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牛削りの扉2(問題ページ

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17年10月28日 23:08
【20の扉】【批評OK】 [牛削り]



解説を見る
テシンとともにあったこの数年間は、僕にとってかけがえのないひとつの時代となりました。
ラテシンという場所に集まり、同じ空気のなかを過ごした、本当の名前も知らないたくさんの人たち。
色々なことがありましたが、今思い返してみれば、どれも大切な思い出になっています。
何が言いたいかというと、

ラテシンユーザー全員、大好きです!




それではここで!
【200問記念! 牛削り自作問題全問セルフ解説!】
※ネタバレあり

1問目~100問目
「牛削りの扉」 http://sui-hei.net/mondai/show/15383にて解説。

101問目「【1on1】富岳二景」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/15870
100問出題を記念して、同じく100問出題を達成された永遠のライバル、とかげさんと1on1をさせていただきました。
「逆さ富士」という題材はずっと前からあったのですが、なかなか問題にできずに苦戦していました。出すなら100問出題祝いというおめでたい機会をおいて他にないだろうと急ピッチでアイディアを振り絞ったという次第。
「逆さ富士だと、逆向きに飾られていても気付かない」というアイディアは比較的すぐに出てきました。難しいのは、それをいかに問うかということ。このままでは問題になりません。そこで基本に立ち返り、96問目「サクラトレードオフ」http://sui-hei.net/mondai/show/15011のときに生み出したあの手法を用いることにしました。
すなわち、使いたいネタを核にして、「【A】→ ネタ →【B】」という因果の流れを考えた後、ネタを取り除いて問題文として整える、という手法です。今回は、ネタ部分に「これまで逆さ富士を逆向きに飾っていたことに気付いた」という事象を設定しました。
「どんなことがあれば逆さ富士が逆だと気付くだろう?」「気付いたら何が起きるだろう?」ということを必死で考えた挙句できたのが当問題です。もともとは、逆さであることに気付くきっかけとして、富士山の側火山である「宝永山」が左右逆転している、というのを検討していましたが、宝永山が左右どちらかに確認でき、かつ逆さ富士が綺麗に見える位置というのが見つからなかったため、断念しました。解説を読めば、苦心のあとを見て取っていただけるかと思います。
当問題は解説の構造が少し複雑になってしまったため、説明のための図を用意しました。実は図を描くのに一番時間が掛かったというのは内緒です。

102問目「やる気饅頭」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/15887
ほぼ実体験です。ダメな夫でごめんなさい(笑)。
妻の留守中に友人が訪ねてきて、下着の干してある部屋に案内してしまったところまでは事実です。幸いなことにお土産を貰わなかったので大丈夫でしたが、友人が訪ねてきた話を妻にできず、歯がゆい思いをしました。
登場人物はさすがに牛削りというのは恥ずかしかったので、新キャラ「ずぼらな茂吉」に任せました。
オリオンさんのパンツがベルギーの国旗柄であることが判明するなど、面白い進行となりました。

103問目「努力の大切さ」
http://sui-hei.net/mondai/show/15936
「ビリギャル」という映画を観て思いついた問題です。
あまり期待せずに観たのですが、予想外に面白い映画で、その理由は主人公の努力の美しさにあると感じました。で、観終わった後、無性にスポ根ものの映画が観たくなったのです。
お、これは問題にできそうだと思い、その日のうちに仕上げました。登場人物は、前作「やる気饅頭」にも登場したずぼらな茂吉を起用しました。あわよくばシリーズ化を、と思いましたが、それ以降このテイストの問題は思いついていません。二作完結かな。

104問目「お姉さん型ロボット」
http://sui-hei.net/mondai/show/15957
ベールはできる限り薄いのが好きです。
このネタで問題を作るとしたら、たいていの人はお姉さんがバスガイドであることを隠すでしょう。僕もそこで少し悩みましたが、隠すことで面白さが半減するような気がして、ポリシーに従い全て出してしまうことにしました。
ベールを薄くしたことで瞬殺となっていますが、後悔はありません。
「瞬殺上等」は非推奨、とよく言われるようですが、これは「瞬殺されないように情報を隠せ」という意味ではないと思います。情報を隠すのはより面白くするためであり、瞬殺を防ぐ目的での機械的な情報隠しはあまり好ましくないです。そのネタを活かすために最適なベールの厚さが、たまたま瞬殺されるレベルに薄くなるようなら、それはそれで構わないと思います。
理想は、「問題文だけで答えは導ける、けれども、誰もそのことに気付けない」というような、トリッキーな問題ですね。そういう意味では当問題はあまりうまくいっていませんが。

105問目「【世界田中奇行】田中紀行」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/16022
ネタを思いついたとき、一番難しかったのは、「しっくりくる漢字を探すこと」でした。
このネタを成立させるには、以下の条件を満たす漢字を探さなければなりません。
(1)それ一文字で人名になる。
(2)下に「行」を伴って、何らかの苗字と合わせて意味の通る言葉になる。
候補として、当初「銀」がありました。しかし、これでは納得感が低い上に、違和感が大きすぎます。
打開案が浮かばないまま放置していたとき、偶然「世界田中奇行」の問題を見つけました。「これだ!」と思わず叫んでしまいました。
「奇」には、名付けとして「あや」という読み方があり、これでも問題ないかなと思いました。が、やはり「奇」という名前はあまり一般的でないと判断し、結局「紀」の方に落ち着きました。
letitiaさんがMVSでコメントしてくださいましたように、「田中奇行シリーズだからこそ囚われる先入観」というものが、偶然ではありますが生じていて、思わぬ名作になりました。

106問目「温州みかんは控え目に」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/16207
当問題は、過去の自分への挑戦でした。
83問目「酔っ払いの戯言」http://sui-hei.net/mondai/show/14403は、おかげさまで出題者の予想を超えて高い評価をいただきました。
「この言い回し、こんな風にも聞こえるね」という程度のライトな出題のつもりでいたので、叙述トリックものとしてここまで評価されるとは、驚きです。皆様からのコメントを読んで初めて、ああこれ叙述トリックになっていたんだな、と気付いたほど。
こんな経緯なので、「酔っ払い~」の高評価は僕の実力というより、運がよかっただけ、という印象です。あれと同じような出題ができるかと問われれば、自信を持ってYESとは答えられません。
じゃあ、と僕は自分を鼓舞しました。じゃあ、次はちゃんと意識して、あのレベルの叙述トリックを作ってみればいい。「酔っ払い~」の評価に見合うだけの出題者になるために、この挑戦は必要なステップでした。
当問題には、こういうわけで、「酔っ払い~」と似た構造の叙述トリックが仕込まれています。すなわち、”考えるフィールドのすり替え”。
「酔っ払い~」では、「ひとつの袋の両端」というフィールドが、「ふたつの袋」というフィールドにすり替わっています。
同じように当問題では、今度は意識的に、「温州みかんそのもの」というフィールドを、「ジュース」というフィールドにすり替えています。その結果、「みかんに占める割合」を「ジュースに占める割合」と誤解してしまうような作りになっているかと思います。
この挑戦を自己評価すると、「酔っ払い~」と同じような味は再現できたものの、やはりインパクトでは敵わなかった、というのが正直なところです。とはいえ、偶然ではなく意図的に、同じ趣向の叙述トリックを操ることができたというのはひとつの自信になりました。

107問目「のぞいてごらん」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/16308
最近凝りすぎているな、と思い、少し力を抜いたシンプルな問題を考えました。
顔出し看板を裏側から見ると、何も描かれていない木の板に開いた穴を覗いて喜んでいる、という奇妙な情景になるなと気付きました。大人ならその意味がわかるはずなので、語り手は子供にしました。
ありふれたものを裏側から見てみる、というのは、もしかしたら水平思考のひとつの方法なのかもしれません。

108問目「遠慮がちな読書会」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/16443
実体験からの問題です。
僕の家では、本を僕用と嫁用とに分けています。で、お互いに、これは相手も好きそうだなと思った場合、そっとトイレの中の棚に置いておくのです。新しい本が置いてあるのを見ると、ちょっと長居する際に手にとって読んでみます。自分が置いておいた本に関しては、中のしおりがどの程度移動しているかを観察します。普段顔を合わせて色々喋っているのですが、トイレの中の読書会に関しては、こういった無言のコミュニケーションがなんとなく心地よいのです。
さてあるとき、僕がしおりの挟まっていない本を置いてしまったため、嫁がブックカバーの折り返しをしおり代わりに用いているのを発見しました。この状態だと、しおりが挟んである状態よりも中身の確認に心理的抵抗が生まれることに気付きました。
これは何かに使えそうだぞ、と考えた結果できたのが、当問題です。

109問目「からっけつラヴァーズ」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/16495
山村カナエの登場する「見栄っ張りラヴァーズ」シリーズ3作目です。
このシリーズは、シリーズものとして物語を描こうという魂胆はまったくなく、思いついたネタに「推理過程を探れ」という問い方が最も相応しかった場合にシリーズ名を冠しているだけなのです。実は。無理にシリーズとして続けようなんて思うと、物語ありきで問題の質を下げかねないので、よほど思い入れのある物語でない限り、このくらいの入れ込み方の方がいいのかもしれません。
さて今回は、手ぶらの恋人を見て安心する理由。このテーマは登録初期からずっとネタ帳の一角を占めていました。ネタ帳には「バッグがなかなか人間にならないので腹が立った」「椅子がコートを着たままなので店の売り上げが下がった」など、苦心の跡が残っていました。
時間はかかりましたが、すっきりとした問題にまとめられたかなと思います。

110問目「犯人には向かない俳優」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/16525
今となっては後悔の残る作品です。
はまり役なのに映画に出演できない理由として、前作で別人役として出て、そのまま作品内で死んでしまっているから、と解説しています。悪くはないですが、それでも無理やり出演させることはできなくもないでしょう。
それよりは、前作で主人公として出してしまい、シリーズ物の今作でも当然主人公をやらせなければならず、主人公と犯人の1人2役はさすがに無理がある、とした方が自然でした。
どうして出題時に思いつかなかったのやら……。

