動画内など、他所でラテシンの問題を扱う(転載など)際について
ウミガメのスープ 本家『ラテシン』 
いらっしゃいませ。ゲスト様 ログイン 新規登録
項目についての説明はラテシンwiki

花は空に咲き、雨はかき氷を溶かす(問題ページ

馴染みのカメオとカメコが、ふたりで夏祭りへ行った。

カメコはお転婆な少女。

「ねぇ、かき氷買ってよ!かき氷!」
「次は金魚掬いしよう!ほら早く」

…と、やや強引にカメオを連れ回す。
はいはい、とカメオは苦笑しながら、後を付いて回った。

かき氷はどの味にするか揉めたが、結局カメコが意見を押し通した。

金魚掬いでは、1匹も掬えなくてつまらなそうなカメコに、カメオが掬った金魚を見せてやった。

そうしてしばらくは楽しく過ごしていたが、不意に夜空に大きな花が咲くと、カメオは泣き出してしまった。


何故だろう?
16年06月25日 14:58
【ウミガメのスープ】 [水瓶のスープ]



解説を見る
年の夏もまた、幼馴染みのカメコが帰ってきた。
ふたりで夏祭りへと出掛ける。

前を行くお転婆のカメコは、未だあどけない少女の姿のまま。

「ねぇ、かき氷買ってよ!かき氷!」
「次は金魚掬いしよう!ほら早く」

はいはい、と、今ではすっかりおじさんになったカメオは苦笑しながら、後を付いて回った。

「かき氷はやっぱブルーハワイだよね〜!」

「いやぁ…ああいうのはちょっと。シンプルに霙がいいな」

「えー、ブルーハワイ!」

「いいや霙。ていうかお前が食べるんじゃないだろ」

「だからせめて見て楽しみたいんでしょ。分かってないなぁカメオは」

「ああもう、分かった分かった。ブルーハワイな」

金魚掬いでは、カメコがやろうと言ったくせに、案の定、つまらなそうにしていた。

「ほら、見てみな」

カメオが掬った金魚を見せてやった。

「うわぁ…綺麗」

提灯明かりの下、
透明な袋の中で小さな火のように煌めく金魚を見て、カメコはほうっとため息をついた。

不意に、夜空に大きな光の花が咲いた。
一瞬あとには光は雨となり、闇の中へ消えていった。

祭りをしめくくる花火が、次々に空へあがる…

「今年の盆も終わりか…」

そう呟いた途端、視界が滲んだ。

夜空を埋め尽くす花々が、あまりに眩しく綺麗で。
ふたりがともに子どもだった昔が、懐かしくて愛おしくて。

「バカ、泣かないでよ。来年もちゃんと帰ってくるって。」

「ああ。ああ、分かってるさ」

「来年の今頃には、良い奥さん見つけておきなさいよね。いい加減トシなんだから」

「やかましい、お前に言われる筋合いはないよ」


目頭を指で拭ってカメオが顔を上げたとき、既にカメコの姿は無かった。

花が散ったあとの空には、かすかにもう、涼しい秋の風が吹き始めているようだった。





【要約】
カメオの幼馴染みのカメコは、かつて少女の頃に死んでおり、お盆になると霊として帰ってきて一緒に夏祭りへ行く。
花火があがると夏祭りが終わり(=お盆が終わり)、カメコはあちらの世界へ戻ってしまう。
総合点:2票  伏線・洗練さ:1票  物語:1票  


最初最後
伏線・洗練さ部門エリム
投票一覧
「解説の物語も王道の素晴らしい出来なのですが、問題文がまた素晴らしい。要素の拾い方が見事で、必要な描写を取り上げて物語を動かすに十分な要素を持ちつつ、解説で太字になっているある要素を見事なまでに隠しています。そして解説を読んだときに気付くのです・・・問題文の全てがクルーであることに。」
2016年06月25日20時
物語部門QQS
投票一覧
「伏線とストーリーの合わせ方が美しいです」
2016年06月25日15時

最初最後