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花が散るのは(問題ページ

式中にめまいがしたジューンブライドの花嫁は、
大切な言葉の途中5,6文字を聞き逃した。
しかし彼女にとっては同じことだったので、迷いなく愛を誓った。
彼女の余命は幾ばくだろうか?
理由とともに答えよ。



※理由が正しければ、多少の誤差は許容します。
※リスト聞きは不可とします。
15年06月12日 16:41
【20の扉】【批評OK】 [牛削り]



解説を見る

期ガンを告げられた時、付き添ってくれた彼は私を抱きしめて、「結婚しよう」と言った。
死をある程度覚悟していた私にとって、彼の申し出こそが衝撃だった。
「それは……」
それはあなたにとって本当に幸せな決断?
「なに?」
「ううん、すごく嬉しい」
その疑問を投げかけることは、どうしてもできなかった。

式の段取りは、病床の私に代わってほとんど彼がやってくれた。
そして6月、私たちは小さな教会で式を挙げた。

神父が彼に、私への愛を問いかける。
彼は堂々とした声で「誓います」と言った。

次に神父が私の方を見る。

「汝、この男性を、
 健やかなる時も病める時も、
 富める時も貧しき時も、
 しが……」

突然のめまい。
数秒、意識が飛んだ。

「……つまで、愛し合うと誓いますか?」


しが……つまで


それは奇妙な符合だった。


医師から告げられた余命は、あと10ヶ月
私は来年の4月までしか生きられないのだという。

改めて、短いなと思った。

でも今、不思議と怖くはない。
これから始まる彼との日々に、むしろわくわくしている。
それがたとえどんなに苦しい病める日々だったとしても。

目だけ動かして横を見る。
彼は嬉しさを無理やり押し殺したみたいな顔をしている。
同じ気持ちなんだとわかった。
これは彼にとって幸せな決断だったんだ。
私が死ぬことなんて、忘れているのかもしれない。

愛そう。この人を。
いつになく強い気持ちでそう思った。

痺れを切らし始めた神父をしっかり見据え、私は答えた。

「誓います」


死が二人を分かつ4月まで、
その一瞬のような時間が、

彼にとっての永遠になるように。



【要約解説】
「死が二人を分かつまで」
という神父の言葉の途中、「二人を分か」を聞き逃し、
「しがつまで(=4月まで)」と聞こえた。
しかし余命10ヶ月の彼女にとって、同じことであった。

よって答えは「10ヶ月」
総合点:7票  20の扉部門7票  

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ジャンル名前表示コメント日付
20の扉部門からす山
投票一覧
「うわ、これは……なんて練りこまれた問題。圧倒されました。私ごときの陳腐なコメントなどほとんど必要ないでしょう、読んでみてください。ただ一つ、彼女は、きっと……幸せです。そう信じます。」2017年10月02日19時
20の扉部門あたりめ屋
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「不可解な謎が、論理的に鋭く解へと向かう。この論理は、美しく、儚い。」2017年09月13日01時
20の扉部門
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【ネタバレ】コメントを見る

「扉でここまでの物語を作り、納得できるような問題に仕上げられる人はなかなかいないのではないでしょうか……脱帽です。」
2016年12月12日14時
20の扉部門とかげ
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「花嫁が聞き逃した言葉と、彼女の余命に、どんな関係が? 言葉遊びというのは、思い付いても良問にできるとは限らない。強引とも言えるようなこのトリックを、まるで最初からそのためにあったかのようなドラマチックな状況につくりあげてしまう手腕には脱帽である。」2016年11月17日22時
20の扉部門桜小春
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【ネタバレ】コメントを見る

「20の扉としての素晴らしさもさることながら、問題文と解説がまとう空気が切なくて綺麗でとても好きです。物語部門で入れられないのが辛いくらいです。大好きです。」
2016年06月02日18時
20の扉部門からてちょっぷ
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「問題文からのひらめきとロジックを用いて突き詰めていく扉。」2015年11月22日22時
20の扉部門春雨
投票一覧
「クルーの回収が素晴らしい。」2015年10月22日23時

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