思いがけず片足を骨折してしまった男は
もう片方の足を故意に骨折させた。
一体何のために?
14年07月19日 22:54
【ウミガメのスープ】
[さしゃ]
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貧しい村の風習により60歳を超えた父を置き去りにするため
おんぶ篭に父を乗せ、山を登る男。
村の掟のため、逆らうことはできないが、決して親を捨てたいわけではない。
歩むごとに罪と別れに苦しみ、涙で視界が滲み、
足元の石にバランスを取られたとき男は転んでしまった。
運悪く、おんぶ篭は壊れ、父は片足が折れてしまい、これ以上の山登りはできなくなった。
しかしまだここは、掟で決められた距離に達していない。
年寄りが自力で戻れないだろう距離まで、運ばねばならないのだ。
息子の苦悩を知り尽くす老いた父は、骨折の痛みに呻きながらも
「心配すんな。もう片方も折っちまえば歩くどころか動けやせん。
村に逃げ帰ることもできやせん。
どうせお前が帰った後、歯と一緒に、折らねばならん決まりの足じゃ。」
そういうと、大きな石を振り上げて、自らの片足を打ち付けた。
自力で戻れない距離まで連れて行かれた後、
木の根や何かを食べないように、万一にも歩き彷徨うことの無いように、
更なる保全の為に、老人には老人の過酷な努めがあったのだ。
泣く泣く重症の父をその場に置き去ることにした男は、背を向けて小声で言った。
「すまねぇな、おんぶ篭も持っていくよ。壊れた所を直して、俺も乗らんといかんから。」
日本だけではなく、世界中に棄老伝説は存在します。
姿を変え、形を変え・・・棄老伝説は今なお、現存していませんか。
高齢者問題と向き合う覚悟はありますか。
命と・・・向き合う覚悟はありますか。
鍛えた水平思考を、社会に役立つ方向に発揮していきたいものです。
ちょっぴり真面目になっちゃいましたね、失礼しましたm(_ _)m
総合点:2票 物語:2票
物語部門とかげ【
投票一覧】
「片足を骨折したために、もう片方の足も故意に骨折させる。登場人物達の思いの深さに、思わず顔を背けたくなってしまう。そんなストーリー性の高い作品です。」
2015年07月12日14時
物語部門のりっこ。【
投票一覧】
「これは取り上げる題材がとても素晴らしい! 解説を読んで、本当に感動しました。 父の想い。男の想い。双方が相交わって、とても悲しく、とても人間味の溢れる“現実問題”となっています。 非常に熱い感情が込み上げる一作。 是非とも多くの方に目を通していただきたい“現実問題”です。」
2015年02月13日14時