【ラテクエ57リサイクル】こねくてっどでぃすれーん?(問題ページ)
夕
暮れにブランコに乗る少女。
拙い歌詞を懸命に口ずさむのを見て
私は恐怖しました。
一体なぜ?
【天童魔子さん】
15年10月21日 21:27
【ウミガメのスープ】
[ツォン]
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*問題文直し忘れていました。
この問題はラテクエ57選考会、天童魔子さんの作品です。
とおりゃんせとおりゃんせ
ここはどこの細道じゃ
天童様の細道じゃ…
私はある日、とおりゃんせを間違えて覚えていた少女を、夕暮れの公園で誘拐した。
幼女趣味はなかったが、なぜか彼女は己が物にしてしまいたいと、衝動的に思ってしまった。
そして、命を奪った。
だが、捜査の手は私の元にはたどり着くことなかった。
十数年の時が過ぎた。
意識的に遠ざけていたはずの、なぜかこの日は彼女をさらった公園に訪れていた。
一緒に散歩していた自分の娘に、近くを通ったときにねだられたのだ。
娘は公園に入ると真っ先にブランコに乗った。
フラッシュバックする映像。
<服装といい、まるであのときの女の子じゃないか。くそっ。忘れていたのに…。>
不意に娘が歌いだした。
とおりゃんせとおりゃんせ
ここはどこの細道じゃ
天童様の細道じゃ…
「天童様?!」
忘れもしない、あの子と同じ間違え方をしている!
そんなふうに、教えた覚えなんてない!
父である私の悲鳴をよそに、娘は歌い続けた。
ちっと通して 下しゃんせ
御用のないもの 通しゃせぬ
この子の七つの お祝いに
お札を納めに まいります
行きはよいよい 帰りはこわい
こわいながらも
通りゃんせ 通りゃんせ
ブランコのきしむ音に合わせるように、とおりゃんせをひとしきり歌った娘。
ブランコから降り、コチラを見据える娘。
夕焼けの逆光で表情は全く見えない。
「パパ。私もあの女の子みたいにする?」
誰も知らないはずの、あの女の子の死を、娘は確実に知っていた。
恐怖以外の何があろうか。
なすすべなく、私はくず折れた。
*タイトルはとおりゃんせの歌詞「ここはどこの細道じゃ」を英訳した一部です
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