カメオは急いでいた。
それなのに、あとから来る人に前を譲り、列の最後尾に並んだ。
どうしてカメオはこのような行動をとったのだろうか?
16年03月28日 22:25
【ウミガメのスープ】
[希少種佐藤]
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朝の通勤通学ラッシュ時。
カメオは少し寝坊して駅へ急いでいた。
ぷしゅー。
≪次の電車をご利用ください~≫
バタン。
(……あぁ……間に合わなかったか。だけど……)
息を切らせながら、念のため電光掲示板を確認する。
(よし、大丈夫。次の電車に乗れば、なんとか間に合う。)
カメオの目的地は隣駅。
数々の遅刻しそうになった経験から、この時間帯の電車のことは完璧に把握していた。
【次の電車は隣駅の3番線ホームに到着し、階段の場所は4号車の5号車寄りドアの前だ】
待っているあいだにも、ラッシュ時の駅のホームは次々と乗客がやってくる。
今日はいつもよりも、さらに混んでいるようだ。
人で埋まっていくホームの中でカメオは、あとから来る人が整然と並んでいくのを悠然と眺めていた。
【電車に最後に乗り込めばドアに一番近い場所になり、降りる時は一番早く降りられる】
カメオが乗り込みたい車両のドアが来る列は、このホームの階段にも近いこともあって長い列となっていった。
…………。
カメオは腕時計を確認する。
(少し遅いな……)
予定時刻になっても電車が来ない。しかし、朝のラッシュ時に多少の遅れはよくあることだ。
(2分くらいの遅れなら、すぐ隣駅の階段を駆け上がれば間に合う……早く来い……早く来い……!!)
≪まもなく電車がまいります……白線の……≫
(来た!!)
ちょうど2分遅れで電車は到着した。
(よし、これならギリギリ間に合う!)
カメオは目的のドアに乗り込むために列の最後尾につく。
前に並んでいる人が次々と車両に押し込められていく。
(あーあー、あんなにギュウギュウに大変だなー。オレは一駅だけだからちょっと我慢すればいいけど。)
ほかの乗客を哀れみながら、思考を次の駅のことに切り替える。
(あとは次の駅で真っ先に降りて階段を駆け上がればいい! オレってば頭いい! 天才って呼ばれても不思議じゃ――)
目の前を両手を広げた駅員にさえぎられて、思考が中断させられる。
(……!? なんだ!?)
「もう入らないので、すいているドアか次の電車をご利用くださーい!」
「……えっ!?」
まわりを見渡すと、近くに人が乗り込めそうな車両は、もうどこにもなかった。
「……えっ……あれ……?」
カメオは遅刻した。
~~まとめ~~
カメオは遅刻しそうで急いでいた。
通勤通学ラッシュで駅のホームは混んでいた。
カメオは次の電車が目的地の駅のどのホームに到着するか知っていた。
カメオはどの車両に乗れば次の駅の階段近くに降りられるか知っていた。
カメオはすぐに降りられるように、電車のドア近くに乗車したかった。
【カメオは電車のドア付近に乗車できるように、乗車待ちの列の最後尾に並んだ】
総合点:3票 納得感:3票
納得感部門tsuna【
投票一覧】
「賢い!今日から使えるアイデアです」
2016年05月05日04時
納得感部門エリム【
投票一覧】
「言われてみれば行列あるあるです」
2016年04月12日00時
納得感部門かもめの水平さん【
投票一覧】
「一見急いでいる時にする行動としては真逆のものに思えますが、なんてことはない。実際やったことのある人も少なくないだろう。」
2016年03月29日09時