動画内など、他所でラテシンの問題を扱う(転載など)際について
ウミガメのスープ 本家『ラテシン』 
いらっしゃいませ。ゲスト様 ログイン 新規登録
項目についての説明はラテシンwiki

restrain(問題ページ

の知人、ユウキは年齢の割に大人びた人だ。
彼はたまに、雨の中を傘もささずに外出する。
私はその理由を知っている。憶測でしかないが…間違いないだろう。
私は、どうか"あの日"だけは雨が降るようにと祈っている。

物語を解明してください。
10年10月06日 18:43
【ウミガメのスープ】 [藤井]



解説を見る
ウキと出会ったのは、私が中学生の頃だった。

当時若干17歳だったユウキは、どんなに辛くても決して人に涙を見せない人だった。
私も詳しくは聞いた事がないが…どうやらユウキは過去にとても辛い経験をしたようだ。
まだユウキが幼い頃、穏やかな日常を突如襲った割れんばかりの悲鳴、ブレーキ音、衝突音。
歩道に突っ込んで来たダンプカーはあと少しでユウキの命を奪おうという所だった。それを救ったのは一緒に歩いていたユウキのお父さんだ。
ユウキの目の前が一瞬にして血の海に染まる。その場に一人へたり込んで泣き叫ぶユウキの声は―…もう、お父さんには届かなかった。

あれは事故だ。
けれどユウキは何処かで「自分が父を殺した」という思いが拭えなかった。
だからこそだろう、彼は決して「苦しい」「辛い」などといった言葉を口にしない。
食事も摂れず、夜も眠れず…そんな中でも彼は決して涙を見せなかった。

そんなユウキにとって唯一の救いが"雨"だ。
ごく稀ではあるが、彼は大雨の中を傘もささずに外へ出る事がある。
ただ全身に雨を浴びて空を見上げる。そうしていれば、頬を伝うのが雨なのか、若しくは涙なのか…私達には分からない。
そんなユウキを見ていると、たまらなく泣きたくなるんだ。もう、自分を赦してあげて欲しい。

毎年、お父さんの命日になるとユウキは私達の目の前から姿を消す。
きっと自分の弱い姿を見られたくないのだろう。
天候は毎年、まちまちだ。雨の年もあれば、憎らしいほど晴れ渡る年もある。
私は毎年願うのだ。どうかこの日だけは、彼に救いの雨を降らせて欲しい…と。
総合点:1票  物語:1票  


最初最後
物語部門天童 魔子
投票一覧
「多くは語らない。察することが大事なのです」
2017年03月19日10時

最初最後