111問目「花が散るのは」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/16540
言葉遊びの綺麗さ、解説の物語ともに、お気に入りの問題です。
あるとき不意に、この言葉遊びを思いつきました。このネタの調理法として、お笑い方面で行くか、感動方面で行くかの二択に迫られました。冷静に考えればありえないような奇跡的な聞き間違い、お笑いにいくことも十分可能でした。聞き違いをみんなで茶化している場面、余命を自覚しながらも精一杯幸せを掴もうとしている花嫁の姿。二つの異なるラストシーンを脳内で比べた結果、後者の方が書きたいと思ったので、感動方面に持っていくことにしました。
当問題は、問いかけ方も気に入っています。問題文前半の状況説明とまったく関係無さそうな、「彼女の余命は幾ばくだろうか?」という唐突な質問。この唐突さを演出したかったので、問題文中には期間に関する語句をまったく入れないよう心がけました。「ジューンブライド」という語句を用いたのも、その目的からでした。

112問目「バラバラ」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/16661
漫画「名探偵コナン」で、白いバラを持った三人の中から犯人を探すという話がありました。これを読んだとき、「同時刻、同地点に白バラを持った人が3人とか、ねえよw」という感想を持ちました。そこから「いやいや待てよ、これ使えるかも」と閃き、問題にまとめ上げたという次第です。発想の元となったお話では白バラでしたが、納得感を高めるため、待ち合わせの目印としてはより一般的だと思われる赤バラにしました。
息子を思うがゆえの、赤バラを無料配布するという行動。なかなか面白い奇行ものになったと思います。
ちなみにタイトルは、「薔薇」と、「出会えなくてバラバラ」をかけています。甘木さんリスペクト、なんちゃって。

113問目「冗長先生のお話」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/16769
僕は中学生の頃生徒会長をしていたので、卒業式では答辞を述べました。
卒業式の様子は映像で記録されており、後から希望者に配布されました。その頃はちょうどビデオからDVDへの転換期で、流行りモノに疎かった我が家は当然ビデオでの受け取りを希望しました。
送られてきたビデオをデッキに入れて観てみると、僕の挨拶が初めと終わりだけ残して大部分がカットされていました。緊張して噛んでしまったりしていたので、ちょっとホッとしながらも、やはり残念な気持ちは強かったのを覚えています。
そんなことを思い出しながら作ったのがこの問題でした。

114問目「探偵よ安らかに眠れ」
http://sui-hei.net/mondai/show/16818
実は同じようなネタを26問目「度忘れ」http://sui-hei.net/mondai/show/12222でやっています。当問題と「度忘れ」を同じようなネタだと判断しているところに、もしかしたら僕の僕らしさがあるのではないかと思っています。
「度忘れ」よりも事象を大げさにし、一コマ漫画のように場面が全てを語るようなつくりを目指しました。

115問目「二択問題」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/16943
106問目「温州みかんは控え目に」に引き続き、「酔っ払いの戯言」への挑戦作として出題しました。こちらの問題での”考えるフィールドのすり替え”は、以下のような構造です。
「ふたつの絵」を、「ひとつの絵の中に登場する二者」にすり替えています。
「絵」を「袋」に、「登場する二者」を「両端」に変えると、そのまま「酔っ払い~」になります。この類似性に気付かれた方はいらっしゃるでしょうか。
ここに及んで、まだ確立はしていないものの、僕の作問スタイルのもうひとつの方向性が見えてきた気がします。
「ふたつのX」と「ひとつのXの中のふたつのY」とをすり替える。
これを成り立たせられるXとYを発見すれば、問題がひとつ出来上がります。
汎用性はあまりに低いですが、メソッドのひとつとして心の隅に置いておいてもいいかなと思います。

116問目「フタバもない県」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/17012
よく「○○県には△△もない」という言い方で地方が馬鹿にされている(あるいは出身者が自虐している)のを見ます。今でこそ陳腐な悪口になってしまいましたが、実は少し捻りのきいた面白い皮肉だと思います。
ところでこの文言、見方を変えると、△△の方を絶賛していることになります。企業側としては、こんな風に使われたら、きっと大成功をおさめたと満足することでしょう。
そんな風に思ったのでそのまま問題にしてみました。

117問目「水曜日は燃えるゴミの日」
http://sui-hei.net/mondai/show/17077
これは日常生活でよくやっちゃいそうになるんです。
さすがにここまで酷いことはありませんが、ちょっと歩いて気付くというのはままあります。
ラテシンのおかげで、失敗してもめげずに、それを問題に昇華してやろうという姿勢を持つことができています。

118問目「誠意の見せ方」
http://sui-hei.net/mondai/show/17101
反省して坊主にするという伝統が僕にはよくわからないんです。
坊主にされたところで迷惑を掛けられた相手になんらメリットはないし、それを罰だというのなら、オシャレで坊主にしている人に失礼です。
そういう反感から、坊主にすることの無意味さを笑うために、この問題を作りました。

119問目「場所当て」
http://sui-hei.net/mondai/show/17103
日本語の曖昧な部分をついた一発ネタでした。問題文だけではバレバレなところ、注意書きによってミスリードできるかなと思いましたが、やはりバレバレでしたね。

120問目「父の威厳」
http://sui-hei.net/mondai/show/17107
この言葉遊びを思い付いたとき、さすがにこれは誰かに使われているだろうと思いました。使われていないネタというのは、誰も思い付かないような斬新なネタか、あるいはみんなが思い付くけれどつまらないからボツにするネタのいずれかです。ところが検索してみても前例が見つからない。まさかこんなに綺麗なネタが、まだ手付かずで残っているなんて!
誰かに気づかれる前にすぐ出してしまわなければ、と急ピッチで完成させて出題しました。ちょうどよい時期に出題できて良かったです。
この問題にはのりっこ。さんが参加してくれたのですが、出題者視点での推理が素晴らしかったです。ぜひ雑談欄の名推理を見てみてください。

121問目「知らない女」
http://sui-hei.net/mondai/show/17121
これは僕にとってはあるあるネタなのですが、あまり共感される内容ではなかったようですね。
電話ごしの声だけだと、はっきりわかるのは性別くらいなので、社名だけ言って名乗らない人だとけっこう困ります。よほど口癖や訛りのある人なら別ですが……。
この問題は僕にとっては納得感抜群なんです。

122問目「スカンク狩り」
http://sui-hei.net/mondai/show/17195
スカンクマンとスネークマンの言葉遊びが気に入っていただけているようです。
実ははじめはスカンクマンだけで出題しようとしており、スネークマンのネタは出題直前で思い付いて書き加えたのでした。
なかなか挑戦的な問題ですよね。

123問目「とうとう」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/17292
柱の傷を題材にした問題を作ろうというのは、ずいぶん前から考えていました。
ただ、例によってそこから物語がなかなか展開せず、問題になってくれません。
ネタ帳で燻らせておいたところ、「柱の傷に添える日付」に着目するアイディアが出てきました。
ネタ帳に書き込まれてから出題されるまで、一番長くかかったのはこの問題かもしれません。

124問目「バレバレ」
http://sui-hei.net/mondai/show/17393
子どもって、意味のない嘘をつきますよね。意味がないというのは、目的がないとも言い換えられます。その嘘をつくことによって、何か利益を得られるでも、不利益を回避できるでもない。大人からみたらとても理不尽です。
大人のつく嘘は目的があります。相手を騙すことで金をもうけたり、面倒くさいしがらみから解放されたりします。嘘ってそういうものだと、大人になった僕らは勝手に理解しています。
でも、僕たちはその昔、子どもでした。意味のない嘘をきっと四六時中ついていたのです。いや、意味のないというのは大人の立場からの一方的な見解で、もしかしたら子どもたちには、嘘をつくことで守りたい、大人にはわからない何かがあるのかもしれません。その何かがなんなのか、もはや知るすべもありませんが。
この問題では、子どもたちのついた他愛もない嘘がばれる瞬間を切り取っています。子どもたちがどんな嘘ならつきうるか、少年になりきって精一杯考えてみました。

125問目「左隣のアパートの火事」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/17581
お察しの通り、というか質疑でも指摘されていた通り、僕自身の日常を下敷きにしています。
妻は朝が弱く、いつも僕が出発するギリギリまで寝ているのですが、それでも必ず、僕がアパートの階段を降りるまで見送ってくれます。会社行きたくないなーというときなんか、見えなくなるまで見送ってくれるその笑顔に、本当に救われています。
そんなとき思うんです。玄関のドアが左開きでよかったなと。もし反対側に蝶番がついていたら、こんなに気軽には見送ってもらえなかったでしょう。朝が弱い妻はいつもすっぴんなのです。別に化粧しようがしまいが僕にとってはどうでもいいんですが、女にとっては一大事のようですね。
そんなところからこの問題が生まれました。

126問目「片手なら我慢」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/17606
僕は幸いにして平均くらいの背なので、身長に関する不都合に出会ったことはありません。背の低い友人に聞くと、背の順で一番前になるというのはとても恥ずかしいことらしいですね。最前列の人だけがやらされる両手を腰に当てるポーズも屈辱的のようです。
そんなことを問題にしようと思い、なにか関連性を持たせられそうな事象がないかと考えたところ、「身長」「手を腰に当てる」という二つの共通点を持つ「牛乳」というキーワードを見つけました。
あとはうまく整形してやれば、ほら一問出来上がり。

127問目「大切なこと」
http://sui-hei.net/mondai/show/17694
19問目「大切なもの」http://sui-hei.net/mondai/show/12071の続編です。元々シリーズものにするつもりはなかったのですが、母と子のお話ができたので過去の問題と関連付けてみました。
読み返してみると原因と結果が少し遠いかなと思います。ただ、親の苦労をこれによって知るというのは、いつかやっておきたいネタでした。

128問目「勇気」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/17742
同じシチュエーションを扱った有名な問題へのアンチテーゼとして出題しました。
下敷きにした問題を知ったとき、無性に腹が立ちました。この問題は、人と人の真剣な約束を、身勝手な正義感だけで反故にすることを、優しさだと主張しているのです。一番許せないのでは、この問題を読んだ読者が口々に「感動した」「優しいね」などという感想を述べていることでした。
「勇気」を出題することで、そういう風潮に待ったを掛けたかった。
感動的な文章が、必ずしも感動的な内容とは限らないということを伝えたかったのです。

