ウミガメ・コーポレーションでは、社内で共有しているどんなデータにも必ずパスワードをかけている。
しかしそのパスワードは、社員の名前だったり、営業部の電話番号だったりと、誰でも簡単に調べることができるようなものばかり。しかもデータのファイル名にパスワードのヒントが書いてある始末だ。
そして、なぜかパスワード変更だけはきちんとまめに行っている。
一体何が目的なのだろう?
15年06月09日 23:10
【ウミガメのスープ】【批評OK】
[とかげ]
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今日もウミガメ・コーポレーションでは、あちらこちらから社員達の呟きが聞こえてくる。
「ええと、このファイルは営業部の電話番号か……」
「秘書の名前は……サメジマアオさん、と。これは簡単だな」
「毎日開いてたら、いつの間にかこのファイルのパスワード、覚えてたよ」
社内で働く他の社員の名前や、その人の担当部署、部署ごとの電話番号、新商品の商品名など、覚えたほうが良いけれどもなかなか覚えられないもの……ウミガメ・コーポレーションでは、そういった類のものを、様々なデータのパスワードにするのだ。
そのデータファイルを見るためにパスワードを入力しなくてはいけないから、必然的にそのパスワードになった言葉を調べることになるし、その言葉を目にする機会が増える。そしてそのうち、毎回調べるのが面倒だからとパスワードを覚えるようになるのだ。
社員達が覚えてきたら、また別の覚えてもらいたい言葉をパスワードにする。
セキュリティが目的ではなく、パスワードを利用して社員に暗記を促しているのだった。
「良いアイディアだろう? まあ面倒ではあるが、社員が自然に覚えてくれると良いと思ってね」
「面白い試みですね、社長。一応確認ですが、まさか社長の誕生日をパスワードにして誕生日を覚えさせたかった……のが真の目的ではないですよね?」
「さ、サメジマ君。何を言うのかな。それはまあちょっとした遊びというかなんというか別に祝ってもらいたいとかそういうわけでは……」
END
社員に覚えさせたい人名や電話番号などをパスワードにすることで、「データを開くたびに調べるのが面倒だから、覚えよう」という気にさせるため。
総合点:2票 納得感:2票
納得感部門フィーカス【
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「解説を読むとなるほど、そういうことだったのかと思います。よく考えられていると思いますが、果たして真似をする会社があるかどうか……」
2015年06月10日01時
納得感部門のりっこ。【
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「『なるほど!』 取り上げる題材、そしてそれを問題に起用する構成力が実に素晴らしい! 納得の良問です!」
2015年06月09日23時