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ウミガメのスープ 本家『ラテシン』 
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項目についての説明はラテシンwiki

消える死体(問題ページ

は、死体を部屋の中に入れ、部屋の入り口を閉ざした。部屋に、人が出入りできるような開口部は入り口一つだけだったから、これで密室に死体を入れたことになる。
ところが、奇妙なことに、次に密室が開かれた時、死体は密室から消え失せていたのだ。
一体なぜ?
16年03月05日 18:56
【ウミガメのスープ】 [黒井由紀]



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行解説:数千年間部屋が開けられなかったうちに、死体が風化してしまったから。

王の魂は、死してなお不滅であり、あの部屋に開いた小さな通気口から、幾度も出たり入ったりして、国を見守るということを、その国の神官は信じていた。
それゆえ、彼らは、築いた巨大な王墓には通気口を作り、王の遺体は、より飛び立ちやすいよう身軽に、副葬品も付けずにただ部屋に横たえた。
そして、墓荒らし等に遭わぬよう、部屋の外から入り口に石で蓋をし、石膏で塗り固めると、神官は、四角錐形の建物を後にした。

やがて時が流れ、四角錐形の建物を築いた文明が滅んでからも、そこに死体はあった。その部屋に開いていた通気口から、風が吹き込み、死体を幾度も幾度も撫で、その形を変え、やがて消し去っていった。

砂と同じ色の服を着た考古学者達が、四角錐形の建物に入っていった。入ってすぐの場所で、石の壁が行く手をふさいでいたが、その先に空間があることは事前の調査で分かっていたので、助手が率先して道をふさぐ石をどかし、考古学者達は先へ進んだ。
だが、石を取り除いた先の部屋には、何も物が存在しなかった。絢爛な宝飾品も、歴史的価値のある文章だの壁画も、何にもだ。あるのは、どこに繋がっているかも分からない、小さな空気穴だけだ。本来、この部屋には死体が置かれていたのだが、その死体が風化してしまったが故に、意味の分からない状況になってしまったのだ。
この部屋は、いや、そもそもこの建物は、何のために作られたのだ?
考古学者たちは、これから長い間、その問題に頭を悩ませることになるのだった。

※この解説は、「ピラミッドには通気口が開いている」という事実から作ったフィクションです。本物のピラミッドには微塵も関係ありませんので、ご了承ください。
総合点:3票  チャーム:1票  納得感:1票  物語:1票  


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チャーム部門からす山
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「この密室トリックには、ミステリ好きにはかなりひかれるものがあるでしょう。」
2017年10月05日20時
納得感部門からす山
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「壮大な密室トリックに、納得です。」
2017年10月05日20時
物語部門からす山
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「一行で済むといえば済む話なのですが、魂の存在を信じる神官たちの物語と、ミステリアスな状況に頭を悩ませる考古学者たちの物語が混ぜ合わさっていい味を出しています。死体がなくなっても、王の魂は考古学者たちの様子を見ていたりするのでしょうか。」
2017年10月05日20時

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