129問目「大丈夫」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/17822
aikoの曲で、好きな人との帰り道で迷ってしまえと願うという歌詞が出てきます。少しでも長く一緒にいられるようにという一途な乙女心ですね。
この歌詞を思い返したとき、これってひとつの発想の転換だよなと思いました。普通、迷うことは嫌なことです。でも迷ってしまえと思う。それは迷うことのデメリットよりも、迷うことで余計にかかる時間の方に価値を見出だしているから。
これは問題に応用できないか。「迷う」から「ゆっくり歩く」にかえて、色々調整したらこの問題ができました。

130問目「また会えるね」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/17943
ふと、お盆に先祖が帰ってくるのって、何故か風雅なものとしてしか語られないけど、よく考えたら怪談だよなと思いました。これはひとつの発想の転換なのではと気付き、肉付けしてみることにしました。
「お盆」というキーワードは抜いて、主人公が怖いと思ったことを原因として起こる出来事の連鎖を二つほど前に進めてみました。
子どもらしさを描けたのではないかと思っています。

131問目「窓際社員の憂鬱」
http://sui-hei.net/mondai/show/17944
実話です。
僕のオフィスの僕の席は、ちょうどこのような事態に見舞われています。身体を傾けないと仕事になりません。まあその時刻になるとやる気を使い果たしてサボってばかりだから、元々仕事になってないけどね。

132問目「虫歯」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/18085
僕は人と比べて右左の覚えがよくなかったようで、いまだに時々、どちらがどちらだったか迷ってしまいます。人から右に曲がってと指示されても、頭の中で一旦ピッチング動作をしてみないと方向がわかりません(僕の場合、何故かお箸を持つではなくボールを投げる方で覚えています)。
さて虫歯といえば子ども。子どもといえば左右がわからないことがある。これらをつなげて、この問題ができました。

133問目「人事に物申す」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/18197
問題文では二つのトリックが使われています。二つのトリックは実はとてもよく似た構造をしています。
ひとつ目は、「何かを見たことが大事と思わせ、実は別の何かを見なかったことが大事」というもので、もうひとつは、「あることに向いていないと思わせ、実は別のことに向いている」というもの。似てるでしょう?
出題時に意識したわけではありませんが、類似のトリックで畳み掛ける、整ったつくりになっています。

134問目「恋に朽ちなむ」
http://sui-hei.net/mondai/show/18216
合理的でない題材を合理的な文脈で扱う。そのためには、迷信を信じている人物を登場させ、その人物に、迷信を前提とした合理的推理を行わせるのがコツです。迷信以外におかしな論理を入れてはいけません。また、迷信そのものも、一般に広く知られ、信じている人がいたとしてもおかしくないものを選ぶのがいいです。
この問題、なかなか自信あったんですが、オリオンさんに撃墜されました。そのキーワードはどこから出てきたのか……。

135問目「鬼ヶ島への道険し」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/18219
自分の息子の実話だと思うでしょ? 実話をもとにしていることは当たりでも、息子じゃなくて妻。
夜、寝転びながら話していると、だいたい先に妻が寝入りました。話の途中でも構わずに。それで、一度話したことを何度も話さないといけなくなったというわけです。

136問目「【下手すりゃ色恋沙汰】」
http://sui-hei.net/mondai/show/18249
のりっこ。さんの「【下手刷りゃ警察沙汰】」http://sui-hei.net/mondai/show/18241のオマージュです。のりっこ。さんの問題のネタ自体、僕がいつかだそうと思っていたネタと丸かぶりでした。それで悔しくなって、他のストック問題とひもづけてオマージュの体裁にまとめたというわけです。
ネタに合わせて、もとの問題文から少し改変しています。

137問目「起死回生」
http://sui-hei.net/mondai/show/18327
言葉遊びのワンアイディア問題ですね。全く同じ言い回しで、これほどまでに異なる意味を伝えられるというのは面白いです。

138問目「釣りはいらない」
http://sui-hei.net/mondai/show/18367
こちらも言葉遊びのワンアイディア問題です。キーフレーズとなるセリフと、樋口の目の前にあるものの二つが隠されているため、少し問題文が抽象的になってしまっています。
解説で最後まで夏目の誤解が解けず、差し出された千円札を報酬だと思ってしまうところが気に入っています。

139問目「恋するマルゲリータ」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/18459
この問題はなかなか面白い作りをしています。
キーワードは「ピザ」と「流れ星」ですが、それぞれ、
ピザ→マルゲリータ
流れ星→飛行機ではないもの
と言い換えています。
「ピザ→マルゲリータ」は具体化する変換で、「流れ星→飛行機ではないもの」は抽象化する変換となっています。
キーワードを問題文で扱うための変換の仕方は、大きく分けて具体化か抽象化のどちらかに当てはまると思っています。「車が移動した」を「(車の中にある)荷物が移動した」と言い換えるような、全体の中の部分の取り出しについては、広い意味での具体化と定義することにします。
この問題は、二つのワードについて違ったタイプの変換が施されているので、探っていく楽しみを存分に味わえたのではないかなと思っています。

140問目「色彩が状況判断に及ぼす影響について」
http://sui-hei.net/mondai/show/18519
3000歳さんの別解は想定外でした。確かにこれも、問題文の求める条件をすべてクリアしています。この答えが同じ文字数で表されることに気付けなかったのは失策でした。
綺麗な論理パズルができたと思ったのですが、色関連の問いかけで、答えも色関連というのも芸がなかったかもしれません。

141問目「愛さえあれば」
http://sui-hei.net/mondai/show/18603
叙述トリックものにしようと思って作ったわけではありません。
空っぽの弁当箱をもらって喜ぶというちょっとした矛盾を核として、そこに肉付けしていった結果、できたのがこの問題です。
男女の入れ換えは、瞬殺を防ぐためのベールくらいの気持ちでした。
予想外の高評価に驚いています。

142問目「ハサミの使い方」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/18623
「明らかに女のものとわかる長い髪の毛」という言い回しに仕掛けられたトリックがなかなか強引かつ巧妙ですね。確かに嘘は言っていません。一番肝心なことを隠しているだけで。
この問題は男性にはもしかしたら想像しにくい真相なのかもしれません。妻が小さなはさみを持ち歩いていて、たまに出先で髪の毛をちょきんとやるのを見ていたので、思い付きました。
しかしいつも思うことですが、女性って大変ですね。

143問目「傘人間にご用心」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/18665
オフィスから出る時、だいたいまずトイレに行きます。
それは用を足すためではなくて、唯一外に面した窓から外を見るためです。
ビルの中にいると、外の音はほとんど聞こえないので、どんな天気なのか判断できません。そこで窓から外を眺めるのです。
土砂降りや快晴なら見ればわかります。
難しいのは空がぐずついているとき。小ぶりの雨粒は見えないから、道行く人が傘を差しているかどうかで判断しています。
この問題では、そういった判断が必要な場合に依っている基準について問ってみました。

144問目「悲しみと喜び」
http://sui-hei.net/mondai/show/18745
実話をベースにしています。細部はいじってありますが、僕自身の話です。
母親からこの話を聞かされたとき、まあそういうこともあるだろ、と、そこまで気にはしませんでした。
でも、あるとき、昔から母が僕ら兄弟に言い聞かせてきたある言葉の奥底に、実は母の悲しみが横たわっているのかもしれないと気付きました。
それに少し感動してしまっている自分も発見しました。お母さんを大事にしようとそのとき強く思ったものです。

145問目「尿意と恋心」
http://sui-hei.net/mondai/show/18808
こういう、ドラマとかでお馴染みのベタなシーンは使っておきたいんです。ベタなシーンを核にすると、問題がきれいにまとまってくれる気がします。
男がトイレに行きたくなるという要素はわりとすぐに決まったのですが、どう繋げるかがなかなか思い付かない。尿に関するマインドマップを展開し、そこに出てきたコーヒーがこの場面にうまく溶け込ませられるかもしれないと思いました。
尿に関するマインドマップは誰にも見られないように丸めて捨てました。

146問目「青春カプリッチョ」
http://sui-hei.net/mondai/show/18812
96問目「サクラトレードオフ」のセルフリスペクト問題です。
日常の些細な出来事が連鎖し、まったく関係ないように思える事象を引き起こします。舞台も「サクラトレードオフ」と同様、学校を選択し、タイトルも日本語+外来語と似た雰囲気を出しています。
「サクラトレードオフ」に見られたような、原因と結果の綺麗な対比は実現できませんでしたが、原因も結果も奇抜な事象で、チャームのもうひとつの方向性「無関係」を強調できたかなと思います。
解説の書き方は少し工夫しました。事象1と2を両方読んで初めて意味が通る、「冷静と情熱のあいだ」みたいな作り。言いすぎ?

