろうか。

Soup Partner by Dr.松神
17年03月30日 01:26
【ウミガメのスープ】 [tosh]



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のノートには使用者の願いを叶える不思議な力があった。
このノートを使っていた男は、ある日それに気付きノートに自らの願いを記すようになった。
地位と金を手に入れるために願ったこともあった。
身に訪れた病苦を克服するために願うこともあった。
健やかに穏やかに過ごせるよう願ったこともあった。
しかし、彼は、自らの伴侶に関することだけは願わなかった。
人並みに欲深い彼であったが心をまでを思い通りにしようとは思わなかったのだ。
彼は直に結婚した。絶世の美女では無かったが、彼にとっては愛らしく、また彼を深く愛してくれた女性だった。

そうして月日が流れたある日、夫は死んだ。子に孫に囲まれ、傍らの寄り添う最愛の妻に看取られて天寿を全うした。
不老不死を願うことも出来たが、男は願わなかった。男はすでに人生に満足していたから。

残された妻は喪失感に包まれながらも、夫の残した遺品のノートに目を通しはじめた。
妻はノートについて知っていたが、びっしりと書き込まれたノートにはすでに書き込むスペースは無いし、欲の無い妻にとっては願いを叶えるノートというよりも、夫の半生が詰まった備忘録のようなものだ。そして、一通りノートに目を通した時、妻は気づいた。ノートのどこにも妻と夫の関係に関する記述が無いことに。不安はあったのだ。もしかしたら夫を想う気持ちは夫の願いによって齎されたものなのかもしれないと。もしかしたら、夫は願いによって簡単に手に入れた自分を都合よく扱っているだけなのかもしれないと。しかし、夫のノートにはどこにもそれに関する記述はない。
妻は、自らの愛と夫の愛がまさしく本物であったことを確信し、静かに涙をこぼした。

一行解説
願いを叶えるノートに愛に関する記述が無かったため、妻は自らの愛が作られたものではなく本物であると確信した。
総合点:1票  物語:1票  


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物語部門ひゅー
投票一覧
「男の身に訪れた様々な幸福がびっしりと記されていたノートに妻のことが書いていない、だからこそ真実の愛がある…それに気付いたときの妻の喜び、あえて書かなかった男の気持ちを考えると感慨深いものがあります。」
2017年08月28日20時

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