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【猛者のスープ】すれ違う想い(問題ページ)
約10年ぶりにいとこの少女と再会した少年。
二人は、お互いがまだ小さかったころによく遊んでいた裏山へと向かった。
大木の下に、少し離れて座る二人。
気持ちよさそうに髪をなびかせる少女は、ひざを曲げたり伸ばしたりしていた。
その様子を見て漠然と違和感を持った少年は、少女の真似をしてみた。
すると少年の違和感はある確信へと変わった。
少年が確信した内容と、それに至った経緯を説明してください。
二人は、お互いがまだ小さかったころによく遊んでいた裏山へと向かった。
大木の下に、少し離れて座る二人。
気持ちよさそうに髪をなびかせる少女は、ひざを曲げたり伸ばしたりしていた。
その様子を見て漠然と違和感を持った少年は、少女の真似をしてみた。
すると少年の違和感はある確信へと変わった。
少年が確信した内容と、それに至った経緯を説明してください。
16年09月22日 21:00
【ウミガメのスープ】【批評OK】 [ポトフ]
【ウミガメのスープ】【批評OK】 [ポトフ]
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【解答要約】
約10年ぶりに大木の下の手作りブランコに座った二人。
少年は隣の少女が自然にブランコをこぐのを見て違和感を感じる
ブランコをこぐのを真似してみて、少年は違和感が何であったか気づく。
小さい子に合わせた低いブランコなら、足が地面に当たって上手くこぐことはできないはずなのだ。
少年はブランコの板の高さが変えられていることを確信した。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
10年ぶりに、幼馴染であり父方のいとこでもあるサナが遊びに来ている。
小学校に入学する前、近所で同い年だった僕らは毎日のように遊んでいた。
しかし、10年前にサナの一家が都会に引っ越してからは、たまに近況報告をしていたくらいだった。
久しぶりに直接会ったサナは、面影はあるものの別人のようだった。
高校の制服に身を包み、小さいころに肩の上で揃えられていた髪は、今では背中まで伸びている。
もちろん、僕だってあのころとはだいぶ見た目が違う。
僕の身長だってだいぶ伸びた。
幼馴染は僕をどんな風に見ているんだろう。なんだか気恥ずかしくて話しづらい。
もっとも、それはあちらにとっても同じだろう。そんな風に思っていたけど……。
「ねぇコウちゃん、まだあのブランコあるの? 行ってみよう!」
僕の記憶の中にある笑顔で、サナは僕に気安く話しかけてきた。
サナと他愛もない会話をしながら、裏山を登っていく。
てっぺんに近づくと、特徴的に曲がった大木にブランコが二つ、さみしそうにぶら下がっているのが見えた。
いつのころからか全く遊ばなくなっていた、父さんが手作りしたブランコだ。
典型的な仕事人間の父さんが昔ブランコを自作したなんて、今ではちょっと信じがたいことだ。
平日は家に帰るのも遅く、食事すらめったに一緒に取らない。
もっとも、たまにいっしょに食事をしても会話なんてほとんど無いのだけど。
山頂にたどりつくと、サナがはしゃいだ様子で大木の外側のブランコに座る。
そういえば、いつも座る場所が決まっていたっけ。
僕は内側のブランコの板を軽く手で払って、そこへ座った。
久しぶりに座ったブランコから見える田舎の風景は、小さいころとあまり変わらない。
木々の隙間から差し込む太陽の光はまだ強いが、風からは秋の兆しを感じた。
「昔と変わらないね!」
そう言いながら、サナが軽くブランコをこぎ始めた。
僕が違和感を感じたのはこの時だった。
髪をたなびかせ、ブランコをこぐサナ。
その足を見ると地面からの高さに余裕があることが分る。
違和感がなんなのかわからないまま、続いて僕もブランコをこいでみる。
そこで僕は違和感が何なのかに気づいた。
ブランコをこぐ感覚……小さかったころと変わらないのだ。
僕の身長はあのころと全然違うのに……!
子供の身長に合わせて、座る部分が低くなるように取り付けられていたブランコ。
高さがあのころのままだったら、足が地面に当たってまともにこげるはずがない。
僕は確信した。このブランコは板の高さが変えられている……!