147問目「【ラテクエ56】父の愛した」
http://sui-hei.net/mondai/show/18898
ラテクエ初挑戦でした。
漠然と、はじめから問題文が指定されているのは僕の作り方に合わないと思い敬遠していたのですが、今回は問題文を見ていて閃いてしまって、出題せずにはいられなくなりました。
タイトルは「父と息子」にしようか悩みましたが、それだと露骨すぎてバレバレかなと思いこのタイトルに落ち着いています。しかし進行を見る限り、真相を匂わすくらいのタイトルがちょうどよかったのかもしれません。
ラテクエ、食わず嫌いせず、今後も何か思いついたら参加しようと思います。あくまで思いついたらです。

148問目「さよならニット」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/18944
うがいのときに上を向くことでなにかが起きるような問題を作ろうと考えました。素直に考えれば、上になにかがあるのを発見するというものですが、うがいするのに自然な場所で、上を向いて気づくことというのがなかなか思い付かず断念。
そこで上を向いたら帽子が落ちるという方向で再検討。
しかし見返すと、原因と結果が離れすぎていていまいち納得できない問題になってしまった気がします。

149問目「絶望検定」
http://sui-hei.net/mondai/show/19056
本来絶望すべきところで安堵するというわかりやすい矛盾がチャームです。
解説も特に捻ったところのない素直な真相となっています。
なかなかきれいにまとまった、地味だけどお気に入りの一作です。

150問目「RT945」
http://sui-hei.net/mondai/show/19105
からてちょっぷさんにもご指摘いただきましたが、僕の問題の傾向からすれば、かなり異色作かと思います。非現実はあまり得意ではないのですが、いきなり高性能SPロボットなんていう非現実な存在が登場しています。
実は、僕の問題の中で唯一のタイトル先行問題です。なんとなく頭に浮かんできた「RT945」という文字列。これをタイトルにした問題が作れたら素敵だなと思い、問題作成に取り掛かりました。
作風は、アザゼルさんをリスペクトさせていただきました。問題文に存在する地味ながらも明確な矛盾、非現実設定を活かし、強引に見えて実は一本筋の通った真相。アザゼルさんの真似だけは、今までなかなかできずにいました。
強いロボットで身辺警護を強化したからこそ狙われるという矛盾の演出と、それをひとつの論理で説明する解説が書けたと思っています。

151問目「エニグマ」
http://sui-hei.net/mondai/show/19195
日本語に関するこの気付きは、地味ながらなかなか面白いネタになるのではないかと思いました。ただやはり事象が些細なことすぎて、そこからなかなか別の出来事に繋げられない。苦肉の策で、何かに繋げるのでなく、この気付きをみんなにも体験してもらう意味で、ネタそのままの形で出すことにしました。
解説の文字列は、数人からご指摘のあったとおり、ふたつの和歌を混ぜこぜにしたものです。

152問目「日本人の英語能力に関する実験についての考察」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/19318
「いいえ」と「EF」が似ているというのが最初の気付きでした。これをもとに、質問への回答の仕方を工夫したテクニカルな扉問題とか作れないかなと模索していたところ、「NO」もアルファベットで連続していることに気付きました。
これらを活用するにはこのように淡々と実験結果を報告する形式の問題文が一番合うと思いました。

153問目「百薬の長」
http://sui-hei.net/mondai/show/19456
酔っ払いのあるあるから発想しました。
呑んべえがよくやってしまう行動から、どんな問題を作れるか。
自分で実際にその行為をしてみて、そこから何が起こりうるかを精一杯想像して作ってみました。

154問目「今夜はどこから掛けてるの」
http://sui-hei.net/mondai/show/19528
タイトルは中島みゆきの名曲「アザミ嬢のララバイ」の一節から取りました。
僕が時々出題する、オフィスあるあるの問題です。
当問題は、ネタをどう調理しようかけっこう悩みました。試行錯誤しているときに出てきた問題文案は、こんな感じ。
「前田は近松が首を傾げているのを見て、今は話しかけない方がいいなと思った。何故?」
「近松はパソコンが使えなくて困っていたが、首を傾げてみたところ、使えるようになった。どういうことだろう?」
などなど。
結局は、あまり凝りすぎずに、シンプルに事象だけを問う問題に仕上げてみました。

155問目「ハートブレイク」
http://sui-hei.net/mondai/show/19532
トランプを使ったオリジナルゲームを題材にした問題。トリックがうまく噛み合っていて、実はかなりのお気に入りです。
このシナリオを漫画にしたら、カイジばりの緊迫感ある頭脳戦を描けるのではないかと思っています。
ただ、ラテシンでは、「提出された言葉がストレートな意味であるはずがない」という定石があるので、仕掛けがバレバレでしたね。

156問目「自慢話」
http://sui-hei.net/mondai/show/19587
核となる言葉遊びを思いついたら、自然と物語は出来上がっていました。ただ、それをどのように問いかけるかはかなり悩みました。
やはり言葉遊び部分を当ててほしいから、答えは一単語になるよう調整して20の扉で出したい。でもキーとなる単語がいくつもあるので、どれかを明かしてどれかを隠すというバランスの取り方が難しい。それならいっそ、全部ちょっとずつ明かしちゃえ、ということで出来上がったのがこの穴埋め問題のような形式でした。
少しずつベールが剥がされ、最後の瞬間にわっと謎が解ける、気持ちのいいパズルになることを期待したのですが、どういうわけかほほさんに異次元スナイプを決められてしまいました。
それでも綺麗にまとまった良問だと思っています。

157問目「《ロンリの罠・第一講》牛乳ラビリンス」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/19899
皆様を騙しました。ごめんなさい。
「第一講」などと銘打っておいて、第二講以降を出題するつもりはまったくありません。
もともとは、「牛乳を飲むこと」と「お腹が痛くなること」とを、「筋トレ」を媒介にして、迂遠な形で結ぶことができるという面白い論理構造を発見した、というのが発端でした。
ただ、例えば上記を「サクラトレードオフ」の方法(101問目解説参照)で問題にしようとすると、「牛乳を飲む」→「お腹が痛くなる」という何の不思議もないつまらない問題文になってしまいます。
そこで思いついたのが、「登場人物に出題させ、当たり前の結論を登場人物による質問で予め封じてしまう」というものでした。
それを自然に見せられるよう肉付けをしていったら、いつの間にかこんな問題になりました。
シリーズ化するつもりはなかったとはいえ、まぴばゆさんにオマージュしていただいたのは嬉しかったです。こちらも素晴らしい作品なので、是非ご覧ください。
「《ロンリの罠・番外編》猛毒クライシス」http://sui-hei.net/mondai/show/20254

158問目「グラタン日和」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/20021
思いついてから出題にいたるまで、結構時間が掛かりました。というのも、僕は理系科目に疎く、停電の原因やブレーカー落ちのメカニズムに関して正確な知識を持っていなかったためです。
おそらく納得感を出す上で重要なのは、正しい知識よりも、「みんなが正しいと思っている知識」の方だと思います。仮に誤った知識をもとに問題を作ったとしても、みんなが「あるある」と思うのなら高評価を受けるのです。
ただ、僕はできる限り、知識の裏づけをしっかり持った状態で出題したいと思っています。「自分がよくわかっていない、あるいはわかったつもりになっていることを問題にするな」というのがひとつの信条としてあります。もしこれができていない問題があればご指摘ください。
なお、当問題は山村カナエが登場しますが、タイトルは「見栄っ張りラヴァーズ」の系譜を踏襲していません。「推理過程を探れ」という形式だったためカナエを登場させましたが、恋愛関連とまではいえない内容だったためです。ただ、結果的にこれが166問目「意地っ張りラヴァーズ」への伏線になったので、後付けでシリーズに加えました。幕間劇とでも思っていただければ幸いです。

159問目「アカズキン」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/20049
前問「グラタン日和」からの電気つながりで発想しました。
初期の段階では、舞台を脱出ゲーム会場とし、散々色々な罠を潜り抜けてきた主人公が、最後の最後で出口へのドアを開けるのを躊躇したのはなぜか、のような形を想定していました。脱出ゲームの内容に、静電気が溜まりそうなものを仕込んでおくのです。これも面白いかなと思ったのですが、ちょっと冗長になりそうで断念しました。
「ドアを開ける」関連で代わりに思いついたのが赤ずきんという題材。考えれば考えるほどうってつけの題材に思えてきて、そこからは一気に仕上げてしまいました。
問題の進行を見返してみると、参加者ラインナップが凄まじいですね。オリオンさん、toshさん、みんさん、えぜりんさん、さしゃさん、春雨さん、letitiaさん、と、質問力ランキングを作ったら全員がトップ10に入るであろうスナイパー軍団。いじめですか。
そのおかげもあってか、最終的には8人が同時FAという事態に。ただ、この現象、僕は問題がうまくいったことの証だと思っています。ギリギリまで誰も気付かないけれど、あるキーワードが出た途端に、全員が気付く。トリックと納得感のバランスがいい証拠です。
そんなわけで、進行も含めてとても好きな問題です。
ちなみにタイトルは春雨さんご指摘の通り、「赤ずきん」と「開かず」とを掛けています。

160問目「禁断の数式」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/20238
核は映写機の前に立つと身体で遮られて映像が見えなくなるというあるあるでした。
はじめは、立ち上がったせいで映画が見えなくなった、というようなシーンを考えました。しかしどうしても、作中作を使ったちょっとアンフェアなつくりの問題になってしまいます。
そこで視点を少し変えて、画面ではなく遮った身体の方に映る映像に注目してみることにしました。

161問目「アンドロギュノスの微笑み」
http://sui-hei.net/mondai/show/20252
タイトルと問題の内容のギャップは凄まじいと思います。
捻りをあまり加えない、たまにはストレートでシンプルな問題を、と思い出題しました。
案の定瞬殺でしたね。
問題文では、当時にわかに流行りだしていた「やさしいね」という言葉を意識しました。

162問目「たったひとつのマシなやり方」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/20454
牛削りっぽい問題って、実はないんじゃないかと思っています。よく言えばオールマイティ、悪く言えば無個性。とはいえ、そんな僕でも、ずっと貫き続けているこだわりがいくつかあります。「無意味に人を殺さない」というのがそのうちの一つです。
人が死ぬ、というのは大きな出来事です。それによって悲しむ人が必ずいます。自殺や他殺であれば、その結果に至るには相当の動機があるはずです。だとすれば、そういった背後に存在する様々なドラマを無視して、ただ一言「彼は死んだ」だけで終わらせたらなんだか忍びないと思ってしまいます。
だから僕は、人が死ぬ場合には必ず、その死に関わる人の気持ちをしっかりと描くことにしています。それができないのなら、良いネタだと思えても出題しません。
当問題は、ネタ自体は結構前からできていました。ただ、ずっと出題を躊躇っていました。何故かというと、当問題では気合を入れて書き込まなければ、息子の死が単なる道具になってしまう恐れがあったからです。
試行錯誤を繰り返し、解説には事件前後の様子まで盛り込んで、なんとか納得いく形までもっていくことができました。2015年内の出題を目指して必死で書き上げました。
タイトルはお察しの通り、ジェイムズ・ティプトリー・Jrの短篇SF「たったひとつの冴えたやりかた」のオマージュです。正直なところ、このSFも「たったひとつのマシなやりかた」くらいのタイトルがちょうど良かったのでは、と思っています。

