ある日、男が家に帰れず迷っていた。
男は人並み外れた方向音痴で迷い癖を持っており、そのことを知っていた女は見るに見かねて助言した。
男は女に礼を言った。
しかし、内心、男は「お前さえいなければ帰れるのに」と憤っていた。
状況を説明せよ。
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この問題は蓮華さんにSPしていただきました。
蓮華さん、ありがとうございました。
16年07月16日 21:20
【ウミガメのスープ】
[ちくわさん]
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要約
小学生である男は宿題を忘れてしまい、担任である女性教員から宿題が終わるまで帰ってはいけないと居残りを命じられていた。
以下、駄文蛇足
「分からない……」
カメオは算数の教科書を目の前にして固まっていた。
どうして、足し算や引き算をするときは分母の数を揃えなければならないのだろう。
なぜ、掛け算のときはそのままでいいのに、割り算のときは引っ繰り返さなければならないのだろう。
そもそも、日常生活でこのような計算を使う機会が訪れるのだろうか?
理解できないというよりも、納得できないという理由でカメオの右手は動けずにいた。
「早く帰らなくちゃいけないのに」
今日は家族の誕生日で、カメオはそれを祝うための準備をしなければならなかった。
自身の迷い癖を自覚しているので、少しでも早く学校を出る必要があった。
なのに、居残りである。
「そりゃ宿題を忘れた自分が悪いんだけどさ」
カメオは全く集中できずにいた。
「カメオくん、そろそろ終わったかな?」
ベテランの担任教師が教室に入ってきた。
カメオの進み具合を確認しに来たらしい。
「あれ? 全然終わってないじゃん」
教師はほとんど白紙状態であるノートをのぞき込んで呆れた。
「仕方ないなあ。いい? これは掛け算だからそのままで計算して、次のは割り算だからひっくり返す。あと、約分も忘れないでね」
「えっ? えっ?」
集中できていないカメオはどれをひっくり返せばいいのか分からず、ただただ迷うばかりだった。
「大丈夫。たくさん勉強すればすぐに判断できるようになるよ。今日は特別だ、迷っているなら教えてあげよう」
「……ありがとう」
口では礼を言いつつも、カメオの心中は穏やかではなかった。
なにが特別に教えてあげよう、だ。
絶対に特別扱いなんかしないくせに。
どうせだったら早く帰してくれよ。
カメオは不満を抱きつつも、おとなしく教師の説明を受けた。
十数分後、教師に教えてもらいつつ、カメオは全ての問題を解き終えた。
「よし、帰っていいよ。あっ、こら」
時間が惜しいカメオは、解放された瞬間駆け出した。
今日は迷うことなく家に真っすぐ帰ることができるだろうか。
そのことがとても不安だった。
「暗くなりかけてるから早く帰るんだよ」
教師の声が背後から聞こえた。
その言葉を耳にした瞬間、カメオは教室のドア手前で立ち止まった。
「そっちこそ早く帰って来いよ。去年みたいにひとりでケーキを食べるなんて絶対に嫌だからな」
「うん分かってる。去年はごめんね、今年は絶対約束守るから。あと廊下は走っちゃダメだからね」
カメオは返事をせず教室を出ると、急ぎ足で下駄箱へ向かった。
総合点:1票 物語:1票
物語部門エリム【
投票一覧】
「問題のトリックに加え、物語にはもう1つの隠された真相があります。登場人物2人の心に思いを馳せてみてください」
2016年07月17日17時