放課後。玄関の下駄箱にて。
いじめっ子によってボロボロにされた靴をはいて帰宅したヨシオ。
ヨシオはそのことを誰にも言えなかった。
しかしイジメはどんどんエスカレートしていった。
ヨシオはイジメのことを母親に話したが、
母親はヨシオの言うことを全く信じなかった。
先生にも相談した。そしてようやく学校からイジメはなくなったが、
ヨシオは家でいじめられるようになった。
一体なぜ?
13年10月18日 23:21
【ウミガメのスープ】【批評OK】
[水上]
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私の学校にはイジメはありません。
吉田ヨシオ校長の口癖である。
しかしある日、玄関の下駄箱にてズタボロになった靴を発見した。
無惨に引き千切られ履ける状態ではない。この持ち主は裸足で帰宅したのであろう。
しかし私の学校にはイジメはないのだ。
ヨシオは箒とちりとりを持ってきて、その靴の残骸を綺麗に掃いて、焼却炉で焼き捨てた。
ボロボロにされた靴などない!なぜなら私の学校にはイジメはないからだ。
ヨシオはこの事を誰にも言えなかった。むしろなかったことにした。
しかしイジメはどんどんエスカレートしていったらしく、
イジメの対象の生徒が自殺をしてしまった。
保護者会が開かれ、イジメの件で話し合いが行われた。
自殺した生徒の母親はヨシオに説明を求めたが、
ヨシオは今回の自殺はイジメによるものではないと主張。
ヨシオは頑としてイジメを認めなかったが、
母親もイジメがなかったなんて信じなかった。
結局はある生徒の告発でイジメが明るみになり、
ヨシオは校長の座を辞任するように迫られた。
ヨシオは付き合いの深かった地元で権力のある大物議員に泣きついた。
「先生!私は校長を辞めたくない。教職が私の天職なのです。イジメなんてないのです!」
「吉田くん。流石に今回の件は私では庇いきれないよ」
ヨシオは校長を懲戒免職。
新校長がイジメを徹底的に排除し、ようやく学校からイジメ問題がなくなった。
「学校では校長様だったけど、家ではまったくの無能ね」
「ちょっとおっさん、くっさいんだけど。ちょっと外走って来いよ」
「働く気あるの?ないなら本当に出て行って欲しいわ」
「耳まで美味しい食パン買って来いや」
無職のヨシオは妻と娘にいじめられることとなった。
「イジメはありません」
総合点:2票 トリック:1票 伏線・洗練さ:1票
トリック部門からてちょっぷ【
投票一覧】
「問題文の一語一語が意味するものとは。解説を見た後もう一度読んだとき、こういう意味だったのかと驚かされる作品です。」
2015年11月10日21時
伏線・洗練さ部門春雨【
投票一覧】
「言葉の魔術師」
2015年08月29日12時