163問目「女心とポップコーン」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/20682
これは映画館に行ったときに感じた素朴な疑問からスタートした問題です。
年齢については身分証明書の提示が要求されるのが普通なのに、性別については見た目オンリーです。でも、本当にそれで100%判断できているのでしょうか? 男性だとしか思えない見た目の人のなかに、本当に女性はいなかったと、誰が断言できるのでしょう。
この問題ではそういう場合を取り上げています。

164問目「ゴルゴンゾーラ・アニバーサリー」
http://sui-hei.net/mondai/show/20692
悲しい夫あるあるですね。だいたいの家庭において、男はこういう役回りなんです。悲しいことに。
家族は命よりも大切ですからね。

165問目「僕は誰?」
http://sui-hei.net/mondai/show/20695
完全な一発ネタです。
物当て問題の中に、当てられる物の一人称で問題文が語られている形式が少なからず存在していることを、常々疑問に思っていました。答えがハサミだとして、何故ハサミが自我を持つような設定をしなければならないんだろう、と。別に「私は何かを切るのに使われます」と不自然な表記をせずとも、「それは何かを切るのに使われます」という自然な表記のみで問題は成り立つのです。
当問題はそういった形式へのアンチテーゼの意味合いも含まれています。問題文には一切不自然な言い回しがない、というのがおわかりいただけるかと思います。

166問目「意地っ張りラヴァーズ」
http://sui-hei.net/mondai/show/20932
「見栄っ張りラヴァーズ」シリーズの(一応の)完結篇となります。
158問目「グラタン日和」http://sui-hei.net/mondai/show/20021と絡めた作りにすることができました。毎度のことながら、前作を伏線とするつもりは全くなく、このシリーズで出題するのが最適なネタだと思ったネタに後付けでストーリーを付けたところ、偶然うまくいった、という感じです。
トリックもわりと好きですが、見栄っ張りと意地っ張りのカップルに相応しい、ちょっと歯がゆい結末を描けたのではないかと思っています。
「一応」と書いたことからもおわかりだと思いますが、もしまた何かネタを思いついたら、続編を書く可能性はあります。当シリーズのファンの方(いるのか?)、ご期待ください。

167問目「【正解はどっち?】 ※啓蟄文庫『脳内ヨーガ問題集』より引用」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/21103
久々の純粋な言葉遊び問題。パズルとしては自作の中でかなり上位にくる自信作です。
まず、「H」をあみだくじに見立てるというネタが浮かんだのです。これだけではお話になりませんでした。
しばらく放置していたら、頭の中で醸成されて、「句点をつければ当たりまで表現できるのでは?」というアイディアも出てきました。ここにきて、出題できるかも、という予感を
得ました。
この時点での仮問題文がこちら。
「意見が割れている二人に対し、紙にあるものを描いて見せると、Aは『左』、Bは『えっち』と言った。紙にはどういうものが描かれていたのだろう?」
このままでもいけそうではありましたが、ぐっとこらえて寝かせてみました。するとさらにもうひとつ、「横書きを縦書きに直させるというギミックを入れてみる」というアイディアが降ってきました。151問目「エニグマ」と似ていますが、こちらは縦書きであることを見抜いた後、さらにもう一手間あります。こうして出来上がったのが、あの奇抜な問題文です。
アイディアを問題化するにあたり、勢いも大事ですが、寝かせることも大事なんだなと改めて思いました。

168問目「感謝の尻」
http://sui-hei.net/mondai/show/21374
ちょっとした経緯から、「死の尻」というタイトルで何か出題することをletitiaさんと約束してしまい、尻関連で発想を広げていたところ、できてしまった作品です。
当問題、無理やり「死の尻」にこじつけることもできなくはありませんでしたが、お題のためにネタを台無しにするのは僕が一番嫌いなことなので、制限をつけずにネタを自由に遊ばせて作ってみました。
女子高生の尻を見て大声で感謝を告げる主人公。「世界田中奇行」のようなつくりの亮門に仕上がったかなと思っています。

169問目「しあわせの手前」
http://sui-hei.net/mondai/show/21553
お話の初期では主人公クラスもばんばん死ぬのに、後半になってくると各キャラに人気が出てきて迂闊に殺せなくなる、という漫画は多々あります。そういう風に方向転換した漫画の場合、連載開始時に特に目指すべき方向があったわけではなく、時宜に応じて展開を考えているのでしょう。ただ、世の漫画にはそうでないものもあるでしょう。終わり方はこれでなければダメだ、という漫画が。
では例えば僕がそのような漫画を描くのだとしたらどうするか。それを考えたとき、この問題のような状況が浮かんできました。解説の最後にもありますが、おそらくそういう作品を描き上げた作者は、しばらくは新作を描きたくなくなるでしょうね。
改めて読んでみると、いわゆる古典的ウミガメっぽい問題だと思いました。

170問目「チコニン」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/21866
僕はタバコを吸いません。たまに飲み会などて戯れに他人の吸い差しを吸おうとしても噎せてしまいます。
こんなのどこがいいんだとぼやくと、いや我慢して吸い続けると美味しくなるんだよと言われます。どうしてそんなに我慢強い人がデメリットしかないタバコをやめられなくなってるんだと思いましたが、まあそれは置いておき。
もしタバコの入門グッズがあったら売れるだろうかと思い付きました。ニコチンやタールに身体をならすためのガムのようなもの……。そう考えたとき、それは有名な禁煙グッズと同じものではないかと気付きました。
当問題はこのような経緯でできたのですが、禁煙グッズが実際にタバコ入門にも使えるのかどうかは調べてもわからなかったので、代わりに架空の物質「チコニン」なるものを使うことにしたのでした。

171問目「こころ」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/21959
いつか出題しなければと思っていたネタです。
タイトルや問題文では伏せてありますが、こちら、28問目から続く「うしけずりのはつこいのはなし」シリーズの第5作となります。
1~4作目および関連諸問題において、皆様から色々と温かいお言葉をいただいていたので、このような重大事項を報告しないわけにはいきませんでした。本当であればシリーズ名を堂々と出して出題したかったのですが、「その5」と記載された時点で、どんな問題の作りにしようと「出産」という核はモロバレになると重い、当問題のような形に落ち着きました。
解説では、問題とは関係のない独白が展開されています。ここまで書くのもある意味責任かなと思い、赤裸々に語った次第です。
なお、解説内にちょっと出てくる「母は自分や弟を産むとき、どんな気持ちだったのか」という部分は、144問目「悲しみと喜び」にて詳しく語らせていただいております。

172問目「その問題を解いたなら」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/22138
久々の20ブクマ超え作品です。正直、深夜の軽食のようなつもりで出題したので、ここまでご評価いただけるとは思っていませんでした。
写真撮影の際の掛け声として、「いちたすいちは?」というのは最もポピュラーかと思いますが、問いの形をなす掛け声は他にいくらでも考えられます。簡単なところで言うと、「よんたすよんは?」の答えも、「はち」となり、最後の口の形は「イー」となります。当初、1~9の中で最後がイ段とならない数字(3,5,6,9)を答えるような問題を考えていましたが、どうしても複雑になってしまいそうで断念し、「いちたすいちは?」の問いかけのみに限定することにしました。
「いちたすいちは?」を使うかどうかが人によって違うということに関しては、織田先生という具体的な人物名を出すことで問題を解消しようと考えました。問題文に書いてある織田先生はこの掛け声を使う人だったんです、他の先生に代わったら知りませんけど、というスタンスです。
ちなみにこの問題、88問目「大好きだから」http://sui-hei.net/mondai/show/14677と解説の物語が似ています。それを少し意識して、「大好きだから」の徳川先生にちなんで、当問題では織田先生を登場させました。果たして豊臣先生が登場する日はくるのでしょうか。

173問目「そっか。」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/22201
ふとあの名曲が頭に浮かんできて、そこから発想した問題です。
題材が浮かんだ瞬間に名作になる予感がしましたが、問題としてまとめるのは一苦労でした。問題文の帰結部分が「涙を流した」のような一見感情を表している文になり、チャームが落ちてしまうためです。また、主人公に下を向かせる舞台装置をどうするかも、かなり悩みました。問題を作るに当たって参考にしたのは、のりっこ。さんの「【自殺の理由は重要ではない。】」http://sui-hei.net/mondai/show/12911の論理構成でした。
最初に思いついた舞台装置は、桜の花びらでした。ひらひらと落ちてくる花びらを視線が追って、自然と下を向いてしまうという仕掛けです。ただ、一般性が低い気がするのと、下を向かないようにしていた主人公に翻意させるには必然性が低いと思われたため、断念しました。
次に思いついたのが何かを踏んでしまうということです。この場合、上を向いているから踏んでしまった、という、もうひとつの因果関係も生まれてきて、なかなか綺麗です。ただし、何かを踏んでしまって不快な気分になるのは当たり前なので、帰結が感情であることとあわせて、チャームがものすごく低くなってしまう懸念がありました。
踏んでしまうものとして、はじめ、問題文に「あるものを踏んでしまったために」などとぼかして書くことも考えました。ここについては特定不要だからです。これと同じことは、146問目「青春カプリッチョ」でも行っています。しかし、当問題の場合、ただでさえ低いチャームがさらに低くなってしまうため却下しました。
踏むものを明示するとして、では何にするか。自然なのは、「犬の糞」です。が、犬の糞を踏んで泣いてしまうというのはそれこそ不思議でもなんでもありません。下を向く理由としては完璧ですが、泣く泣く断念。そこで、主人公が思わず下を向いてしまう=犬の糞と間違えてしまうような踏み心地であり、かつ、踏んでしまったとしても泣くほどではないものを考えた結果、最終的に「ジャムパン」に落ち着いたという次第です。
振り返ってみると、僕の問題には当問題における「ジャムパン」のようなアイテムがよく出てくる気がします。「なんでもいいのだけれど、あえてそれにすることで、何か意味があるのではないかと匂わす」という手法です。106問目「温州みかんは控え目に」における「温州みかん」、139問目「恋するマルゲリータ」における「マルゲリータ」、168問目「感謝の尻」における「女子高生」などなど。
問題文の一文目、恋人に振られた云々は、当初の案では存在しませんでした。が、これを付けた方がチャームも納得感も格段に上がることに気付き、付け足しました。
我ながら素晴らしい出来になったと思います。日常系ウミガメでは最高傑作です。が、それだけに、後から考えるとタイトルがもったいない。「そっか。」は、振られたときの主人公のセリフと、当問題の真相のあっけなさに対する参加者の反応とを掛けたつもりでした。やはりもっとインパクトのある、覚えやすいタイトルにすればよかったなあと思います。例えば「ジャムパンのきもち」とか。

