爪楊枝を咥えた上司が掌を見せたので男の頬に汗が流れた。
一体なぜ?
双方の心情を踏まえ、この事象を推察してください。
15年09月16日 22:49
【ウミガメのスープ】【批評OK】
[のりっこ。]
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上司に誘われ外食をした多汗症の男。
食後、暑かった事もあり、
【額の汗を拭う為、胸の内ポケットにあるハンカチを取り出そうと
上着の内側に手を差し入れた男。】
向かい合う席でそれを見た上司は “ちょっと待った” の意味合いで掌を押し出し、こう言った。
『いや、いいよ、今日は俺が出すから。』
上司の言葉を聴き、男は一瞬だけ考えたが、
すぐに “上司が早とちりをしている” と悟った。
そして胸の内ポケットの中に手を差し入れてハンカチを掴んでいる状態の男は次の様な思考に至る。
【自分が財布を取り出そうとしていると勘違いしている上司の前で
今、ハンカチを取り出す訳にはいかない。】
そして男は、『すみません、ありがとうございます。』と
食事代を支払ってくれると言う上司に対しお礼を言いながら、
胸の内ポケットからハンカチを取り出さずに空の手を出した。
普段からマイハンカチで額の汗を拭うこの男の頬に、
この時ばかりは “拭えなかった汗” が滴り落ちた。
総合点:2票 チャーム:1票 伏線・洗練さ:1票
チャーム部門蓮華【
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ネタバレコメントを見る
「解説がとても味わい深いです。現実世界での1シーンとして有り得るのに、非常に現実的&論理的なので、納得感も極めて高いと思います。むしろこういう経験がある方も多いのでは?と思います。」
2016年06月22日20時
伏線・洗練さ部門牛削り【
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「二人の男の複雑に絡み合った心理の糸を手繰り寄せていく快感。テーマが心理であるにもかかわらず、真相は実に論理的であるのも美しい。」
2015年09月16日23時