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ウミガメのスープ 本家『ラテシン』 
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春遠からじ(問題ページ

近牛乳の減りが速いのに気づいたケンジは、甘党の娘が家から出ていけばいいと思った。いったいどういうことだろう?
16年11月22日 17:32
【ウミガメのスープ】【批評OK】 [az]



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ンジの家庭では、あまり牛乳を飲む習慣がない。週に2,3日、寝る前にケンジがホットミルクを作って飲む程度だ。
その割に、最近は今までに比べ、妙に牛乳の減りが速い……。もしやと思ったケンジは、戸棚に置いてあるインスタントコーヒーの残りを調べてみた。

思った通り、コーヒーも以前見た時よりずいぶん減っていた。そういうことか、とケンジは得心した。

コーヒーを飲んでいるのは娘のミユキだろう。
高校三年生、大学受験を控えたミユキ。夜はいつも早めに就寝するケンジにはわからないが、きっと彼女は、夜遅くまで勉強しているのだろう。その際、彼女は眠気覚ましとしてコーヒーを淹れて飲んでいるに違いない。甘党で、苦いものが苦手なミユキはきっと、牛乳をたっぷり入れて……。


夏頃からミユキは、志望校に東京の有名大学の名を挙げるようになった。彼女は地元の大学に進むものだとばかり思っていたケンジからすれば、どこまで本気なのかと多少疑っていたりもした。
しかし、どうやら彼女は本気のようだ。わざわざ眠気覚ましのコーヒーを淹れて、夜遅くまで頑張っているのだから――。


志望大学に進むことになれば、今の家からは通えない。当然、家を出て下宿を始めることになるだろう。
寂しいことではある。しかし、娘の努力が報われて、春にはそういうことになっていればいいと、ケンジはしみじみ思ったのだった。





しかし、あんまり夜更かしするのもよくないぞ、わが娘よ。
総合点:1票  物語:1票  


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物語部門エリム
投票一覧
「問題文と解説のギャップが素晴らしい。牛乳という身近な題材と、甘党という娘の設定が具体的で、ドラマ性を高めています。主人公の気づきの繊細さに、作者さんの細やかな心がうかがえます。」
2017年01月08日21時

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