昔の人は言いました。
ミイラとりがミイラになる。
好奇心は猫を殺す。
これらの諺をご存じの方は多いかと思います。
もっとも、この問題とは関係のないことですが。
さて、本題です。
星をとりに行った男の好奇心は、男を星にした。
状況を説明して下さい。
14年01月28日 20:16
【ウミガメのスープ】【批評OK】
[セルス]
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あるところに、男がいました。
男は既に定年退職し、子供はみな独立、妻は何年も前に他界しており、一人で暮らしていました。
夜の山でキャンプをし、空に向けてカメラを構え、星空を撮っている男。
これが、男の数少ない楽しみの一つでした。
なんときれいな星空なんだろう。
その日もいつものように、満点の星空を切り取ってはフィルムに収めていました。
ふと、男の眼に何か、動くものが目に入りました。
満点の星空に煌めく、一筋の光。それは、彗星でした。
男はその彗星をフィルムに収めました。
後日、男は写真屋で現像した写真を受け取りました。
よく撮れてるな。
写真を眺めている男。ふと、一枚の写真が目に留まりました。
それは、あの彗星の写真でした。
彗星か。この彗星、一体なんて言うんだろう?
別段、星の事に詳しいわけでも無かった男でしたが、
そんな気まぐれな好奇心から、男は自らがフィルムに収めた彗星について調べました。
図書館で天体に関する本を漁っては調べ、漁っては調べ。
それをひたすら繰り返していましたが、男が撮影したその彗星らしき記述はどこにもありませんでした。
それもそのはず。
なぜならその彗星は、これまで誰も発見したことのないものだったのですから。
やがてその事に気づいた男は、彗星の写真を公開し、
天文学者たちからも歴史的な新発見として認められました。
そして、彗星には発見者である男の名前がつけられたのです。
男の名がつけられた彗星は、これから未来永劫まで語り継がれることになるでしょう。
たとえこの先男が亡くなってからも、ずっとずっと、歴史にその名を残すことになるのです。
もし、男が気まぐれを起こさずに彗星の写真をアルバムに収めていたら、
せっかくの新発見も、歴史の闇に埋もれるところだったでしょう。
星を撮りに行った男が好奇心を持ったからこそ、男の名のつけられた星が誕生したのです。
総合点:1票 チャーム:1票
チャーム部門春雨【
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「前置きが、ぐっと魅力を増しています」
2015年08月13日14時