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ウミガメのスープ 本家『ラテシン』 
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チェーン・オブ・ヘイト(問題ページ

界は憎しみで出来ている。

俺も誰かに憎まれているし、
その誰かも、また別の誰かに憎まれているのかもしれない。

行きつけの喫茶店見かけた、あの赤い服の女も、誰かを憎んでいたのだろう。
後ろ姿に見えた、そのどす黒い赤色に、俺は見覚えがあった。

俺は何かから逃げるように、夜の街を駆けた。
全ては、この憎しみの連鎖を断ち切るため。

さて、この後俺はどこへ行き、何をする気だろう?
14年02月20日 00:05
【ウミガメのスープ】【批評OK】 [ruxyo]



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然の土砂降り。この季節なら珍しくはない。
前もって傘を準備しておいてよかった。

しかし仕事が終わり、いざ帰ろうとして、異変に気づく。
・・・傘立てには俺の用意した青い傘は残されていなかった。

盗まれた・・・。

全く、理解し難いものだ。天気予報で今日は夕方から雨だと言っていただろうに。

悪態をついた所で、雨はあがらない。
しかし、土砂降りの中、傘をささずに帰る勇気は俺には無かった。

だから俺は、残されていた他人の『ワインレッドの傘』を・・・盗んだ。

・・・
帰りに、行きつけの喫茶店に入ると、ずぶ濡れの赤い服を着た女がいた。

喫茶店の傘立てには、他の傘はなかった。
きっと彼女も、誰かに傘を盗まれたのだろう。

この雨の中、走ってきたのだろうか。
今にも泣き出しそうな顔でコーヒーをすすっている。

やがて女は席を立ち、店を出た。
なんとなく目で追っていると、帰り際に見えた女は、持っていなかった筈の傘をさして帰っていった。

それは紛れも無く、俺の盗んで持ってきた『ワインレッドの傘』だった。

・・・
咎める気にはなれなかった。
きっと今頃、『ワインレッドの傘』の持ち主も、女と同じ末路を辿っているのだろう。

良心の呵責に苛まれた俺は、雨と、自分の罪から逃れるように走った。

ずぶ濡れになりながら、土砂降りの夜の街を走り回り、
手頃なコンビニを見つけて、500円のビニール傘を買った。

たった500円。 これで誰かが助かるなら、安いものだ。

盗まれたから、盗む。盗んだから、盗まれる。
過去から繋がった憎しみの連鎖は、今ここで断ち切られたのだった。
総合点:1票  その他:1票  


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その他部門春雨
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「【ネタバレ注意】のためその他に。いわゆるギャップ問題。この題材をこう表現するのか、こう味付けするのか、と感服」
2015年08月13日14時

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