【６月のコラボ祭】新婚さん、いらっしゃ～い①

「幸子さん、残り少ない僅かな人生、一緒に歩んでくださいませんか？」



この年70歳なったカメオと幸子は20年程前に知り合い、カメオの告白から交際期間2年を経ていた。

そんな幸子へカメオはプロポーズした。



「カメオさん、ありがとうございます。こちらこそ、いつあなたのそばから居なくなってしまうかは分かりませんが残りの人生を一緒に過ごしましょう」



カメオは幸子の花嫁姿をぜひとも見たかったのだか、年を重ねた幸子は恥ずかしさと、この先短い人生に結婚式は不要だと言った。 その代わり、静かな場所で生活しましょう。と幸子の申し出により小さなアパートを借りた。



新婚生活から１年。静かに過ごした二人だったが、

カメオは持病の心臓病で亡くなった。71歳を迎えたばかりだった。



葬式が挙げられ、生前の笑顔で元気なカメオの遺影を前に、人々は別れを惜しんだが幸子は穏やかな笑顔だった。



私は幸子がこんな時に笑っている事に不思議に思いじっと幸子を見つめていた。すると穏やかな笑顔と共に一筋の涙が見えた。



私は幸子に近より心配で声をかけたが、幸子は幸せだと言った。



「カメオさん、さみしがり屋でしたからねぇ。私が先に死んでしまってたら寂しがるでしょう？カメオさんが先に天国へ行き、最期をちゃんと見届ける事が出来て幸せです。海子ちゃん、貴女はやっぱりやさしい娘ね…。ありがとう」

「おばあちゃん･･･。」



私は幸子おばあちゃんと二人で、カメオおじいちゃんの生命の煙が天に昇るのを穏やかに見つめた。



その夜、私は1人になってしまったおばあちゃんが寂しいだろうと思い、おばあちゃんのお家へ行き、一緒のお布団で寝ることにした。

自然と手を取り合った私たち。

久しぶりに感じるおばあちゃんの温もりが心地よくも寂しい気持ちはぬぐいされなかった。

おばあちゃんも同じ気持ちだったようで、寝付けずに二人とも天井を見ていた。

そこにおじいちゃんがいるかのように。