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ウミガメのスープ 本家『ラテシン』 
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ウミガメのスープは海の見えるレストランで(問題ページ

の日は天気もよく、水平線の上下に茫洋と広がる碧色を邪魔する物は、何も無かった。
老人は、その海を眺めながら、待ち時間を持て余していた。
「ウミガメのスープです」
老人は、若い男が運んできたその琥珀色の液体を口に含んだ。馥郁たる香りがいっぱいに広がり、その味が舌を楽しませたかと思うと、胃の腑に心地よい温もりが落ちる。老人はしゃがれた声で呻いた。
「これは……本当に、ウミガメの……スープ……」
そして、老人は若い男に怒りをぶつけた。一体、なぜ?
14年11月06日 18:34
【ウミガメのスープ】 [黒井由紀]



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人は、船に乗っていた。
ある日、その船は遭難してしまった。
命からがらどこかの島に辿り着くと、そこは周囲に島一つ無い無人の孤島であり、生きて辿り着けたのは、老人と若い男の二人だけだった。

老人と若い男は、生き延びるために役割分担をして、それぞれの役目を果たした。
老人が海を見張って船を待つ間に、若い男は夜露をしのげる場所と、食料を探しに行った。
老人がしばらく見張りを続けていると、一隻の船が通りかかった。何とか気づいて貰おうと、大きく手や服を振ったり、大声を出して助けを呼んだが、結局、その船は老人に気づくことなく老人の視界を通り過ぎてしまった。
それ以降、いくら待っても船が通りかかることはなく、老人は待つことに退屈を覚え始めた。

そこへ、若い男が何かを運んできた。
「浜で捕れたので作りました。ウミガメのスープです」
浜で拾ったらしい空き缶に、琥珀色の液体が入っていた。空きっ腹の老人は、その液体を喉に流し込み、気付いた。良い香りと、良い味。でも、それよりも――
このスープは、温かい。
温かいスープが作れるということは、温める何かがあるということだ。この島に於いて、それは火しかあり得ない。火があれば、狼煙が焚ける。狼煙があれば、さっき通った船に気づいて貰える……
「火を起こしたのなら、もっと早く言わんか!」
老人は、男に掴みかかり、叫び過ぎで掠れた声で怒鳴りつけた。
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納得感部門tsuna
投票一覧
「さりげないクルーが素敵です」
2015年05月05日12時

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