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ウミガメのスープ 本家『ラテシン』 
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グッド・バイーー灰山のスープ(問題ページ

かな灰山は死を考えたりもしたが、自分の役目を見つけたとき、これから先も頑張れると思った。
状況を補完してください。

※タイトルの由来は、太宰治の遺作「グッド・バイ」です。読んだことないけど。
17年10月30日 20:05
【ウミガメのスープ】【批評OK】 [からす山]



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この物語はフィクションです。



灰山は精神を患っていた。

それほど重くはなかった。日常生活は出来る程度だ。しかし仕事など難しいことをしようとすると支障が出た。
いろいろうまく行かず、いっそ死を考えたこともあった。切れないロープの結び方を調べたりもした。

もともと、あまり出来のいい人間ではなかったが、それ以上に、人とのコミュニケーションが苦手だった。
ここには書きたくないような、対人関係の障害を持っているのではないか、と疑ったりもした。大人になっても、それは変わらなかった。

そんなとき、とある水平思考サイトに出会った。
水平思考の問題を考えて、それを出題したり、出題された問題に質問したりするサイトだ。
頭の具合が少し悪い彼は、出題でも質問でも大した実績は残せなかった。水平思考には根本的に向いていない。それは何となくわかっていた。文体も支離滅裂、ろくに誘導も出来ない、質問も的外れなことばかり聞いている。

でも、いろんな人と交流して、楽しかった。
軽度の精神障害のために、生きることはきつかったけど、決して楽しみたくないわけではないのだ。
むしろ、楽しみたかった。きついことから逃れるために、人一倍、楽しいこと、明るいことを追い求めていた。

そんな中で、一つの道を見つけた。そのサイトで出された、良い作品に投票することだ。
彼は頑張った。つたなすぎる文章で、いろんな作品の良いところを見つけて、投票し続けた。それこそ、狂ったように。もともと、少し狂ったところのある頭だが、それがたまにいい方向に作用することもある。先に書いた対人関係の障害は、同じことを根気強く、飽きることなく続けられるという方向性も持つ。プラスの面がないわけではない。今回は、それがプラスに作用した。興味のある方は、「アスペルガー症候群」で検索されてはどうか。
やがて、投票に関しては灰山が最も数が多くなった。投票を続けるうちに、自分の作品に投票していただいてありがとうございます、と感謝の言葉を受けることも多くなった。それが嬉しかった。自分はこのサイトに貢献できている。こんな出来損ないの人間が、こんな素晴らしいサイトに貢献できている。

そんな折、もうじきこのサイトが閉鎖されてしまうことを知り、さらに躍起になって投票し続ける灰山。本当にくるっているのかもしれなかった。けどその狂気に、悲しみや不幸はない。その狂気は、この上ない幸福と充実感を伴っていた。
自分は主役にはなれない。自分は、馬鹿だから。ブクマやMVSをたくさんもらうような、絶妙な水平思考の素晴らしい問題を出すことも、華麗な質問をして鮮やかにスナイプをすることも、自分にはとうてい出来そうにない。
でも、脇役にはなれた。いろんな人の作品に投票して、場を盛り上げることだ。脇役でもいい、それこそ、誰よりも立派な脇役であろうという思いのもとに。自分のような出来損ないに、この素敵なサイトを少しでも盛り上げる役目が出来たのなら、何よりだと思った。

マンションの清掃業の仕事でもそうだった。決して花形ではない、地味な仕事だけど、毎日同じことの繰り返しでミスをすることも少ないし、MVS投票と同じで、同じ作業をいつまでも果てしなく続けることにほかの人ほどつらさを感じない、そこが強みだし、あまり人と話す必要もなくストレスもたまらない。給料は高くないし、ゴミ出しの日は結構忙しくてきつい作業だけど、これなら一生だって続けられる。
清掃業なんて、一般の人からは大したことない仕事と思われそうだけど、自分はこの仕事に誇りを持っている。職業に貴賤なんてないと、日々感じている。それに、マンションの住人の方に、「いつも綺麗にしてくれてありがとうね」「お疲れ様」などと、たまに声をいただけると、やっぱり嬉しくて、「どうも、です」とおずおずと返事したりするのが、何よりの喜びだったりする。
良作品への投票にも、似たところがあった。地味だけど、誰かがやるべき、絶対に意味がある作業。感謝されると嬉しかったし、そうするとさらに投票にも熱が入った。自分の生き方が、投票にも表れていると常々感じた。
投票に熱を入れ過ぎて、最後は燃え尽きてしまった感もあるが、決してそこに後悔はない、あるのは充実感だけだ。

それに、作った作品だって、した質問だって、そう卑下するばかりのものじゃない。
ほら、見てみろよ。お前の作った、90問近い作品の一つ一つを。ブクマやMVSをたくさんもらえるような問題にはほど遠いし、87問目の「運命のshow time!」みたいな病んだ作品も多少はあるけど、大半は、楽しさと笑いの交わった、自分でも笑ってしまうような、いとおしい作品ばかりじゃないか。質問も、絶妙なタイミングでの「カニバりますか?」をはじめ、ネタ質問でおちゃらけて楽しませることも出来ている。お前はこのサイトで、確実に変わった。自分を表現する方法を見出したんだ。

もう、大丈夫。死を考えることなんて、ありえないだろう。何度も死を考えて、実行も仕掛けたけど、ことごとく失敗して、自分には死を決行するのは無理だと思い知ってから数年、だいぶ安定はしているし、仕事もうまくいってる。清掃業の仕事は、地味だけど、転職だと感じてる。現にもう一年は続いているし、これなら一生だって続けていけるだろうさ。仕事さえ問題なければ、死なんて考えたりするものか。自分は世の中に必要ない人間だという考えからくる死の観念なんだから、必要とされさえすれば、死なんて考えたりしない。
水平思考サイトだって同じだ。たとえ終わっても、また別のサイトが出来る。そこでも、出題や質問、投票で、いろいろと頑張りながら、そこにいる人たちを少しでも楽しませることが出来るなら、もう灰山は、もう昔の灰山には戻りはしない。「まじめの一歩」の幕の内弁当一歩みたいに、今からでも強く成長していくことが出来るはずさ。

そしてサイトが終了したあと、彼はまた別の水平思考サイトやディスコードに向かう。今度は「灰色ヤタガラス」に名を変えて。
そこでも主役にはなれないだろう、きっと。
でも、脇役でいい。それが自分の生きる道。ほかの人が楽しんで、幸せになってくれれば、灰山にとっての幸せなのだから。

まとまりのない文章になってすまない。どうか許してほしい。何度も言うように、灰山は頭が悪いんだ。でも決して、不幸なんかじゃない。


どうか……


ラテシンよ、永遠に。




最後は元気にご挨拶!! 4カ月間、どうもありがとうございましたっっ!!!!!

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物語部門tsuna
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「グッときます 芥川賞に勝るとも劣らないし小説です」
2018年12月29日23時

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