174問目「さあ歌いましょう」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/22455
ネタ帳には、「看板 落ちてくる」というネタの切れ端みたいなものが半年くらいずっと居座っていました。ドラマやアニメでよく見かける場面なので、色々可能性はありそうだなと思っていたのですが、なかなか問題にまとまってくれず、あわや没ネタ行きのところでした。
「ドレミの歌」と関連付けるというのは、ほんの思い付きです。何かきっかけがあったわけではなく、突然、ネタ帳の書き込みとドレミの歌が繋がりました。
ただし、元々は語り手の頭上に看板が落ちてくるという場面を想像していました。そのため、問題文は「ドはドーナツのドだと気付いたので、レミは恨めしそうに青い空を見上げた」となっていました。しかしこの場合、ドが何かに気付かなくたって、落ちてきた方角を見るのは当然なので、あまり綺麗ではありません。そこで主人公の立ち居地を、ドがドーナツのドだと気付かなければ上を見ないだろうという位置に変更しました。
出来上がってみると、低空飛行便さんにご指摘いただいたように音楽的なリズムに富む問題文となりました。
今思えば、少し無理やりではありますが、問題文はこんな風にもできますね。
「ドはドーナツのドだと気付いたので、レミは不安にかられて青い空に視線を上げた」
ドレミファソラシすべて、順番どおりに入っています。

175問目「名前を失った鳥たち」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/23171
ジャレド・ダイアモンドの「セックスはなぜ楽しいか」という本の中に、文字を持たない文化のことが紹介されており、そこから発想しました。はじめは、生き字引の老人については「とある老人」という程度の表記に留め、問いかけも、「ンゴヤギギとは何か、文中の語句を5字で抜き出して答えよ」という国語テストのような形式にするつもりでした。
モハメドが使えるなと思いついたのは、出題直前のことです。
モハメドというのは、僕が登場人物の仮名としてよく使っている名前です。問題文は登場人物目線で書かれることが多く、語り手の知らない人物について記述する際の必要性から生み出した汎用的なキャラクターです。キャラクターといっていいかどうかわかりませんが。
これまでモハメドは冗談のような使い方しかしてこなかったので、僕の問題に参加したことのある人なら騙されるぞ、とにんまりしながら出題ボタンを押しました。ところが当問題に参加していただいたのは比較的登録日数の若い方ばかりで、「内輪ネタに巻き込んでしまったぞ」と少し反省したものです。
しかし、終わってみれば新規の方からも高評価をいただけたようで、安心しました。
タイトルと解説の物語のマッチングにはかなり自信を持っている作品です。

176問目「花柄の白いワンピース」
http://sui-hei.net/mondai/show/23247
僕にしては珍しい、物語先行型の問題です。
ふと思いついたこの物語を、どうしてもウミガメのスープに仕上げてみたくなってしまいました。
普段僕は問題文に合わせ解説を整形し、整形した解説に合わせ問題文を整形し、という作業をしているのですが、当問題に関しては書きたい物語がまずあったので、解説の融通は利きづらく、なかなか苦戦しました。
問題文は叙述トリックがどこかに使われていることがバレバレなつくりではありましたが、思いのほか長持ちしたと思います。
解説は軽いタッチのミステリをイメージしました。悪くない出来になったんじゃないかなと自己評価しています。

177問目「【麻雀問題】不可和了」
http://sui-hei.net/mondai/show/23354
麻雀というのは面白い素材で、34種136枚の牌だけで成り立っているゲームなのに、それを題材にした漫画が山とあります。麻雀漫画をギャンブル漫画から独立したジャンルとみなしてもいいくらいです。ルールを知っていれば、発想の転換の宝庫です。
とはいえ全員がルールを知っているわけではないので迷っていたのですが、タイトルで「これは麻雀知識が必要ですよー」と銘打っておけば、まあ、不意打ちにはならないだろうと考え、思い切って出題しました。
結果は、まあ、失敗です。
麻雀知識がある人にとっては、この程度の発想の転換など常識の範囲内だったのかもしれませんね。反省します。
また何か面白い局面を思いついたら、リベンジするかもしれません。

178問目「儚い光」
http://sui-hei.net/mondai/show/24261
甘酸っぱい恋愛ものをたまには出題したくなったんです。妻に片想いしていた時代を思い出して、めいっぱい甘々に書いてみました。
恋する男は、何をしていても好きな人のことばかり考えてしまうものなんです。仕方ないんです。

179問目「青の機密」
http://sui-hei.net/mondai/show/24785
問題では青色にしましたが、普通の色の書類でも成立します。僕はほぼ毎日、この状況に出くわしています。
こうなってしまうと正直面倒なのですが、おかげで問題が一問できたと思えば、イライラも少しはおさまります。

180問目「大切なひと」
http://sui-hei.net/mondai/show/25833
19問目「大切なもの」http://sui-hei.net/mondai/show/12071から続くシリーズものの、一応の完結篇。リュウヤ君のその後を描けて満足です。解説が淡白なのは敢えてです。敢えて、親子のドラマを俯瞰で見ているような乾いた文体にしてみました。
さてすでにお気づきかと思いますが、石川啄木の「たはむれに母を背負いてそのあまり軽きに泣きて三歩あゆまず」という短歌のオマージュです。
この作意が成立するかどうか、嫁を何度も抱きしめて実験しました。嫁は困惑しつつも喜んでいるようでした。

181問目「大仏男」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/27227
はじめはセルフタイマー強盗のようなものを考えていました。
こんな問題です。

【問】
エディの家には、驚いた顔をした日本人旅行客の写真がたくさんある。
何故だろう?
【答え】
ちょい悪親父のエディはセルフタイマーを使って集合写真を撮ろうとしている日本人旅行客からカメラを奪い去るという手口をよくやる。シャッターボタンを押した人物がカメラから十分に離れたところを狙うので、奪い去る瞬間にシャッターが切られることが多い。すると手に入れたカメラには日本人旅行客の驚いた顔の写真が残るのである。

面白そうな問題だと思いましたが、納得感がちょっとイマイチでした。
セルフタイマー要素だけを残して究極に簡素化したものが当問題です。
このようなタイプの問題はもう少し増えてもいいんじゃないかなと思います。

182問目「《ロンリの罠・第二講》絡繰ロンリネス」
http://sui-hei.net/mondai/show/28016
157問目「《ロンリの罠・第一講》牛乳ラビリンス」http://sui-hei.net/mondai/show/19899から続くロンリの罠シリーズの一作です。第二講を出すつもりはないと前述しましたが、出しちゃいました。
ロンリの罠を出そうと思ったわけではなく、このネタを一番よく活かすのがこの形式だったというわけです。
「心の哲学」という分野は、学生時代からとても興味を持っていて、素人向けの本はけっこう読み漁りました。
心とは何か。難しいテーマですね。紀元前から今に至るまで、その時代のトップクラスの脳みそが考え続けてなお、いまだに解決していません。解決は本質的に不可能なのでしょう。その辺りの歯がゆさを、そのまま問題にしてみました。
参加者に考えさせる深めの味わいになったのではないかと思います。

183問目「千里眼」
http://sui-hei.net/mondai/show/29171
恋愛の始まりにありがちなあのシーン。いつか絶対使いたいと思っていました。
しかしこの問題、今見てみると少しアンフェアですね。主人公は相手の手に触れただけでなく、周囲の状況や事前知識なども動員してこの推理にいたっているわけです。
やはりホームズのようにはいきません。

184問目「はたらけどはたらけど猶」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/29626
問題文の変遷をご覧ください。
案①「カオルはお腹が空くといつも父親の手の甲を見る。何故だろう?」
→カニバリっぽくていいなと思ったのですが、よく考えると「いつも」がアンフェアでした。空腹の子に対しいないいないばあという不釣合いな対応をする不自然さをフェアにするために、母親よりは育児の機会の少ない父親を行為者に選んだのに、この問題文では子どもが腹を空かせた時にいつもそばにいるということになってしまい、本末転倒です。

案②「カオルは夜中に目覚めるといつも父親の手の甲を見る。何故だろう?」
→日中働いている父親でも、夜は同じ屋根の下で寝ているというのが自然です。だから子どもが泣く理由を空腹ではなく夜泣きとしてしまえば、「いつも」がアンフェアではなくなるのでは、と考えたわけです。しかし子どもが夜泣きした際、母親はほぼ確実に目覚めますが、父親は目覚めないパターンが多いそうです。するとやはり「いつも」は一般的といえないように感じました。

案③「タクヤは近頃よく、夜中に目を覚ましてしまうことがあるのだが、その度に自分の掌を見つめている。何故だろう?」
→視点を父親側に持ってくることで、「子どもの夜泣きで父親が目を覚ました場合はいつも」という状況を作ることができ、いつも父親が目を覚ますわけではないという常識に合致させることができました。しかしここで、夜泣きの子に対していないいないばあをするというのが一般的かという疑問が生じました。少なくとも僕はしません。夜泣きの子は興奮させないように寝かせてあげるのが一番です。子育てサイトを調べても、ビニールの音を聞かせてあげる、部屋を暗くしてあげる、ドライブに連れて行ってあげる、などは載っていましたが、いないいないばあをするという対策はあまり見つかりませんでした。

案④「タクヤは我が子がお腹を空かせていると、いつも自分の掌を見る。何故だろう?」
→父親に視点を移したことで、空腹パターンの弱点も解消されました。そこで再度検討してみると、偶然ではありますが石川啄木オマージュっぽい雰囲気になってきました。しかしこのままでは不完全。この問題文のままでは、我が子が空腹の際、タクヤは離れた場所にいてもいないいないばあをすることになってしまいます。

