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ウミガメのスープ 本家『ラテシン』 
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また会おう、そのときは・・・(問題ページ

京してから早十年。

仕事を終えた俺は帰る途中、夕方の時間帯に人ごみの中久しぶりに友達と再会した。

再開後、友達と喫茶店で一息ついた。
久しぶりに会えたということもあり、とても楽しい時間を過ごした。
そして最後に、俺と友達はお互いにまた会おうと約束し、帰路についた。

その後、家についてから俺は

「出来ることなら会いたくなかったなぁ・・・」

と呟いた。


いったい何故?



【この問題は、ツォンさんにSPをして頂きました。
ご協力賜ったこと、厚く御礼申し上げます。
最後の最後まで、本当にありがとうございます(_ _)ペコリ】
16年07月21日 21:00
【ウミガメのスープ】 [モノクロマ]



解説を見る
約解説:耳の聞こえない少女の為に医者を目指したが、まだ治療できるに至っていないため<今は>会いたくない

以下は、お時間があればお読みください。


俺がまだ5歳のころ、公園で遊んでいたときのことだ。
俺と同じくらいの歳の女の子が1人だけ、ずっとベンチに座ってスケッチブックに絵を描き続けてる子を俺は見つけた。
俺はその子に

「何書いてるの?」

って聞いたんだ。
そしたら、その子はスケッチブックに描いていた絵を見せてくれた。
絵を見る限り、どうやら俺が遊んでいる様子の絵を描いていたらしくて、凄く上手だと思った。
俺はその子に

「絵を描くのもいいと思うけど、せっかく公園に来たんだし一緒に遊ぼうよ」

って手を差し伸べながら言ったんだ。
そしたら急にスケッチブックをめくってまた何かを描き始めた。
俺はまた絵を描き始めたのかと思って

「おーい、俺の言ってることがわからっ!?」

「ないの?」まで言い終わる前にその子は俺にスケッチブックを見せた。そこには

『ありがとう。でもわたしは「みみ」がきこえないから、あなたとあそぶのはむずかしいの。ごめんね・・・。』

と、そこには絵ではなく文字が綴られていた。
俺は少し考えて、

「となり、いい?」

という風に身振り手振りで説明した。
その子が静かにうなずいたのを見て、俺はその子の座っていたベンチの隣の空いていた部分にそっと腰かけた。
そのあと数十秒無言が続いたんだ。
またその子はスケッチブックに何か・・いや、文字を書いて俺に見せてきた。

『あそばないの?』

とそこには書かれていた。
俺はその質問にうなずいた。
するとその子はまたスケッチブックに文字を書いて、俺に見せた。

『どうして?』

その質問に答えるために俺は、その子のスケッチブックと黒鉛筆を借りた。

『ひとりであそんでいてもつまんないから。それならだれかおしゃべりしたほうがまだたのしいよ。』

と書いたスケッチブックと黒鉛筆をその子に返す。

『わたしとおしゃべり?そんなことをしたら、あなたがたのしくないよ。』

俺は書く。

『いや、おれたのしいことしってるから。いっぱいはなすよ、そうすればきっとたのしいから!な?だめ、かな?』

その子は書く。

『ううん、あなたがそれでいいのならわたしはなにもいわない。ありがとう。いっぱいおはなしをきかせて?』

それから俺とその子で毎日のように夕方は公園にきて、『会話』をした。

家であったこと、お出かけ中にあったこと、いろんなことを俺は話す。
その子は笑ったり、喜んだり、驚いたり、色んな色を俺に見せてくれた。
そのお礼と言わんばかりに、その子は毎日のように新しく描いてきた絵を俺にみせてくれた。


このまま楽しい日々がずっと続けばいいのに・・・そう思ってた。



・・・・・突然だった。



いつものように、夕方に公園に来た俺は、いつも先にいたその子がいないことに気付く。
そこには毎日描いていたスケッチブックの用紙が1枚あった。
そこにはこう書いてあった。

