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ウミガメのスープ 本家『ラテシン』 
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幽霊退治のその後で(問題ページ

の樹の下で赤い紐で首を吊って死んだ女が居た。
不思議なことに同じようにその女の妹も桜の樹の下で赤い紐で首を吊って死んだ。
それからそこでは女の幽霊たちが夜な夜な死んだ時の姿で現れ、人を誘い同じように赤い紐で女や時には男も首を吊って死んだ。

それを知った霊媒師の風月は女の幽霊を見事成仏させた。
けれど、それからも赤い紐で首を吊る人間は変わらず出てきた。

さて、どうして首を吊るのだろう?
15年11月14日 13:58
【ウミガメのスープ】【批評OK】 [花鳥]



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月「 実に馬鹿馬鹿しく、狂った理由だよ。彼らは 自分が死んだ恋人や夫を心の底から愛していると思うために死んだんだ

そう霊媒師の男は友人の亀吉に語った。
最初に首を吊った娘は、婚礼の前日に婚約者を亡くし、そのすぐ後に両親によって別の男との結婚が決まった。
娘はそれを酷く嫌がり、樹の下で赤い紐で花嫁衣裳を着て首を吊ったんだそうだ。
そこまでは、まあまだ悲恋であるがありえることだ。
そして、娘が死んだことで両親は相手方に面目が立たないと今度は妹を花嫁として相手方に嫁がせた。

そこから物事は狂いだした。
どうも婚約者に操を立てて死んだ姉にあこがれを抱いていた妹は、姉と同じように花嫁衣裳を着て赤い紐で首を吊って死んだ。
遺書には『姉が私を呼んでいるのです。私は愛する人と結ばれるために首を吊ってまいります』とご丁寧に書いて。
妹はあこがれをこじらせて狂ってしまっていたんだろう
別に妹には愛する恋人もいなかったというのに、死後の世界にその愛する人間でもいるかのような書き方には背筋がぞっとするよ。

そうして、姉妹が二人続けて花嫁衣裳で首を吊ったとなればスキャンダルだ。
人々の噂にならないわけがない。
しかも、意味深な妹の遺書の内容がどこからか漏れてより一層噂は苛烈になり、人々はいつしかこう思うようになっていったのさ

死んだ女の霊に憑き殺されたものは心の底から死んだ恋人や夫を愛していた

とそう信じるようになった。
それは愛する者が死に、愛に狂った狂人には素晴らしく魅力的な噂だったのだろう。
彼らは幽霊を見たと吹聴し、そして赤い紐と花嫁衣裳を着て死んでいった。その中に男が混じっていたがそれは些細な問題だ。
見えるはずのない幽霊を幻視し、あるはずのない誘いを幻聴し、皆がみんな自分は幽霊に誘惑され、死んだ相手を心の底から愛しているという幻想を抱いて狂い死にした。

可哀想なのは最初に首を吊った姉の霊さ。
彼女は別に周囲を誘ってなどいなかったのに好き勝手に噂され悪霊に仕立て上げられた。その上、首を吊った幽霊たちに縋られ成仏もできずしくしく泣いていたよ。
あの樹で首を吊った人間にとって彼女は象徴ともいえる存在だからね。
皆、彼女を逃げすまいと必死さ。
いくら彼女がここで自殺しても愛の証明にはならないといっても幽霊を幻視するほどの狂人には何を言っても聞く耳持たずで好き勝手に自分の愛に酔っている。まあ、中にはそれに耳を傾けるものもいるが、そいつはそいつで悲恋に酔っているからよりたちが悪い。

なんとか姉の幽霊は成仏できたが、他の幽霊はダメだな。
心の底から相手を思っているという幻想に狂って樹から離れようとしない。
愛する相手も居ないはずの妹も離れないところを見ると狂人にとって幻想の中にいること自体が重要なのだろう
狂人に愛と幻想を与えるとまったく空恐ろしくも馬鹿らしい結果になるものだ。

男は唯一の友人かつペットの亀の亀吉にぶつぶつとそう呟いて鬱憤を晴らした。
幽霊の見える風月は狂人・変人としか思われず、人間の友人など出来なかったのだ(ということにしておいてやってください)

風月「幽霊が本当に見える人間は後で私の所に来なさい(友達になってください)」
総合点:1票  トリック:1票  


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トリック部門エリム
投票一覧
「幽霊がカギなのですが、果たしてその幽霊とは? 登場人物のさまざまな思惑と非現実なキーワードによって、考えるほどに謎が深まります」
2015年11月15日00時

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