さよならは言わないよ（問題ページ）

カメオは眠りにつく度、現実世界と夢の世界を行ったり来たりする生活を送っていた。
言うならば、眠る度に別人の生活に切り替わる、まるで二人分の人生を送っているような状態であり、どちらが夢でどちらが現実か区別するのは困難な程であった。
具体的には、メアリーと幸せに暮らすという夢とデイビッドから拷問を受けるという悪夢のような現実とを行ったり来たりしていたのだ。

ある日夢の中のメアリーにデイビッドから受ける拷問について相談したところ、メアリーから「夢で受けた傷は現実世界では残っていないのだから、たとえば夢で死んでしまっても現実では死なず、夢を見なくなるんじゃない？」とアドバイスされた。
そのアドバイスを間に受け、メアリーと二人きりの幸せな世界を夢見ながら、夢と信じていた現実世界で命を絶ったカメオは、そのままメアリーにも会えなくなってしまった。
メアリーにさよならも言えないまま。