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ウミガメのスープ 本家『ラテシン』 
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彼に会うために(問題ページ

あるきっかけで、決まった時間になると部屋に一人閉じこもりがちになってしまった女。
なぜ閉じこもってしまうのかと尋ねた所、彼に会うためだという。

一体どういうことだろうか?
16年05月01日 00:48
【ウミガメのスープ】【批評OK】 [ノックスR]



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ある記者の記録 —抜粋—
(手記・録音音声を基に作成)

ー友人Yの証言ー
「いや、まさかあんなことになっちゃうとはね」
『まさか、とは。やはり××さんの死は予想外だったと?』
「そりゃそうですよ。××は俺たちの中でも明るくて──自殺をするとはとても思えませんでした」
『なるほど。では、心当りとかは?』
「思い当たりませんね。あー、でも。○○さんなら知ってるかも」
『○○さんというと』
「××とは同じマンションに住んでいて、小さいころから一緒に遊んでたらしいです」
『幼馴染、というやつですね』
「そうですね。そいつに聞いた方が早いと思います。俺、××のことよく知らないし」


『──なるほど。それでは今回はお忙しい所ありがとうございました』
「いえ、こちらこそ」


~~~~~


「彼とは、小さい頃からよく遊んでいました」

ー幼馴染、○○の証言ー

『どういう風にですか?』
「どういう風にって……」
(○○、少し微笑んでこちらを向く。その目の隈からして満足に寝てない?)
「別に、普通ですよ? 小さい頃は鬼ごっこしたり、かくれんぼしたり」
『なるほど』

「それで、今日はどのような用件で?」
『あ、それはですね……』
(私、ペンで頭を二、三度掻く)

『実は。とある方から、あなたなら××さんの自殺の理由を知っているのではないかという話を伺いまして』
「ああ」
(○○、再びこちらから目をそらし、一方向を見つめる)
「やっぱり」

『なにか、ご存知なんですか?』
「いいえ」

『いじめなどがあったということは?』
「──多分、違うと思います」

「私も、なぜ彼が死んだかなんて知りません」
『そうですか……』

「大体、それを知ってたら──止めてます」
『なるほど』
(私、メモ帳にペンを走らせる)

「それで? もう結構ですか?」
『ああ、待ってください。あと一つだけ』
「……なんでしょう」
『あなたのことについて、最後に一つだけよろしいでしょうか?』

「私のことについて、ですか?」
『あくまで噂として伺ったのですが──』
(一つ、記者が咳払い)

『ええ。その──失礼を承知で伺いますが。なんでも、××さんが亡くなってから、○○さん──あなたがある決まった時間帯になるといつもこの部屋に引きこもってしまうと言うお話を伺ったのですが。一日中引きこもっているわけではない。それなのに、その僅かな時間、引きこもるために学校までお休みになられているとか』

「ああ」
(○○、チラリと時計を見る。早く帰って欲しいというアピール?)

『本当なんですか?』
「ええ、そうですね。なりましたね」

『それはまた、一体どうして?』
「さあ」
『は?』

「冗談ですよ。まだ時間もあることですし……少しゲームをしましょうか」
『ゲ、ゲーム?』
「あなたがYes、Noで答えられる質問をしてくれたら、正しく答えてあげます。それで、真相を当てられたらあなたの勝ち」
『それ以外の質問は?』
「答えません」

(私、再びペンで頭を掻き、一回ため息)

『……あなたが引きこもったのは、××さんが亡くなったのと関係ありますか?』
「はい、ありますね」
『自殺の動機とは?』
「No、関係ないです」


『では、あなたと××さん以外に関係する人物はいますか?』
「No、いないです」
『××さんのための行為ですか?』
「これは……違うでしょうね。自分の為です」
『なるほど』
(私、メモ帳にペンを走らせて情報をまとめていく)



『あー……あなたは、××さんに、その。恋愛感情を持っていましたか?』
「……そう、ですね。Yesです。持っていました。そして、今でも」
『今回の行為にその恋愛感情は関係しますか?』
「はい、しますね」


(しばしの静寂。私、考えがまとまらず。やがて、あることに気づく)




『あなたが先ほどからずっとある一方向──ベランダを眺めているのは重要ですか?』
「Yes。そうですね。重要ですよ」
『あなたは引きこもってる間、ずっとそのベランダを眺め続けているのですか?』
「Yes」

(私、ペンを走らせる手が不意に止まる)

(つかの間の静寂)


『××さんの……自殺方法は重要ですか?』
「Yes」
『つまり、飛び降り自殺ということが重要であると?』
「Yes」
『引きこもるのがいつも決まった時間帯だということは?』
「Yes。重要です」

『ということは、つまり──』
ボーン、ボーン
(その時、四時を知らせる時報が鳴る。彼が飛び降りた時間。その時、私は確かにベランダから落ちていく××さんを見た。その顔はとても恐怖で引きつっていて──)

『──っ』
「わあ」

(私、声を失うとともに○○のぱあっとした明るい笑顔を見る)



「今日も、また会えたね」



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「思いもよらぬ物語が隠されておりました。毎回ノックスさんの物語には引き込まれます!」
2017年10月28日08時

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