蝋燭が立ち並ぶ一室…
薄ぼんやりとした明かりの中…
男は自分の首を気にしながら首飾りを外した。
夜が明けて…
男はその首飾りを恋人に渡し、
あの場所には近づくなと念を押した。
その後、男はこの町から姿を消し、
恋人は蝋燭に火をつけてしまったことを後悔した。
一体このカップルに何があったのだろうか?
13年07月12日 08:35
【ウミガメのスープ】【批評OK】
[水上]
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深夜、静まり返ったデパートの中。
懐中電灯を片手に店内を見回る警備員。
警備員の男はアロマキャンドルがたくさん並んでいる雑貨屋に足を踏み入れた。
非常灯がぼんやりと店内を青白く染めている。
男は手に持った懐中電灯を使って商品を物色した。
その中から壁の什器に掛かっている首飾りを外し、繁々と眺めた。
「バレたら首だろうな…」
男は自分の首を気にしつつも、この首飾りを着けた恋人の顔を思い浮かべ、
それを自分のポケットの中にしまいこんだ。
翌日。
男は恋人の家で夕飯をご馳走になり、そして例の首飾りをプレゼントした。
恋人はそのプレゼントを大層喜んだ。
「すごく良く似合ってるよ。ただ俺の職場のデパートには着けてきて欲しくないんだ。
値段がばれちゃうしね」
男は窃盗の露見を恐れ、恋人にそう念を押した。
恋人の喜ぶ顔を見ていると、昨日しでかした罪がちっぽけに思えてきた男は、
また仕事中に盗みを働いた。
アロマキャンドル、オシャレなペアグラス、素敵サングラス、
イカしたフォトフレーム、激カワクッション、etcetc…
次第にエスカレートしていく男の犯罪は遂に明るみに出ることになった。
男は窃盗罪で逮捕。隣町の留置所に送られることになった。
恋人の所にも警察がやって来て、ことの真相を知った。
恋人はこれらのものが盗品であることを知らなかった。
すべて返そうとしたのだが、アロマキャンドルだけは一度使ってしまっていた。
「盗品だと知っていたら使わなかったんですけど…」
恋人はアロマキャンドルに火を付けてしまったことを後悔した。
総合点:2票 チャーム:1票 トリック:1票
チャーム部門tsuna【
投票一覧】
「妖しい雰囲気が素敵です」
2015年05月16日14時
トリック部門SNC【
投票一覧】
「問題文の雰囲気と、記述による先入観。しっかりとしたクルーとベールが素晴らしいです。」
2016年03月06日11時