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ウミガメのスープ 本家『ラテシン』 
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ナイフの行方(問題ページ

を殺された父親は、犯人と、凶器のナイフを探し当てた

だが、父は警察に行かず、そのナイフを隠してしまった

ナイフは、明らかに犯人のものであり、そのナイフによって犯行は立証できるはずだったのに、なぜだろうか?
16年11月02日 00:01
【ウミガメのスープ】 [しおまる]



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――昨夜、夜十時ごろ、女子高校生の○○ ○○さん、16歳が刺殺される事件がおきました―――


高校生になった一人娘が殺されたのは、夏休みに入ってすぐのことだった


夏祭りの帰り、人けの少ない路地で刺さていた
怨恨か、通り魔か、警察にも判断がつかない状態で、犯人探しは難航した


その日から、父親は会社を休み、死にもの狂いで情報を集めた
そこから一人の男子高校生が、犯人として浮上してきた


娘とは違う高校の少年
友人を通して知り合い、娘とはどうやら恋仲だったようだ

その少年に会おうと、少年の家や、良く行く場所をさがしたが見つからない
どうやらここ数日、行方不明ようだ



父親は思いついたように、娘の手帳に書いてあった、よく二人でこっそり会っていた場所へ、足を運んだ



そこは、町はずれの神社だった
境内に隠れるように、男は死んでいた


思っていたより、幼い顔つき
半袖の制服は、血で赤く染まっている
娘を刺したと思われるナイフで、自らの腹部を刺していた


夏というのに、境内は木が生い茂っており、涼しかった
男の死体も、腐敗もしていないようだ
死後1日前後だろう


二人の関係から、なにがあったかは容易に想像できた
高校生、夏、恋人、喧嘩、誤解、嫉妬
誰もが経験するような感情の流れのなか、娘は刺されてしまった


そしてこの少年も、ナイフなんて持ち出さなければ…
生きてさえいれば、どうなっても5年後くらいには思い出になっていたのに



許せない

父親は、許せなかった。



毎日、娘の事件のニュースを観ながら、絶対に犯人を殺してやると思っていた


だが、その男はもう死んでいる
とても、安らかな顔で


父親の脳裏に、ニュースキャスターの声が過ぎる

―先日の女子高生殺人事件の犯人が自殺しました。犯人は交際関係にあった、少年です―



自殺なんて許されない

父親は、死体の手からナイフを抜き取った
凶器がなければ、自殺以外の線が疑われる


そう、この少年は『被害者』として名前を公表されるべきだ
少年だからといって、許されるはずがない
死んだからといって、罪は消えない

たった一人の娘を奪われた悲しみは、消えることの無い痛みだった


―――少年の死亡事件の報道を見届けた後、ナイフを持って出頭しよう


『実名報道』

それが、父親のできる唯一の復讐だった

総合点:2票  納得感:1票  物語:1票  


最初最後
納得感部門甘木
投票一覧
「解説を読んで「そういうことか!」と思える納得感!」
2016年11月06日22時
物語部門とかげ
投票一覧
「娘を殺した犯人も凶器も探し当てたのに、父親がそのナイフを隠した真の理由とは。決して許せるはずのない犯人に対する、父の執念に震えた。常人にはとても思い付かないだろう。狂気と愛の物語だ。」
2016年11月28日22時

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