「――――ねぇ、聞いてる? せっかく久しぶりに会ったのに!」
「……え。あぁ、ごめん。ちょっと気になることがあって」
サナが何か話しかけてきていたようだが、まったく頭に入ってきていなかった。
それにしても、使っていないブランコがどうして……。
「ねぇ、母さん。裏山のブランコなんだけど……」
「ん? どうかした?」
僕は家に帰ると、なぜか不機嫌そうだったサナをなだめてから、母さんに疑問をぶつけた。
「なんか不思議なんだ。ブランコの座るとこが高くなってるみたいなんだけど……」
「あぁ、そのこと? お父さんがちょくちょく見に行ってたのよ? 気づいてなかった?」
母さんは僕の疑問に答えて笑う。
「え……なんで……?」
「んー、今お父さんいないし、せっかく気づいたんだから見せちゃおうか。ちょっと待ってて」
そう言うと母さんは、父さんの部屋から一冊の古びたノートを持ってきた。
僕はノートを開いた。
『20×●年○月△日 コウの5歳の誕生日。裏山にブランコを作る。コウは喜んでくれたようだ、日が沈んでも遊んでいたので裏山へ迎えに行く。』
『20×◇年◎月×日 よく遊びに来るサナちゃんのためにブランコ増設。仲がいい二人が微笑ましい』
『20×▼年●月○日 台風で綱が少し傷む。強度に問題は無いが、念のため付け替え』
『20×*年▲月△日 コウの身長に合わせて高さ調整。子供の成長の早さには驚かされる』
『20×◇年※月*日 メンテナンス。傷みのあった腰掛板取り替え。コウは気づくかな』
『20×■年◆月◇日 綱の張り替え。サナちゃんが引っ越してから、コウはブランコで遊ばなくなったようだ』
――――
『20△×年■月□日 高さ調整。コウの身長がサナちゃんを抜いた。ブランコの高さが入れ替わる』
――――
『20△○年▼月▽日 メンテナンス。最近コウと話していないな』
――――
『20△▼年★月☆日 高さ調整。サナちゃんが久々に遊びに来るようだ。ブランコには来るかな』
――――
ノートの最後のページには、僕とサナの身長が書きこんであった。
ブランコを作った年から毎年欠かさずに記された身長は、表のようになっていた。
「サナ! もういっかいブランコ行こう!」
「えっ? もうそろそろ暗くなる……えっ!? ちょっと!?」
僕はサナの手を取って裏山に走り出していた。
もう一回。しっかりと。ブランコに二人で座った記憶を焼き付けなければならない。そんな思いに駆られて。
山のてっぺんの大木。特徴的に曲がった太い枝からぶら下がっている二人のブランコ。
夕日に照らされたブランコはどこか幻想的で、そこだけ時間が止まっているみたいだ。
もっとも、ブランコの時間を止めていたのは父さんだったのだけど。
今まで父さんのことを誤解していた自分が馬鹿みたいで、思わず笑ってしまう。
立ち止まって、サナに振り向く。
「……綺麗だね」
「えっ……!?」
走ってきたからか、サナの顔は真っ赤に紅潮していた。
もう一度ブランコに乗ったらサナにも伝えよう。
僕らの成長を父さんが、不器用な愛情表現で見守ってくれていたことを。
思いを受け止めるため、僕らはもう一度思い出のブランコに向かう。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【ブランコの板が高くなっていた理由要約】
ブランコは父が、作成時から絶えず成長に合わせてメンテナンスしていた。
そのこと知った少年は、父から愛されていることに気づくのだった。
約10年ぶりに大木の下の手作りブランコに座った二人。
少年は隣の少女が自然にブランコをこぐのを見て違和感を感じる
ブランコをこぐのを真似してみて、少年は違和感が何であったか気づく。
小さい子に合わせた低いブランコなら、足が地面に当たって上手くこぐことはできないはずなのだ。
少年はブランコの板の高さが変えられていることを確信した。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
10年ぶりに、幼馴染であり父方のいとこでもあるサナが遊びに来ている。
小学校に入学する前、近所で同い年だった僕らは毎日のように遊んでいた。
しかし、10年前にサナの一家が都会に引っ越してからは、たまに近況報告をしていたくらいだった。
久しぶりに直接会ったサナは、面影はあるものの別人のようだった。
高校の制服に身を包み、小さいころに肩の上で揃えられていた髪は、今では背中まで伸びている。
もちろん、僕だってあのころとはだいぶ見た目が違う。
僕の身長だってだいぶ伸びた。
幼馴染は僕をどんな風に見ているんだろう。なんだか気恥ずかしくて話しづらい。
もっとも、それはあちらにとっても同じだろう。そんな風に思っていたけど……。
「ねぇコウちゃん、まだあのブランコあるの? 行ってみよう!」
僕の記憶の中にある笑顔で、サナは僕に気安く話しかけてきた。
サナと他愛もない会話をしながら、裏山を登っていく。
てっぺんに近づくと、特徴的に曲がった大木にブランコが二つ、さみしそうにぶら下がっているのが見えた。
いつのころからか全く遊ばなくなっていた、父さんが手作りしたブランコだ。
典型的な仕事人間の父さんが昔ブランコを自作したなんて、今ではちょっと信じがたいことだ。
平日は家に帰るのも遅く、食事すらめったに一緒に取らない。
もっとも、たまにいっしょに食事をしても会話なんてほとんど無いのだけど。
山頂にたどりつくと、サナがはしゃいだ様子で大木の外側のブランコに座る。
そういえば、いつも座る場所が決まっていたっけ。
僕は内側のブランコの板を軽く手で払って、そこへ座った。
久しぶりに座ったブランコから見える田舎の風景は、小さいころとあまり変わらない。
木々の隙間から差し込む太陽の光はまだ強いが、風からは秋の兆しを感じた。
「昔と変わらないね!」
そう言いながら、サナが軽くブランコをこぎ始めた。
僕が違和感を感じたのはこの時だった。
髪をたなびかせ、ブランコをこぐサナ。
その足を見ると地面からの高さに余裕があることが分る。
違和感がなんなのかわからないまま、続いて僕もブランコをこいでみる。
そこで僕は違和感が何なのかに気づいた。
ブランコをこぐ感覚……小さかったころと変わらないのだ。
僕の身長はあのころと全然違うのに……!
