女は男とすれ違った瞬間、男の死を確信した。
同時に自分のことが心配になった。
そして男の向かった方向とは逆に走り出した。
何故でしょう?
13年05月15日 22:34
【ウミガメのスープ】
[イエ]
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女は会社で仕事をしていた。
少し疲れて窓の外を見た瞬間、上から男が降ってきた。
女がいるのは11階。それより高くから落ちて助かるわけがない。
女は男の死を、それも自殺であろうことを確信した。
落ちていった男は女が一ヶ月前に別れた元恋人だったからだ。
おそらく自分との別れを悲観して……。
女はそこではっと気づくと心配になった。
自分のことを書いた遺書があるのでは?
皆が騒ぎ出す中、女は席を立つと男が向かっていた地上とは逆の方向、屋上に走り出した。
屋上のフェンスの前には揃えられた靴と、案の定遺書が置いてあった。
内容はやはり女との別れに耐えられず死を選んだというものだった。
女はその遺書を折りたたんでポケットに隠した。
こんなものが見つかったら、半年前から付き合っている社長の息子に二股をしていたことがばれてしまう。
女が働く会社で死んだことは男にとって当てつけのつもりだったのかもしれないが――。
女はほっとしながら思った。
(ああ良かった、私の見えるところで死んでくれて)
総合点:5票 納得感:1票 トリック:2票 伏線・洗練さ:1票 物語:1票
納得感部門tsuna【
投票一覧】
「問題文と解説のギャップにやられました」
2015年04月24日01時
トリック部門弐閃【
投票一覧】
「景色がひっくり返る仕掛けです」
2016年01月12日22時
トリック部門のりっこ。【
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「これは素晴らしい叙述、見事な水平思考問題ですね! 納得の解説にシビれました!」
2015年02月25日01時
伏線・洗練さ部門弐閃【
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「言葉の使い方がハイレベルです」
2016年01月12日22時
物語部門弐閃【
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「問題文とバックストーリーの組み立てが見事です」
2016年01月12日22時