案⑤「タクヤは我が子がお腹を空かせているのを見ると、いつも自分の掌を見つめる。何故だろう?」
→「見ると」という条件を入れることで、「いつも」のアンフェアさは解消。しかしこの文章だと、我が子の様子を見たタクヤは、我が子が空腹であることを察知していることになってしまいます。空腹であることを察知しているのに、いないいないばあをするというのは不自然です。あくまでタクヤは、我が子が何故泣いているのかわからないという設定でなければなりません。また、「見る」が連続するのを嫌って後方を「見つめる」にしましたが、いないいないばあをする時、自分の目の前に両の掌がある状態を「見つめる」と表現するのは不自然だと思いました。

最終案「タクヤはお腹を空かせた我が子を見ると、いつも自分の掌を見る。いったい何故だろう?」
→「お腹を空かせた我が子を見る」ならば、タクヤが我が子の空腹を知らないとしても、アンフェアではありません。これが一人称であればアンフェアですが。また最後の「見る」に関して、「掌に目を移す」なんていうのも考えましたが、これは目の方を移動させるイメージで、実際の行動とは合いません。やはり「見る」は「見る」です。多少文章のリズムは犠牲にしても、フェアさは絶対に確保しなければなりません。こうして出来上がったのが、実際に出題された問題文でした。

185問目「ステキ」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/29728
この問題はだいぶしくじりました。
もともとは、「壁ドン」と「くしゃみをするとき口を押さえない人は迷惑」という2つのあるあるを融合させて何か作れないかと考えていました。しかし状況を構築していくうちにいつの間にかトリックに考えがシフトし、「は」の読みを「WA」だと思わせ実際には「HA」とするというような仕掛けを入れ込むことが条件となっていました。
考える段階で上記のように右往左往していたので、一貫性のある問題になるわけもなく、無残にスナイプされて終わってしまいました。スナイプされるのは悪いことではないけれど、「騙そうと思っていた叙述部分がまるで騙しになっていなかった」場合は、反省すべきスナイプだと思います。

186問目「燃焼理論」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/30307
「使って」という言い回しが二通りの意味で捉えられるな、という気付きが発端でした。
これを核にすえて問題を作るには、何かアイテムを選択し、そのアイテムの「本来の使用法とは異なる無機質な使い方」と、「その無機質な使い方を阻害することで起こること」を考えなければなりません。なかなか抽象的な条件で、具体化にはかなり骨を折りました。
可燃物の上に重石としてアイテムを載せておく、という状況はそれでもわりと初期に出てはいました。ただ、可燃物とアイテムの自然な選び方がなかなか難しい。アイテムの方には、本来の使い方をすることを「使う」と表現しても不自然ではないもの、という条件もあります。例えばペットボトルではこの条件を満たしません。
トリックと納得感のシーソーゲームのような状態でひとしきり悩んだ挙句、懐中電灯という答えに行き着いたというわけです。

187問目「蛮勇親知らず」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/30981
まず核となるネタが浮かびました。久々に手応えのあるネタだと感じました。
「頬が何らかの理由で麻痺しているときに信じられない状況に出会えば、その状況を夢だと思ってしまう」というネタです。
はじめは、問題文の一行目を「とうてい現実とは思えない事件が起きた。」から始めるつもりでいました。しかしいくらなんでも露骨過ぎるし、「現実ではないと思い込んで大胆になりましたか?」という質問を正解にせざるを得なかったので却下しました。
“夢かどうか確かめたくなる状況”と、”夢だと思った場合にとる行動”とがうまく問題として噛み合うような設定を検討しました。好きな人から告白を受ける、なんていう場面も候補にありましたが、その場合問題文は「カズヤは好きな女の子から愛の告白を受けたが、親知らずを抜いた後だったのでがっかりした。」という感じになってしまい、微妙にチャームが弱いかなと思いました。
やはり”夢だと思った場合にとる行動”は、蛮勇を奮う方面にした方が面白いと思いました。そこで色々な窮地を比較し、想像しやすいステレオタイプな危機的状況を採用するに至ったというわけです。

188問目「ショート・トリップ」
http://sui-hei.net/mondai/show/31502
最近はインバウンドとやらでこういうことが増えてきましたね。英語のできない身としては辛いものです。
おもてなししたいという気持ちはあるものの、その気持ちを叶えるだけの能力がない。
それでもこの主人公のような行動がとれれば気持ちいいでしょう。実際にはいろいろな制約があってここまではできないことが多いですが。

189問目「最後のパントマイム」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/33212
自分を犠牲にして助けた相手に気を使わせないための工夫、というテーマで色々考えました。はじめはひとつしかない傘を貸して、「俺のうちここだから大丈夫」と言って他人の家に入っていく、というようなシーンを考えました。ちょっと強引だし、うまいこと問題文を切り出せなかったので断念。
カルネアデスの板というワードも別の機会にネタ帳に書き込んだまま寝かせていたのですが、それがテーマに合致し、この問題ができました。
解説の最後では、少し強引にハッピーエンドにしています。物語のきれいさのためだけに登場人物を死なせるのは嫌いだからです。

190問目「デメキン」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/33348
飲み物を水槽にいれたら金魚が浮いてきたので毒が入っていたことが判明する、という展開はサスペンスドラマなどでお馴染みですね。これに出任せの都市伝説をくっつけて問題にしてみました。
出題直前になって、実は金魚は死んですぐに浮いてくるわけではないということが判明しました。ドラマは演出で、あの描写は正確ではないということです。
とはいえ、多くの人にとって毒で金魚が浮いてくるというのはあるあるだと思います。このまま出題したとしても納得感は問題ないでしょう。でも、事実と異なることを基にするのは信条に反します。
そこで出題予告を繰り下げて、解説を事実と食い違わないように手直ししてから出題しました。

191問目「美少女」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/35003
失敗しました。やはりこの手のネタはかなりデリケートに扱わなければなりませんね。
双子の一方が怪我をしたので見分けがつくようになる、というネタがはじめにありました。検討ポイントは、「怪我をどう表現するか」「見分けがつくようになった結果どうなるか」という二点でした。前者は単純に「怪我をした」でもいいけれど、どうせならちょっとひねりたい。後者は「見分けがつくようになった」では明らかにダメ。双子であることは隠さなければならないのです。
初期の問題文はこんな感じでした。
「一郎は花子に用があるときいつも苗字で呼ぶのだが、同学年の桂子が左腕を骨折してからは、花子を名前で呼ぶようになった。何故だろう?」
見分けのつかない双子に声を掛けるとき、とりあえず苗字で呼ぶんじゃないか、と想像したのです。しかし考えてみると、この問題文が成立する状況はなかなか思い浮かびません。一郎は花子だか桂子だかわからない人に声を掛けて、どうするつもりなのでしょうか。苗字で呼びかけるということは、それが花子でも桂子でもどちらでもいいということになります。先生が廊下で生徒を見つけて注意する、というような場面しか思いつきません。問題文によればそれは頻繁に起こらなければなりませんが、不自然でしょう。
呼び方が変わるというのは諦めて、グーグルで「双子 見分け」などで検索して、身近に双子がいる人たちがふたりを見分けられなくて困ることや、その対処法などについて調べてみました。「こっそり視線を落として靴に書いてある名前を確認する」というのがありました。これは使えそうです。靴だとあるある感が薄いので、名札に変更しました。
「学年一、二を争う美少女」という表現は工夫したところなのですが、toshさんにあっという間に看破されてしまいましたね。無念です。

192問目「落第シューター」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/35118
最初は「前の人の背が高いせいで起きる不都合」を問題にできないか、というくらいの思い付きでした。不都合の例として、「黒板が見えない」「手を挙げても先生に気付いてもらえない」など。
はじめに後者を検討しました。背の高い生徒の後ろに、優等生が座っている状況です。優等生は授業中に「これわかる人?」と言われればすぐに手を挙げますが、前の人に遮られて先生に気付いてもらえません。これを問題にするなら、
「成瀬は藤堂君が風邪を引いたので数学の才能を皆に示すことができた。なぜ?」
というような内容になります。しかしこれでは別解がいくらでもありそうです。それに、授業中に当てられること以外にも、数学の才能を発揮する場面はいくらでもあり、優等生はそれを隠そうとしても隠し切れないものです。
やはり黒板が見えないという方向で考えることにしました。前の人が黒板を写そうと身をかがめたときだけ黒板が見える、というアイディアは、この時点でありました。実体験です。はじめの問題文はこんな感じでした。
「成瀬はクラスの誰に負けたとしても、バスケ部エースの藤堂君にだけは負けるわけにはいかない。筆記スピードで。いったい何故?」
シンプルでいい感じですが、「筆記スピード」なんて言葉が裸で出てきてしまっているのがあまり綺麗じゃない気がしました。これだと場合によっては瞬殺もありえます。
そこでベースとなる「前の人が黒板を写すときだけ自分にも黒板が見える」という案に、「前の人が黒板を写そうとしない」というハプニングを付け加えてみることにしました。すると膠着していた考えが一気に先に進みました。
藤堂君への質問の内容としてどのようなものがいいかは悩みました。少年たちが授業中に手紙でやりとりする内容として不自然ではなく、かつ回答を筆記で行うのが自然な質問。「好きな映画ベストテンを教えて」とかも考えましたが、ヒントも兼ねた「バスケのシュートのコツ」でいくことにしました。考えてみれば、部活に打ち込んでいる生徒に対する質問で、一番熱心に答えてくれるのはやはりその部活に関することでしょう。

