男は精神を病んでいた。
いつも塞ぎ込み、何を見ても疑って、友人や家族に対しても疑心暗鬼になる始末。仕事も辞めてしまった。
このままではいけないと、医者に相談する男。
医者のブレイクは
「簡単な事ですよ。彼の所に行けばいいんです。」
「私も辛い時は彼に助けられたんですよ」
と言いながら、男に紙を渡した。
その男はわっと泣き出してしまった。
なぜでしょうか?
16年03月07日 20:00
【ウミガメのスープ】
[アロハット]
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「彼は最高に面白いピエロなんです。私は、彼が笑わせられない人間は、もう手遅れだとも思ってます(笑)。笑えばあなたの塞ぎ込んだ気持ちもきっと晴れるでしょう。私も次の公演をとても楽しみにしているんです。」
紙のチケットを渡した後、医者はペラペラとそう喋った。
男がチケットに目を落とすと、男がつい先日まで所属していた団体「ラテシンサーカス」という名前が書かれていた。
「でも、先生。私がそのピエロなんです。」
どんなピエロでも、化粧を落とせばもはや別人である。仕事を辞めて病院に来ている今はもちろん素顔だった。
チケットを患者に配るくらいに、男の演じるピエロを好いてくれていた医者を裏切った気持ちと、彼に手遅れだとまで言われた悲しみ故に、男は泣いたのであった。
総合点:7票 納得感:1票 トリック:1票 物語:4票 斬新さ:1票
納得感部門春雨【
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「泣き出した理由。シンプルながら深い。」
2016年05月05日03時
トリック部門からす山【
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「彼=男であること、それに医者が当然気付いていないこと、ピエロであること。このあたりの複数のトリックが相乗効果を生み出し、ベールを深めています。」
2017年09月02日10時
物語部門からす山【
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「とても切なくて、胸に迫る物語。どうか男には、この経験を糧にして、もう一度ピエロになって、ふさぎ込んでいる人たちを今まで以上に笑わせられるように頑張ってほしいと、強く応援したくなります。」
2017年09月02日10時
物語部門春雨【
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「優しくて悲しい物語」
2016年05月05日03時
物語部門エリム【
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「本当に優しい登場人物しかいないのに、非常に切ない物語です。実際にもこういうことってありそうで・・・。」
2016年03月13日00時
物語部門かもめの水平さん【
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「一見有り触れたトリックですがストーリーに独自性があって素敵な問題となっています。」
2016年03月12日08時
斬新さ部門からす山【
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「トリックとストーリー構成に、ほかの問題にはあまりない斬新さ、珍しさを感じました。」
2017年09月02日10時