究極の贅沢？

骨董商ウミオはセコいことで有名だった。

地方でお宝を見つけると、その価値が分かっていない持ち主を騙して買い叩く。

そしてそれを都会へ持って帰ってきて、高値でマニアに売りさばくということを生業にしていた。



ある日その骨董商が地方に赴いた時、カメオの喫茶店でとんでもないお宝を発見する。

喫茶店で飼われていた猫の食事用の皿が、何と高名な陶芸家ラテオの逸品だったのだ。

売りさばけば、少なくとも50万円は下るまい。



これはマニアに高値で売れると考えたウミオ。

その皿がラテオ作であることを知らないであろう店主を騙して、皿を巻き上げようと企んだ。



「お前の所の猫が気に入ったから俺が引き取りたい。20万出すから譲ってくれないか」

「可愛がっている猫なんですが…そこまでおっしゃるのならお譲りしましょう」



ウミオは猫を20万円で買い取ることにした。

その後、カメオに耳打ちする。



「それと、使い慣れた皿で猫に飯を食わせてやりたいからその皿も一緒に譲ってくれないか」



猫をダシにして、本命の皿を実質タダで得ようという魂胆だ。



…しかし。



「申し訳ありませんがこれをオマケで譲るわけにはいきません。なにしろこれは陶芸家ラテオの名品でございますから｣

「…知っていたのか！？」

「ええ」



「それならなぜそんな皿で猫に飯をやっていたんだ？」

「はい。こうしておりますと時々猫が20万円で売れますからね。まさか今買った猫をやっぱり返すなどなさいませんよね？」



仕方がないので猫を連れて帰るウミオだった。

その後ウミオは、20万円相応に可愛がろうと思ったらなんだかんだで情が移って大層な愛猫家になったという。



※某落語のあらすじを改変致しました。