193問目「正しくない時刻」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/35205
電池の残量をリモコンを使って確認するというネタが浮かんだとき、なんとなく既視感がありました。記憶を探ってみると、案の定、前に他の人の作品で感心したネタそのものでした(ホルスさんの「テレビ離れ」http://sui-hei.net/mondai/show/26437)。
とはいえ何か新しい驚きを付け加えることができれば通用しそうな感じもしており、頭の中にしばらくとっておきました。
リモコンとは別の機器を登場させたらどうだろう、という案が浮かびました。リモコンと別の機器との関連性の不思議さをうまく表現できないだろうか、と。ふわっとしたアイディアでしたが、別の機器としては時計がいいんじゃないかなとはこの時点で予感していました。というのも、これは後から分析したことですが、別の機器の条件は、(1)電池を使用すること、(2)常に動いていること、の2点が必要で、これを満たすのは時計くらいしかなさそうだからです。(2)の条件は、例えば懐中電灯を取り上げた場合、これは日常生活の中で滅多に使わない機器なので、点かなかったからといって、電池の消耗ではなく故障を疑うのは少し無理があるという事情があるためです。
さて時計とリモコンを使うことは決まりました。これらをどう関連付けるか。はじめの案はこんな感じでした。
「時計の針の音が聞こえないことをいぶかしんだ高橋は、テレビのボリュームを下げた」
音という観点でうまく繋がっているように見え、気に入りました。しかしここからなかなか問いのかたちに持っていけない。時計の音が聞こえなかったのでテレビのボリュームを下げたとあれば、「時計の音がテレビでかき消されているかもしれないからボリュームを下げて確認した」と思うのが普通です。そしてボリュームを下げても聞こえないのであれば、いよいよ時計が止まっていることは真実ということになります。チャーミングな問題にするためには、普通とは逆の「時計が故障しているわけではないと思った」でしめなくてはなりません。しかし電池残量を確認する意味でのボリューム下げでも、ボリュームが下がったのであれば時計の故障を裏付けることになってしまいます。
「時計の針の音が聞こえないことをいぶかしんだ高橋は、テレビの電源ボタンを押してみたが、テレビからも音は聞こえない。そのため彼は時計が壊れていないと思った」
というような方向性も考えました。しかし言い回しがまだるっこしいのと、「時計が壊れていたのではなく、高橋の耳が聞こえなくなっていた」という別解を排除できません。
音関連でまとめるのには限界があり、「チャンネルを切り替える」という動作の可能性を探ることにしました。「電源を入れる」にしなかったのは、チャンネルの切り替えに比べて、リモコンの操作が画面に反映されるタイミングが遅いからです。画面を見て判断した、という流れにしたかったので。さてそこで、テレビの時報スーパーというやつの存在を思い出しました。これは時計との関連で使えそうだ。そして切り替え先の番組を天気予報にしたらどうか。時計と天気とは親和性がありそうだけど関連性が不明という、絶妙な位置にある気がしました。よしこの方向だ。
方向性が決まったはいいものの、文章としてまとめるのは一苦労でした。例えば「チャンネルを天気予報に合わせた」という言い方はNGです。「合わせた」という言い回しには、「切り替え先が何の番組かを予め知っており、その番組を観るためにチャンネルを切り替えた」というニュアンスがあるからです。当問題の場合、高橋はてきとうにボタンを押して、偶然天気予報が映ったというふうにしなければなりません。
また、止まった時計と時報とがずれているのは当然なのに、時計の買い替えを決意したのは画面を観た後だった、という謎の核を言葉で説明するかどうかは相当悩みました。これが不思議なことだと自分で気付くのは気持ちのいいものです。しかしリアルタイムで大人数が質問するラテシンで出題するということを考えれば、ちょっと考えなければ不思議だと気付けないような問題文をぽんと投げ出すのは少し不親切かなと思い、説明をつけることにしました。この点、問題文に余計なものをつけて無粋になるということがないよう気をつけました。
名作「「雑誌の付録」」や「カレーを食べたい」と似たようなチャームを作れたかなと思っています。

194問目「掌」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/35460
はじめは指紋についての問題を作るつもりでした。
こんな問題文です。

【問】
バイク雑誌になどまるで興味のないヤスオだったが、そのバイク雑誌が本日発売のものであることを知ると、真っ先に触れようと手を伸ばした。一体何故?
【答え】
舞台はケイスケ殺しの現場。犯人はヤスオ。
ヤスオは犯行の後、サークル仲間と一緒に何食わぬ顔でヤスオ宅を訪れ、死体を発見する。
死体が握り締めていたバイク雑誌を見たタツヒコが「これ、今日発売のやつだ」と呟く。
ヤスオは犯行の際にその雑誌に素手で触れてしまったことを思い出し、指紋をごまかすために皆の目の前で雑誌に触ろうとした。

ドラマとか推理小説ではよくあるシーンなのですが、犯行現場は自分が普段からよく訪れる場所だから指紋が残っていても不自然ではないと考えつつ、あるアイテムだけは犯行時に現場にいなければ指紋が残るはずがないということに気付いて慌てる犯人像というのが、どうしても短い問題文だけでは表現できませんでした。ミステリにおいてこのような場面が自然に見えるのは、背景事情をしっかり積み上げ丹念に説明しているからであり、それをそのままウミガメに移植するのは至難であることがあります。今回もその一例となりました。
というわけでしばらく放置していたのですが、ふと、犯罪よりも軽微な罪にして、証拠を指紋よりも身近なものにすればいけるのではないかと考えました。その方向性で色々試した挙句できたのがこの問題です。とんち話のようになっていて、自分では割と気に入っています。

195問目「七十億分の」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/35500
手品師の問題を考えようと思っていたのです。
ハットから鳩が飛び出してくるありきたりなマジックに、観客がやたらと騒ぎ立てる。実は鳩が絶滅したはずのリョコウバトだったのだ。というような内容。
しかしマジックに驚くのは当たり前だし、「普通よりもずっと驚いた」みたいな程度問題は納得感が得られない。しかも観客席から一目見ただけで鳩の種類を見抜ける客がどれだけいるか。それで没になりました。
ただ、絶滅したはずの動物が現れた、という展開は使いたい。絶滅種が現れることでドラマチックな展開が生まれるのはどんな場面だろう。主人公は絶滅種についての知識がある人でなければならない。そんな人が大勢いるとは思えないから、必然的に、絶滅種と鳥博士とが一対一で対峙している図が浮かびました。するとその図にいたる背景事情もすぐに連想されました。目の前の鳩を殺さなければ自分が死ぬ。しかし殺せば、その種が本当に絶滅してしまう。そんなジレンマ状況です。
問題文はあえて別解のたくさんある簡素なものにしました。真相がドラマチックで、それだけで満足感を与えられると思ったので、チャームを犠牲にして探り当てる楽しみのほうに費やしたというわけです。

196問目「月はロミオの肩越しか」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/35621
大量に使うテープを予めほどよいサイズに切って適当な場所に貼っておく、というあるあるはいつか使いたいと思っていました。ただ、使いどころが難しい。
あるあるから問題を作る場合、それを原因としてどんな面白い出来事が起こりうるかを想像していくのですが、どうしても机に貼られたテープから何も起こってくれません。
苦慮の末ひとつ思いついたのが、腕に貼っておくパターンです。こんな問題でした。

【問】
生徒たちの服装の乱れを粛清すべく校内を歩き回る風紀委員長。
その後ろにつき従い、自分の抜けた腕毛を次々渡していくホクト。
ホクトは何をしている?
【答】
「服装をちゃんとしよう」というポスターを学校中に貼って回る風紀委員長。
後ろをつき従うホクトは、風紀委員。ポスターを貼るためのテープを切って渡す係だ。
作業をスムーズにするため、予めテープを切って、腕に貼っておく。それを剥がす際、腕毛も一緒に剥がれるのだが、彼は気にせず風紀委員長にそれを渡すのだった。

なかなか面白い問題だなと思うのですが、試してみると、セロハンテープくらいの粘着力ではとうてい腕毛は抜けませんでした。
いっそ、何か面白い出来事を起こすのではなく、テープが貼られている状況そのものを面白い言い回しで表現してみようと方向性をチェンジしました。そうしてできたのがこの問題です。

197問目「リーダーの脂質」ネタバレ
http://sui-hei.net/mondai/show/35671
ネタ帳には「胴上げ」とだけ書かれていました。可能性を感じるけれど、具体化できず放置されていた題材、ということです。
ラテシン閉鎖ということで、出し惜しんでも仕方がないと思い、肉付けしてみることにしました。
胴上げなので体重という要素を絡めようということはわりとすぐに出てきました。難しかったのは、「なんのお祝いにするか」ということ。胴上げのもっともポピュラーなパターン、野球の試合というのは使えません。野球選手は筋力があり、九人集まればどんなに重い監督でも持ち上がりそうだからです。選挙なんかも厳しい。当選する候補には支援者はたくさんいるイメージだからです。人員がそんなに多くなく、かといって少なすぎもせず、かつメンバーが体格に恵まれていないようなもの。しかも終了時に胴上げをすることが自然なもの。
そう考えたとき、出てきたのが会社の少数精鋭によるプロジェクトチームでした。これを選択することで、成功時をイメージするということに、リーダー論で言われていそう、という説得力も持たせられたかなと思います。

198問目「ギシギシ」
http://sui-hei.net/mondai/show/35697
久々のスナイプですね。ギリギリのところで騙せるかと思ったのですが、ギリギリのところでバレバレだったようです。
シャンプーとボディソープにするか、砂糖と塩にするかは相当迷いましたが、固有のボトルがあるイメージの強いシャンプーとボディソープを選択。
タイトルや問題文二行目でのミスリードを狙いましたが、なかなかうまくはいかないものです。

199問目「これからの日々」
http://sui-hei.net/mondai/show/35723
最後は別れをテーマに、と思いました。
ネタ帳には問題のタネがまだいくつか残っていましたが、このテーマに合いそうなものだけを選びました。
悲しいお別れは嫌だ。
ありがとうで終わりたい。
そんな思いで物語を紡いだら、こんな問題ができました。
僕のシリーズもので一番登場回数が多い山村カナエの問題になったのには、ちょっとした運命のようなものを感じています。
ちゃんと誇れる問題を出して、最後を飾れたと思っています。

200問目「牛削りの扉2」
http://sui-hei.net/mondai/show/35745
やっと出題できました。
ラテシンと、ラテシンで出会った全ての人たち、全ての日々に、
ありがとうございました!
総合点:1票  20の扉部門1票  


最初最後
20の扉部門からす山
投票一覧
「「好きなラテシンユーザー」を表すのに、かなり凝った仕掛けをされておられます。とても牛削りさんらしいです。そして解説は、「牛削りの扉(1)」と比べても非常に豪華で緻密な、自作問題解説。牛削りさんの、作問に対する凄まじい情熱が伝わってきます。ログインできなくなっても、作品と照らし合わせながらじっくり読ませていただきます。200問目おめでとうございました!」
2017年10月30日18時

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