ところが、奇妙なことに、次に密室が開かれた時、死体は密室から消え失せていたのだ。
一体なぜ?
【ウミガメ】
火葬ますか?
NO! 火葬では成立し辛いです! [良い質問]
死体は五体満足の状態でしたか?
重要ではありません。欠損なしでも、バラバラ死体でも首なしでも成立します。
その部屋には特別な機能が付属していますか?
YESNO! 一般家庭にも同程度の機能は付いているので、「機能」と表現するにはちょっと大げさですが、特別な機能が付属している、と言っても差し支えないでしょう! [良い質問]
死体とは人間の死体ですか?
人間でも、動物でも関係ありません。
男が入れた死体は人間の死体ですか?
関係ありません。人間でも動物でも成立します。
次に密室が開かれたときが1時間後でも成立しますか?
NO! 絶対に成立しません! [良い質問]
死体は生き返りましたか?
NO. 確実に死んでいます。
次に開かれたとき密室に死体以外の何かは存在しましたか?
YESNO! 死体以外の物品が存在するケースもあり得ますが、物品は何も無くても成立します。ただし、物品以外の何か、は密室に存在しています。 [良い質問]
死体は密室の外に出ましたか?
NO? 普通に想像可能な「密室の外に出る」状況では全くありませんが、ある意味では……。 [良い質問]
死体は微生物に分解されましたか?
YES. それでも成立します。一応、微生物オンリーだと骨まで分解できるか分からなかったので、回答は別ですが、方向性が合っているので後で正解を付けさせていただきます。 [正解][良い質問]
部屋の大きさは重要ですか?
NO. 死体がゆとりを持って入る程度の大きさなら、何でも成立すると思います。
死体は風化して換気扇から出ていきますか?
YES! 正解です! [正解]
密室のなかに水は存在しますか?
関係ありません。大事なのは、水より風です。
墓ですか?
解説では墓にしましたが、数千年暴かれない自信があれば、掘っ立て小屋でも大丈夫です。
王の魂は、死してなお不滅であり、あの部屋に開いた小さな通気口から、幾度も出たり入ったりして、国を見守るということを、その国の神官は信じていた。
それゆえ、彼らは、築いた巨大な王墓には通気口を作り、王の遺体は、より飛び立ちやすいよう身軽に、副葬品も付けずにただ部屋に横たえた。
そして、墓荒らし等に遭わぬよう、部屋の外から入り口に石で蓋をし、石膏で塗り固めると、神官は、四角錐形の建物を後にした。
やがて時が流れ、四角錐形の建物を築いた文明が滅んでからも、そこに死体はあった。その部屋に開いていた通気口から、風が吹き込み、死体を幾度も幾度も撫で、その形を変え、やがて消し去っていった。
砂と同じ色の服を着た考古学者達が、四角錐形の建物に入っていった。入ってすぐの場所で、石の壁が行く手をふさいでいたが、その先に空間があることは事前の調査で分かっていたので、助手が率先して道をふさぐ石をどかし、考古学者達は先へ進んだ。
だが、石を取り除いた先の部屋には、何も物が存在しなかった。絢爛な宝飾品も、歴史的価値のある文章だの壁画も、何にもだ。あるのは、どこに繋がっているかも分からない、小さな空気穴だけだ。本来、この部屋には死体が置かれていたのだが、その死体が風化してしまったが故に、意味の分からない状況になってしまったのだ。
この部屋は、いや、そもそもこの建物は、何のために作られたのだ?
考古学者たちは、これから長い間、その問題に頭を悩ませることになるのだった。
※この解説は、「ピラミッドには通気口が開いている」という事実から作ったフィクションです。本物のピラミッドには微塵も関係ありませんので、ご了承ください。
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