……ええ、この村の外れには、誰にも触れられないような所に、スノードロップの花がたった一輪だけ咲いているんですよ。
お客さん、その理由、わかりますか?
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※【崖から生贄が飛び降りる】風習があったこの村では、生贄の目印は【スノードロップの花飾り】であった
生贄を拒んだ村の誰かが【崖から飛び降りたとみせかける】為に【花飾りを崖の切り立った所に落として身代わりにした】
それが続き、スノードロップの花が咲くようになったのだ
「……ええ、ええ、この村は今も昔も貧しくてね
恥ずかしながら、毎年、豊作を願い【生贄】を捧げる風習があったんです
生贄に命ぜられた者の家には、スノードロップの【花飾り】が届いたそうで……ええ『貴方の死を望む』なんて意味にもなるらしいですね
それで、生贄の子は、決められた日にその花飾りを着けて、【崖から身を投げた】んです
……ですが、いつのことか、生贄を出すことに決まった家の者が、ある事を企てたらしい
その企てというのが、生贄になる子を匿い【花飾りだけを崖に放り込んだ】というものです
勿論ただ放り込んだんじゃありません
【崖の切り立った所に、丁度花飾りが引っかかる様にしたんです】
後日確認しに行った村人は【崖に引っかかる花飾り】をみて【生贄はちゃんと崖から飛び降りた】と思ったそうですよ
そして、いつの間にやらこの方法が暗黙の内に広まり、誰もが【花飾りを身代わり】にしたようで。
もしかしたらご先祖様方も、何処かで生贄の風習を終わらせたかったのかもしれませんな。
それから【身代わりの花飾りが落ちたとされる場所】に、スノードロップが自生しましてね……毎年一輪咲くんですよ。
よければ、お客さんも見てみますか?」
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私は宿屋の主人に案内され、件の花が咲くという崖に訪れた
「この先です。そこの所に咲いているんですよ」
そう主人が指し示した所を見るが、ちらりちらりと白い花弁が見え隠れするだけである
そこで、私は少し【身を乗り出し――――】
どん
私の身体は宙を舞った
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「すみませんね、お客さん。お客さんの【荷物は大事に使わせていただきますから】どうか成仏なさって下さいよ。くわばらくわばら」
スノードロップ――
――『貴方の死を望みます』
※花が今も一輪残されている真の理由は
この話に興味を持った者が、実際にその花を見ようと【崖から身を乗り出した時にその者を突き落として、その者が宿屋に置きっぱなしにしておいた荷物を、奪い取るためである】
総合点:1票 物語:1票
物語部門うい【
投票一覧】
「一粒で二度美味しい解説文。出題者の語り口で問題に引き込まれます」
2017年02月06日14時