ベートーヴェン『交響曲第5番 ハ短調 作品67』、通称『運命』。
あの凄まじい旋律を、私は再び聴くことができるだろうか……
できる方に賭けたため、私はオフィスで皆の注目を集めることになった。
どういうことだろうか?
15年02月04日 21:14
【ウミガメのスープ】【批評OK】
[牛削り]
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#span class='bigfont'>ジャ、ジャ、ジャ、ジャーン!!!!
「……うるさいなぁ」
私はベッドから手を伸ばし、ケータイの目覚ましを止める。
どうせ10分後にはまた鳴るよう設定してあるのだ。
もう少し寝たっていいだろう。
……
ジャ、ジャ、ジャ、ジャーン!!!!
「……あーもう」
また止める。
と、ここで少し不安になる。
──これ、止めるの何回目だっけ?
目覚ましの設定は5回分しかしていないから、もしこれが5回目であれば、もう次は鳴らない。
このまま眠り込んでしまえば、遅刻は確定である。
今朝何度止めたか思い出そうとするが、まどろみの中の行動を逐一覚えているはずもない。
──4回だ、きっと。きっともう一度鳴るはず!
目を覚ますと14時だった。
慌てて会社に飛び込んだ私を、社員たちは作業を止め、まじまじと見つめるのであった。
課長が近づいてきて肩を叩く。
「君、今日の午前中が全社会議だって知ってた?」
その時、私の心の中で、いつにない大音量であの曲が流れた──
──ベートーヴェン『交響曲第5番 ハ短調 作品67』、通称『運命』。
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納得感部門なさ【
投票一覧】
「改めて見返してたけど素晴らしい。仰々しいほどの問題文がすんなりと日常の謎へと昇華される感じが病みつきです。」
2015年04月26日02時