子供の身長に合わせて、座る部分が低くなるように取り付けられていたブランコ。
高さがあのころのままだったら、足が地面に当たってまともにこげるはずがない。
僕は確信した。このブランコは板の高さが変えられている……!
「――――ねぇ、聞いてる? せっかく久しぶりに会ったのに!」
「……え。あぁ、ごめん。ちょっと気になることがあって」
サナが何か話しかけてきていたようだが、まったく頭に入ってきていなかった。
それにしても、使っていないブランコがどうして……。
「ねぇ、母さん。裏山のブランコなんだけど……」
「ん? どうかした?」
僕は家に帰ると、なぜか不機嫌そうだったサナをなだめてから、母さんに疑問をぶつけた。
「なんか不思議なんだ。ブランコの座るとこが高くなってるみたいなんだけど……」
「あぁ、そのこと? お父さんがちょくちょく見に行ってたのよ? 気づいてなかった?」
母さんは僕の疑問に答えて笑う。
「え……なんで……?」
「んー、今お父さんいないし、せっかく気づいたんだから見せちゃおうか。ちょっと待ってて」
そう言うと母さんは、父さんの部屋から一冊の古びたノートを持ってきた。
僕はノートを開いた。
『20×●年○月△日 コウの5歳の誕生日。裏山にブランコを作る。コウは喜んでくれたようだ、日が沈んでも遊んでいたので裏山へ迎えに行く。』
『20×◇年◎月×日 よく遊びに来るサナちゃんのためにブランコ増設。仲がいい二人が微笑ましい』
『20×▼年●月○日 台風で綱が少し傷む。強度に問題は無いが、念のため付け替え』
『20×*年▲月△日 コウの身長に合わせて高さ調整。子供の成長の早さには驚かされる』
『20×◇年※月*日 メンテナンス。傷みのあった腰掛板取り替え。コウは気づくかな』
『20×■年◆月◇日 綱の張り替え。サナちゃんが引っ越してから、コウはブランコで遊ばなくなったようだ』
――――
『20△×年■月□日 高さ調整。コウの身長がサナちゃんを抜いた。ブランコの高さが入れ替わる』
――――
『20△○年▼月▽日 メンテナンス。最近コウと話していないな』
――――
『20△▼年★月☆日 高さ調整。サナちゃんが久々に遊びに来るようだ。ブランコには来るかな』
――――
ノートの最後のページには、僕とサナの身長が書きこんであった。
ブランコを作った年から毎年欠かさずに記された身長は、表のようになっていた。
「サナ! もういっかいブランコ行こう!」
「えっ? もうそろそろ暗くなる……えっ!? ちょっと!?」
僕はサナの手を取って裏山に走り出していた。
もう一回。しっかりと。ブランコに二人で座った記憶を焼き付けなければならない。そんな思いに駆られて。
山のてっぺんの大木。特徴的に曲がった太い枝からぶら下がっている二人のブランコ。
夕日に照らされたブランコはどこか幻想的で、そこだけ時間が止まっているみたいだ。
もっとも、ブランコの時間を止めていたのは父さんだったのだけど。
今まで父さんのことを誤解していた自分が馬鹿みたいで、思わず笑ってしまう。
立ち止まって、サナに振り向く。
「……綺麗だね」
「えっ……!?」
走ってきたからか、サナの顔は真っ赤に紅潮していた。
もう一度ブランコに乗ったらサナにも伝えよう。
僕らの成長を父さんが、不器用な愛情表現で見守ってくれていたことを。
思いを受け止めるため、僕らはもう一度思い出のブランコに向かう。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【ブランコの板が高くなっていた理由要約】
ブランコは父が、作成時から絶えず成長に合わせてメンテナンスしていた。
そのこと知った少年は、父から愛されていることに気づくのだった。
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最初最後
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