冴えない高校生のカメオが、突然クラスメイトのウミコのことを思い浮かべたのは、その日、
凶悪な宇宙人・リバニカ星人が地球を侵略しようとしたからだという。
いったいどういうことだろう?
16年11月04日 18:01
【ウミガメのスープ】【批評OK】
[az]
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冷酷非道で好戦的なリバニカ星人。母星の付近にある星、そこに棲む生物をことごとく滅ぼし尽くし、なお飽きたらない彼らは、新たな獲物を求めて遥か遠くの銀河系へと遠征を開始した。
宇宙を進軍する、大編成の侵略部隊。しかし、生命の存在する惑星がなかなか見つからない。宇宙船の燃料の事情からもそろそろ限界か、と思われたとき、彼らは遂に、知的生命体の存在する巨大な青い惑星を発見! 血に飢えた彼らは、我先にと青い惑星へ突撃していったーー。
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地球。
夜道をとぼとぼ歩く冴えない高校生・カメオは、空を見上げながら思わず叫んだ。
「あ、流れ星!」
カメオは、大気圏で宇宙船ごと燃え尽きていくリバニカ星人を(そうとは露知らず)嬉しそうに眺めていた。
空に走る無数の流星。侵略者たちの阿鼻叫喚をよそに、カメオはまるで夢の景色のように美しい眺めだなぁと、星の降る空を見上げる。
「そうだ、せっかくだし願い事しよう」
カメオは片想い中のクラスメイト・ウミコのことを思い浮かべながら、
「ウミコちゃんと付き合えますようにーー」
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思いがけない流星群はしばし世間を賑わせたが、それだけだった。宇宙船は跡形もなく燃え尽きたので、空で何があったのか、地球人が知ることは遂になかった。
総合点:1票 トリック:1票
トリック部門とかげ【
投票一覧】
「突然クラスメイトのことを思い浮かべたのは、凶悪な宇宙人が地球を侵略しようとしたから? 繋がりそうで繋がらない2つの事象。地の文の特性をうまく利用したトリックだ。」
2016年11月26日01時