ある画家は、絵が売れないことに悩んでいた。
どれだけ描いても一枚も売れず、生活は苦しくなるばかり。
ところがある日、見かねた彼の友人が一言アドバイスしたところ、
彼は短期間のうちに大金持ちになったのだった。
彼の友人は、一体どんなアドバイスをしたのだろう?
17年10月08日 13:35
【20の扉】
[黒井由紀]
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答え「いっそ、アトリエをギャラリーにして、見に来た客から観賞料を取ったらどうだ?」
彼は、天才だった。
小学校に入って一番最初の図工の授業で描いた絵が美大教授の目に留まり、学生時代の作品を見た当時の巨匠に筆を折らせ、成人してから描いた絵など、見るだけで失神者が続出する始末。
ところが彼は、画家として生きていくには致命的な欠点を抱えていた。
自分の描いた作品をあまりにも愛し過ぎてしまうのだ。
それこそ、例え大金と引き換えだとしても、手放すことを惜しむほどに。
彼の作品に目を付ける画商はかなりいたが、彼が売ることを拒むせいで、一枚たりとも世には出なかったのだ。
当然、それでは画家として生活することは不可能であり、彼自身も、自分の絵を売りたいと悩んでいたのだが……
そこで友人がしたアドバイスが、上記の一言だった。
元々才能はあった彼である、友人の言う通りにアトリエを開放したら、瞬く間に鑑賞料が集まり、彼は大金持ちになったのだった。
総合点:1票 20の扉部門1票
20の扉部門からす山【
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「「売れない」のトリックが非常に自然で、見事です。問題文を読む限りはごく普通の状況を想像させますがまさかの解説で、納得感や洗練度合いもとても高いです。物語自体も好きです。友人ナイス。大金持ちになって良かったね。才能がある人が、それも自分の作品を売りたくないほど大好きな人が、相応の利益を享受できないというのは理不尽で嫌ですからね。」
2017年10月08日17時