『ごめんなさい。わたし、あしたからとうきょうにいくの。「みみ」がなおるかもしれないから、こっち(東京)にこないかっていわれて。だから、もうあなたとはあえない』

裏返す。

『いままでまいにち、たのしいおはなしありがとう。とってもたのしかったよ。また、あえたらいいな・・・。』

俺は、異常なまでの喪失感を感じた。
これまでの毎日が崩れていくような・・・すべてがなくなってしまったような・・・そんな気持ちになった。

「俺が助けてやれれば・・・あの子は東京に行かずに済んだのかな・・・」
「俺がお医者さんになれれば、あの子を助けてあげられるのかな・・・」


それから俺は、毎日勉強をした。
必死に、ただひたすら勉強をした。
常に学校トップの成績で、親からも褒められた。
上京してからは医学系の学校に行って耳についての勉強を中心に行い、医者を目指した。
そして、ついに医者になれた。
医者になってからもひたすら努力して、努力して、ひたすらに研鑽を積んだ。


そして、今現在・・・


奇跡が、起こった。


いつもより仕事が早く終わった俺はいつも通り帰る途中、夕方の時間帯に人ごみの中、俺は久しぶりに



本当に、奇跡的に・・・



あの子と再会した。



横断歩道が赤になっている間、普通にぼんやりと前を見ていたら、吸い込まれるように1つのスケッチブックに目が行った。
上京してから片手にスケッチブックを持ってる人なんて見かけるほうが珍しい。
そして、スケッチブックを持っている人の顔に視線を移す。
俺は確信した。

あの時の子だ・・・・と。

するとあの子もこちらの視線に気づいたようで、俺を見るなり目を大きく見開く。

信号が青になったに気付いた俺は、他の歩く人より早く、その子のもとへと向かう。
俺がすぐ目の前にくるまで、あの子は目を見開きびっくりしたままだった。

「また、あえたな・・・」

そう言った俺の口の動きを理解したのかどうかはわからない。
だが俺が呟いた直後、あの子は目から涙を流し、俺は慌ててその子がつい落としたスケッチブックを拾って書いた。あの日のように。

『とりあえず、喫茶店あたりに行って一回落ち着こう。で、いいかな?』

彼女が断ることなんて万が一にもなかった。
喫茶店についた後も彼女はしばらくうつむいたままで、しばらく無言が続く。あの日みたいに・・・。
今度は俺の方から、彼女のスケッチブックに書いて、彼女に見せる。

『話さないの?』

という、俺の問いに、彼女は笑った。

その後はまた、あの日のように『会話』をした。
積もる話は山ほどあった。彼女が東京に行ってからのことや、俺のこれまでのいきさつ。
結局、彼女はあの日東京へ行き、治してくれる医者に治療してもらったが、耳が治ることはなかったそうだ。
それでも、昔いた所よりも近くにいろいろあって利便性も高く、交通網も発達していたためそのままそこで暮らしていたらしい。

『結局、耳が聞こえないのは治らなかったよ・・・』

と書いた彼女に俺は返す

『俺に任せろ。そういう人を治すために俺は、医者になったんだ。』

俺と友達はお互いに『治療のときに』また会おうと約束し、帰路についた。

家についてから俺は
「出来ることなら会いたくなかったなぁ・・・」
と呟いた。その後
「出来ることなら、治せると言い切れる日に会いたかったな・・・いや、ぜったいに治してみせるけどね。」


それから数年後―

お互いに公園で笑いながら「会話」をするカップルがいたとかなんとか。
総合点:2票  物語:2票  


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物語部門モニコ
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「とあるコピペのシチュエーションかな?と思っていたら、隠れていたのは素敵なストーリーでした。思わず読みいってしまう文才に拍手。」
2016年07月26日23時
物語部門エリム
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「世の中そんなに甘くない、のだけれども、世の中そんなに悪くない、とも思える1編です。ラストシーンは、いわゆる『どちらとも取れる』描き方だと思います。どちらにしても、主人公達に幸あれ」
2016年07月23日23時

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